知る喜びと、撮る喜びのつぶやき通信  (読める限り読み文章にする。 歩ける限り撮り続ける『花鳥風月から犬猫太陽』まで)

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『表現の自由云々どころではない香港映画、空洞化と苦境にあえぐ』 『昔、カンフー映画で標準中国語を覚えようとしたが無理だった』

2022-07-01 23:10:17 | 映画

『表現の自由云々どころではない香港映画、空洞化と苦境にあえぐ』

『昔、カンフー映画で標準中国語を覚えようとしたが無理だった』

 

過日(20210621)の日経新聞文化欄にセンセーショナルな見出しがありました。

『日本でも広く親しまれた香港映画が苦境にあえいでいる。 巨大市場の中国本土に活動拠点を移す監督らが続き、産業として空洞化。 表現の自由も脅かされ危機的状況に陥っている。』と。

香港映画産業は空洞化し、かつて年間数百本を産出し、「東洋のハリウッド」と呼ばれた香港での作品数は激減した。 ところが、香港映画は死んでいなかった。 そんな実感を与えてくれるのが、「香港映画祭2021」で、主に、この5年ほどの間に制作され、日本未公開の香港映画4作を、大阪、京都、兵庫、愛知、東京で上映する。 そのキュレーターを務めたマレーシア出身の映画監督、『リム・カーワイ』さんは、こう言っています。

リム・カーワイ
マレーシア出身。 1993年に日本に留学し、98年に大阪大学基礎工学部電気工学科を卒業。 東京の外資系通信会社で勤務したのち、北京電影学院の監督コースに入る。 2009年、『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』で長編デビュー。 日本、中国、香港、東欧を漂流しながら映画を制作。

リムさんは「香港映画が死んだと考えるのは早すぎる。むしろ元気に強くなっています。きっかけは2014年の雨傘運動でした」と話す。

雨傘運動では、香港の「普通選挙」を求める学生や市民団体が、金融街セントラルを79日間にわたって占拠した。 運動そのものは民主化への譲歩を引き出せないまま終止符を打ったが、一方、そこでエネルギーを注ぎ込まれたのが香港の映画界だったと、リムさんは考える。

香港映画とは何か、香港とは何か

現在、2019年に香港で起きた大規模な民主化デモを題材にしたドキュメンタリーも話題を呼んでいる。 今年夏のカンヌ国際映画祭でサプライズ上映された『時代革命』は11月28日、台湾の映画賞「金馬奨」で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した。 『理大囲城』は今年の山形国際ドキュメンタリー映画祭2021で香港映画として初めて大賞を獲得した。 立法会(議会)選挙の一部始終を描いた『立法会占拠』も優れた作品として評価を受けている。

「雨傘運動で、香港の未来を考える危機感が広がり、香港という土地や香港人のアイデンティティが問われる形になり、香港社会の団結が強まりました。 映画人たちも、香港映画とは何か、香港とは何か、ということを深く考えるようになったのだと思います。 その中で、若い創作者たちが、ドキュメンタリーを撮ったり、香港の社会問題、格差問題、LGBT問題、貧困問題などを取り上げる映画を撮ったりするようになり、ヒットも飛ばしています。 中国との合作映画は香港であまり興行成績がよくありません。 香港社会と中国社会では、一般の人々の価値観になお大きな隔たりがあるからです」(リムさん

香港映画にさらなる試練

明るい兆しの見えている香港映画だが、さらなる試練は続く。この10月、「国家の安全に危害を加える恐れがある」と当局が判断した映画の上映許可を、過去にも遡って取り消すことができる映画検閲条令の改正案が可決された

映画まで「中国化」が及ぶのかどうか。 楽観はできないが、香港映画の生命力の強さを信じたい。 「香港映画祭2021」は、そのいいチャンスになるだろう。 でも前途多難です。

センチメンタルですが、昔を振り返ってみます。

あの文化大革命が始まった直後の、1968年12月に香港に赴任したことを、思い出している傘寿になった年寄りは、歴史の流れをしみじみと感じています。 当時は、香港の治安さえ気にしなければ香港への出張、赴任は全く問題ありませんでしたが、中国(香港の人々は大陸と呼ぶ)への民間日本人の出向や駐在は思いもよらない時代で、香港から中国への出張も旅行も当然ダメでした。 

この香港に丸7年間住みました。 68年の出張時には、現地のスタッフと『Tai Mo Shan(大帽山)海抜957ⅿ』や『ランタオ島(大嶼島)ランタオ山(大嶼山)海抜934ⅿ』に、ハイキングに出かけるときは、ネイザンロード(九龍彌敦道)奥の旺角の酒家で早朝飲茶食事中に、旺角界隈の歩道上で六七暴動(*)を引きずった爆弾事件に遭遇したことが、何度もありました。

(*)六七暴動とは、1967年香港左派暴動(ろくなな ぼうどう 英語: Hong Kong 1967 leftist riots)は、文化大革命の影響を受けた香港左翼が、香港政府に対して起こした暴動。

赴任当時は、広東語を覚えるために、香港映画(殆どは、カンフー映画)はよく見ました。 すぐ分かったのは、映画は音声も字幕も北京語(国語・標準語)でした。 それでも、音声も字幕を随分勉強になりました。 

折角のよい機会だから広東語より北京語をマスターしようと思い、北京語を習い始めたのは良かったのですが、少しできるようになりましたが、広東語がごちゃ混ぜになり、北京語の台湾人の美人女性の先生から見放され、北京語はギブアップしました。

昔、香港への海外出張を命ぜられ、現地のスタッフの方々と仕事を始め,やっと慣れたころに、宴会などで、現地語『広東語』の訓練のために、当時、読み始めた『三国志』の英雄たちの武勇伝を話題にしましたが、せめて現代の話題も加えようと、思い出したのが映画『香港の夜』と『慕情』でした。

この映画の名場面は、どちらも丘の上でした。 学生時代から山男であった自分は、『香港イコール海』の印象が強く、かなり失望しましたが、九十九里海岸育ちですのですぐに気持ちを入れ替え、『海も山もやろう』と気分を入れ替えました。 出張の後は、駐在になりましたので、最初の半年で香港の下記の山と丘は、踏破しました。

香港の標高ランキング(香港にも以外と高い山・丘はたくさんあります。)

( 1)Tai Mo Shan(大帽山) 海抜957ⅿ

( 2)ランタオ島(大嶼島)ランタオ山(大嶼山) 海抜934ⅿ

(18)Victoria Peak(香港島) 海抜552ⅿ

(28)ライオンロック(獅子山) 海抜495ⅿ

さて、昔の香港の『丘の印象』が残る映画です。

『香港の夜』のヒロインは、東南アジアの清純派トップ女優、ユーミン(尤敏)で相手役は、日本のトップ二枚目俳優、宝田明(パァォ・ティェン・ミン)でした。 この女優、やっぱりすごい美人です。

ウエブ情報から引用

この場面ですが、香港島中央鞍部のグリフォードガーデンあたりです。

ウエブ情報から引用

 

ウエブ情報から引用

東宝と香港のキャセイ・オーガニゼーションの1961年の合作映画。 監督は東宝のベテラン千葉泰樹、脚本井出俊郎。 主演は宝田明と香港の美人女優尤敏(ユーミン)でした。 後に、歌手ユーミンが出たとき、あの美人女優と同じ名を名乗ることになりました。

『慕情』この映画のヒーローも『戦死するエンド』でしたので、この二つの作品が長く記憶に残っています。 第二次大戦終了後のイギリスの植民地の香港で、ヒロインのハン・スーイン(ジェニファー・ジョーンズ)は勤務医をしている。 夫は中国国民党の将校が国共内戦で戦死していた。  

そこで、アメリカ人の特派員マーク・エリオット(ウィリアム・ホールデン)と知り合い、二人は恋に落ちる。  間もなく中国大陸の殆どの地域は国共内戦の末に中國共産党が支配するようになり、ハン・スーインは中国大陸へ戻るよう説得されるが、ほどなく朝鮮戦争が起こり、エリオットは派遣され、そこで戦死する。

駐在中にこの映画の有名なシーンになる『慕情の丘』を探しましたが、発見できませんでした。 候補はいろいろあります。

ガイドなどでヴィクトリアピークとされるあの丘は、スーインの勤めていた病院の裏手の設定ですから物語上は、ヴィクトリアピークなのですが、あの二人が忍び合う木の引き(広い画)の実際のロケ地は、九龍半島の南東端現在の清水湾郊野公園の中央付近の広場です。 現在もあの木が現存するかどうかは未確認です。 ふたりの寄り(UPの画)は、この近くの劭兄弟映画社('75頃解散)の敷地内のオープンセットに同じような木を植えて撮影したとのことです


海岸で泳ぐシーンは、レパレスベイ(淺水湾)は、海水浴場としてそのまま残っています。もちろん周辺の開発は進んでおり、淺水湾酒店=レパレスベイホテル(木造Hotel)は、'82に取り壊されマンションとレストランになり、その後ブランドショッピングセンターも建っています。 湾の遠景からも、その名残りが感じられます。

駐在中にお付き合いのあった、日本の某造船会社の現地代理店・源太公司のオーナー、澤民(敢えて、号だけにさせて頂きます。)は『当時の、記者クラブであったのではないか』と言っておりました。 半世紀もむかしのお話です。

(記事投稿日;2022/07/01、#548)


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