ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『カミュなんて知らない』@東京国際映画祭

2005-10-25 23:58:15 | 映画
2000年、愛知県で起きた男子高校生による老女殺害事件。これを基に映画を撮影しようとする学生たちの物語。ほとんどが、監督が過去に教えていた立教大学での撮影。最初のカット、エイサ、エイサと掛け声で走る柔道部員をバックに「黒木メイサ」とキャスト表示していたのを見て、これはギャグ映画なのかと一瞬戸惑った(その後も大学名が「東教大学」だったりした)。

学生たちは、いざ撮影に入る直前になり、「殺人の経験をしてみたかった」と自供した少年は、精神異常だったのだろうかと悩み始める。監督松川は異常だったと断定し、助監の久田は普通だったのではないかと困惑して泣き出してしまう。

ここでふと考える。松川に執拗に迫る恋人のユカリ(正に吉川ひなののハマリ役)は、異常なのか。その松川もユカリから金づるに利用し、他の女と寝るのは、異常なのか。久田も彼氏がいない間に、2人とキスしてしまったのは、異常か。美少女との関係を夢見た教授は、異常か。その裏で糸を引いていた田口トモロヲは、異常か。女の子の肩に手を回すことさえできない男は、異常か。独り言ばかりのヤツは、異常か……。

それらは、ある人、ある側面から見れば、正常だろう。また逆も然り。その感覚のすれ違いの描き方は『アメリカン・ビューティー』に通ずるものを感じた。

老女を殺害するシーンの撮影に臨むクライマックスは、圧巻。虚と実の交互カットで、観る者を混乱させ、深い闇に突き落とす。最後まで個々人の事の顛末を見せず、黙々と血糊を拭き取る学生たちの姿を撮したスタッフロールが、様々な憶測を呼び、後味が悪くも強烈に印象に残った。

上映後のティーチインで、タイトルは思いつきだと監督は言っていたが、「神なんて知らない」と、神無き世に掛けていたのかもしれない。ってダジャレか。柳町監督からもサイン頂きました。

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2 コメント

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TBありがとうございます! (サメ猫)
2005-10-27 23:08:21
監督のサイン、重宝ですね

実は私もメイサさんの名前のうしろでエイサッエイサッて聞こえてきたときにプっと笑ってしまったんです。やっぱ気になりますよね 笑。私が気がついたのは3回目に見たときなんですが…遅い

これからも「カミュ~」応援よろしくお願いします☆

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Unknown (ピロシ)
2005-10-28 12:01:20
サメ猫さん、どーも。

この映画、いろんな感情がごちゃまぜになってるから、

もう一遍観ないとなぁと思ってます。

皆に、口コミで広めますね。
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