『花の世界 14(白百合はどんな花、学術名:山百合・ヤマユリ)2』
『日本は「ユリの宝庫」泥で包んだ球根を満載して海外へ』
『日経新聞(22-01-30)19世紀 園芸の東西交流 植物ハンター世界をめぐる』
万葉集にも詠まれるほどポピュラーであったササユリ;
(このササユリはヤマユリとも呼ばれます。)
ウキペデイア情報から引用
ヤマユリとオニユリを見慣れた関東人はあまりお目にかかれなかったようです。
ササユリ(笹百合、学名:Lilium japonicum)は、ユリ科ユリ属の球根植物。日本特産で日本を代表するユリで地域によっては、ヤマユリと呼ぶこともある。 おそらく万葉の歌人たちはササユリを見ていたのではないでしょうか。 ササユリは髪飾りにするほどに身近であったようです。 しかし、近年では稀にしか見られない種になってしまいました。
日本は野生ユリの宝庫
世界にユリの原種は約100種ありますが、15種類が日本の自生種です。 しかも、日本は美しい野生ユリの宝庫。 ヤマユリ、カノコユリ、オトメユリ、ササユリ、テッポウユリなど、かつてユリは日本の野山の風景に溶け込んで咲いていた、野性味漂う花でした。
古くは『古事記』『日本書紀』にも登場し、奈良時代には歌にも多く詠まれました。 園芸が大流行した江戸時代には、園芸品種のスカシユリが百数十品種も誕生。 ユリは日本人に愛されてきました。
今やさまざまな花色や種類の園芸品種が揃うユリ。 堂々と咲く花は、豪華なアレンジに欠かせません。 日本の野生ユリが歩んできた道をたどってみました。
江戸末期、日本の野生ユリがヨーロッパへ
日本の山野に自生するヤマユリ、テッポウユリなど見かけるのは珍しいことではない。 ところが幕末・明治に来日した欧米人は、鑑賞の値する十数種の野生種に目を見張った。
そんなユリを江戸時代の末期、アジサイなどの植物と一緒にヨーロッパに持ち帰ったのが、かのドイツ人医師シーボルトでした。カノコユリ、テッポウユリ、スカシユリなどの球根が海を渡りました。 チューリップの球根1球が高級邸宅の価格に匹敵した、17世紀前半のチューリップ狂時代には及びませんが、カノコユリは宝石のルビーに例えられ、同じ重さの銀と同等の価格で取引されたとか。 ‟日本のユリは際立って美しい”と言われ、人気を呼びました。
日本の経済を支えたヤマユリ、テッポウユリ
江戸末期には、早くも外国人商館によるユリの球根貿易が始まります。 横浜や静岡周辺の山で採取されたヤマユリ、ササユリ、オニユリなどが、横浜港から輸出されました。
明治に入ると日本人による貿易会社が誕生。ユリを描いた海外向けのカタログを制作し、種類豊富な日本のユリを紹介しました。明治時代の末、輸出球根の筆頭はヤマユリからテッポウユリに代わり1937年にピークを迎えます。全種類で4千万球以上を輸出し、世界のユリ需要の90%を日本のユリが占めたほど。ユリは生糸に迫る外貨獲得の花形になり、“ユリで軍艦を造った”といわれるほど日本の経済力、国力に影響を及ぼす存在となりました。
品種改良のもとになった日本の野生ユリ
日本の野生種で品種改良
ヨーロッパに分布していた十数種のユリのうち、聖母マリアの純潔の象徴だったニワシロユリ、別名マドンナリリーさえ、日本のテッポウユリに取って代わられます。アメリカでも、日本のテッポウユリがイースターリリーと称されるようになるのです。
こうして日本の美しいユリが世界を席巻。 やがて日本の原種は品種改良に使われていくわけです。 19世紀後半から、中国のユリを加え、育種が始まります。 日本のヤマユリとカノコユリを交配し、1864年にはオリエンタルハイブリッド第1号が誕生。 品種改良は近縁の種同士でないと難しいため、結局ヨーロッパのユリは使われず、アジアのユリ同士が親に選ばれ、品種改良が進んでいくことになりました。
やはり、今回の表題『花の世界 14(白百合はどんな花、学術名:山百合・ヤマユリ)2』『日本は「ユリの宝庫」泥で包んだ球根を満載して海外へ』の『KEY WORDはシーボルト』であったようです。
『1796年ドイツ生まれの医師で博物学者。 江戸時代後期にオランダ東インド会社の日本商館付の医師として来日した。 日本の植物に高い関心を寄せて、分類学的に研究し、帰国後「日本植物誌フローラ・ヤポニカ」を刊行。 国王ウィレム2世の承認を得て「王立園芸振興協会」を設立したほか、日本から持ち帰った植物を欧州の気候に順応させるための農場を「気候順化植物園」開く。 19世紀から20世紀初頭の西欧で、日本と中国の植物への熱狂がうずまき、「すっかりとヨーロッパのガーデンを変貌させてしまった」。 その仕掛人こそがシーボルトだった。 大場秀章東大名誉教授が著書『花の男 シーボルト」で称している。』
海外の野山に咲くラン・蘭も綺麗ですが、日本の野山に咲くユリ・百合の美しさも格別です。
(記事投稿日:2022/02/13、最終更新日:2022/07/11、#476-2)