湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

妙本寺の海棠

2024-04-11 23:01:48 | 日記

晩春の暮方、二人は石に腰掛け、海棠の散るのを見ていた。花びらは死んだ様な空気の中を、まつ直ぐに間断なく、落ちていた。(小林秀雄「中原中也の思い出」より)

小林秀雄と中原中也が共に見ていたのと同じ場所で海棠を見ようと、ちょうど桜も咲いていた妙本寺に行ってきました。

花びらの運動は果しなく、見入っていると切りがなく、私は、急に厭な気持ちになって来た。我慢が出来なくなって来た。その時、黙って見ていた中原が、突然「もういいよ、帰ろうよ」と言った。私はハッとして立上り、動揺する心の中で忙し気に言葉を求めた。「お前は、相変らずの千里眼だよ」と私は吐き出す様に応じた。(小林秀雄「中原中也の思い出」より)

絶交状態にあった二人が妙本寺で和解した年に、中也は鎌倉で亡くなりました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自転の詩パート1

2024-04-08 18:48:37 | オリジナル

共通テーマ「自転」でAが書いた詩を投稿します。

サドル

 

別の自転車屋が指摘しなかった

ギアの不具合を一目で見抜いた彼から

必要な作業と代金を即座に提示された

 

そこまではいいとして 

その後の話が長い

次の為政者に名乗りを上げた人がいるけど

俺は別の人間を推したいよ

まちを引っ張っていくのは

地域と住民に愛ある人でないと

 

そこまではいいとして

翌日さらに修理がいると電話してきた

チェーンもシフトワイヤーも

あれもこれも替えねばならず

新車を買った方がいいと言う

愛車のサドルの上から見てきたこのまちが

別のまちになってしまうかもしれない

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夕桜の句

2024-04-06 22:45:47 | 文学

ようやく桜が咲きましたね。

↑昨日の松汀園

↑今日の披露山公園

披露山公園の駐車場は16時半まで。行った時は満杯だった車が夕方帰る頃には1台もいなくなっていました。

曇天の夕方に見る桜もまたいいものです。夕桜の名句を3句。

 枝々に重さ加はり夕桜 深見けん二

 淡路島まで海の揺れゐる夕桜 橋本榮治

 手まねきの猿(ましら)おそろし夕桜 杉山久子

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

昆虫展吟行

2024-04-03 17:33:22 | 文学

先月の湘南句会の吟行では桜が開花していなかったので、その日に文化プラザギャラリーでやっていた「逗子の昆虫500プラス展」も吟行ネタにさせてもらいました。

 尺蠖(しゃくとり)は蛾の幼虫と知る展示

 啓蟄のモバイル標本並びをり

下の台に並んでいるのがモバイル標本です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

浦賀ドック吟行

2024-04-02 19:08:48 | 文学

今日は北久里浜句会の浦賀吟行に参加しました。

明治29年(1896年)から平成15年(2003年)まで現役だった、国内に唯一現存している煉瓦造ドライドック、浦賀ドックの中へ降りて見学。

そこで詠んだ句がこちら。

 百万の煉瓦の底の春日傘

本当に約百万個の煉瓦が使われているそうです。積むの大変だったでしょうね。

構図も今日の吟行句としてもベストとの講評をいただきました

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする