小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

私より教えるのが上手な奴がいました

2015-02-16 22:19:48 | 授業中の攻略法
5年生の算数の授業。
問題で
「最小公倍数を求めよ」
と出てきました。
ある子が質問に来ました。
「先生、最小公倍数って何でしたっけ?」
1学期にやったことなので、もう忘れてしまっているんですね。
「この数と、この数の倍数で、おんなじやつがあるでしょ」
「はぁ」
「それの一番小さいやつよ」
「?」
まったく思い出せていないのが一瞬で分かりました。
「えっとね、この数の倍数が…あるでしょ」
「はい」
「んで、こっちの数も…倍数があるでしょ」
「はい」
「そいつらを、並べると最初に…」
と、私がここまで説明したところで、横にいた子がずばっと口を挟みました。
「ほらっ、2と3だったら、6よ!!」
質問に来た子は、これを聞いて
「あ~ はいはい!!思い出した!!」

私の、だらだらとした算数的説明は、
「2と3だったら、6よ」
の一言で見事に打ち砕かれました。(笑)
私の説明に曇った表情をしたその子が、この一言で一気に明るい表情に変わったのを見れば、思いっきり敗北感を味わいましたね。(笑)

「2と3だったら、6」
これが絶妙なんですね。
「最小公倍数って何?」と質問されて、最初にこの回答は出ませんね。
私には。
長々と説明するなかで、後から例示としては出てきそうですが。
いきなり出るセンスはない。
しかし、子どもは出るんですね。
なぜなら、最小公倍数のことをそう受け止めているから。
言うなら、理屈ではなく、感覚で理解している。
そういったところでしょうか。
おもしろいですね~

私たちは、知識と経験は豊富で、それを武器に説明しようとします。
が、これが理解に困っている子たちにとっては、結構的はずれであることもあるんですよね。
話してるステージからしてまったく違っている。
こんな場合、私たちががんばって言葉を加えれば加えるほど、その子の「?」は増える一方です。
こんなときの無力感とはむなしいものではありますが、これも現実。


今回のようなことはよく経験します。
子どもの質問には、子どもが答えた方がスムーズにいくということです。
目線が同じだからですね。
子どもの困り感は、子どもこそが理解できる。
だから、その解決の方法も、やっぱり子どもの方が分かる。
そういうことです。
だから子どもの声って貴重です。
授業の中でも、ポイントとなる大事なことはできるだけ子どもの口から子どもの言葉で言わせたいものです。
その方が、先生が言うよりもまた広がるものがあります。
先生が一方的に理解を促すのに対して、子どもに言わせると、それを「共有」しようという雰囲気になります。
これがとても心地よい。
その心地よさを味わっている子どもたちの顔っていうのは、一目で分かるものです。

今回
「2と3だったら、6」
の説明に、全てのモヤモヤがすーっと消えていった顔をしたあの子。
まさしくあれです。