ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『蒼き狼 地果て海尽きるまで』

2007-03-22 23:58:16 | 映画
総制作費30億円を強調すればするほど、往年のRexを思い出してしまう角川春樹制作総指揮作品。本当に制作費回収できるのかこちらが心配してしまう。

モンゴルの広大な草原と空が清々しい。が、なんとなーく全体を包み込む、テレ朝日曜朝7時半臭。子役たちの戦隊モノみたいな堂に入ったセリフ。なんでだかメチャクチャカットが多くて、せせこましくなっちゃってる。人物を正面から撮りすぎ。時代劇じゃあるまいし。うーん。

チンギス・ハーンの物語なんだけど、母親のホエルンの語りで進む。てっきり名取裕子だと思ってたら、若村麻由美だった。松嶋菜々子の旦那こと反町隆史は、キムタクに対抗できる「オレ様感」健在。奥さん役の菊川怜は、毎度の低テンションで風格を出そうとする作戦がいつものように不発。強引に登場してきた感が否めない女兵士で後に、第二婦人になるクラン役は新人だとか。片言なのは演出なのかと思ってたら、韓国人だったのね。よくわからないキャスティング。うーん。

けなしてきましたが、合戦のシーンはなかなかのものです。ラストサムライとかに並ぶくらいの迫力あったし。馬をひっくり返すってすごいことだよね。角川氏はここだけ撮りたかったのではないのだろうか。それにしても、掟ポルシェはどこにいたのだろう?

そして、本編よりなにより感動したのは、バイトの先輩Iさんの名前がスタッフロールに流れたこと。じーっと見つめてました。感慨深い。

『松沢版桃太郎』

2007-03-21 00:53:29 | 映画
下北沢トリウッドにて。バイトで出会った友人、松沢祐介監督8作目。自主制作映画を見に行くのは2度目かな。1時間20分の力作であります。関係者のみなさん、お疲れ様でした。

主人公の太郎は、自分が桃から生まれた桃太郎だと信じ込み、鬼退治へ出かける。まあ、舞台は現代なので、最初からコヤツの言ってることはオカシイ。お供に犬、猿、キジ(人間ですけど)を連れ、江ノ島に向かうロードムービー。テイストとしてはいわゆる、エロ・グロ・ナンセンス。割合をわかりやすく書くと、
 エロ グロ ナンセンス。
とにかく、ツボに入らなきゃ置いてけぼり。自分はなんとか乗車できたけど。「鬼」がなぜ現代にいなくなったのかということを突き詰めていけば、観客に感慨を与えたろうに、安易にその方向に走らず、ナンセンスを通した監督に拍手。これをさらに昇華させることができれば、立川談志の言う、イリュージョンの世界に通じるのか。…いや違うか。(^_^; 作品の内容、それからいつものまっつぁんのいい加減な言動(失礼!)からすれば、意外にカットや構造が律儀なつくりで驚いた。フリーランスのババアで二度三度笑いを取ろうとしたのは卑怯だったかな。笑ったからいいけど。

そして、この映画で初めて、女優・川端美郷を見た。拉致られたうえに犯される、一番不幸な役。回想シーンで台詞も短かったが、あんなにしおらしい彼女を見たことない!いつもは「ぽえーん」とか言ってるのに。一回登場しただけで何のフォローも無くて、気になって気になって。もっと使ってやってください。バタコよ、やるなら本気で役者を目指しなさい。必ず需要はある。

松沢監督、最後のアマ作品らしい。この春から某制作会社へ。彼がどんな大衆向けの作品に関わるのか楽しみだけど、そのうち会社飛び出して自分の映画作っちゃうんだろうな。そんな期待もしつつ。

「ピロシ、討論会へ行く」の巻

2007-03-16 12:04:27 | 世間
昨日、地元で東京都知事選の公開討論会があったので、ヤジ馬根性で行ってみた。まあ、すごい人の数。結局、1100人の定員が満席になったみたい。前回に比べても関心が高いよう。

場内に入ると、「石原慎太郎様は、ご公務のため遅れて到着されます」とのアナウンス。後出しジャンケン好きの人だしそういう作戦だったのかも。だから壇上には、浅野さん、吉田さん、黒川さんの3人のみ。鬼の居ぬ間に洗濯なのか、討論会というよりはシンポジウムのような雰囲気。高齢化社会のテーマでは、相手の意見に頷いたり、共感しあっちゃったりして。だったら、この場で統一の候補者決めろってば。いっそジャンケンとかで。

そういえば、吉田さんがテレビで「自分はよくドラえもんに似ているって言われる」と言ってた。そのVTRでは、浅野さんをのび太、黒川さんをスネ夫に見立てていた。つまりは、石原知事はジャイアン。あまりにイメージとか風体とか合っていて、笑ってしまった。そして30分強遅れて石原知事が到着。「♪おーれはじゃいあーんガキ大将」のテーマが流れなかったのはご愛敬。着席して冒頭の一言、アレッ?と思った。「体調を崩してこんな声でごめんください」。確かに声がかすれ、言葉に語気がない。自分は嫌いだけど、あの強気な感じが彼のトレードマークではなかったのか。討論が進むにつれ、その印象は強くなった。

確かに彼は出張費や交際費、四男の問題を抱えていて、今回はいかに失点を少なくするかという高校野球のような選挙なのだろう。だから、余計なことは言わない、無難なことで済ませる方向と思える。ただ、それ以上に元気がない。その後、テレ朝とTBSの討論でアップに映った顔に顕著に表れていた。たぶん、見ていた人の印象は良くなかったのでは。ケネディとニクソン、初のテレビ討論での話を思い出させる瞬間だった。

それ以外印象に残ったのは、「国威発揚ではなく、広島や長崎で平和のオリンピックをやるのならば意味がある」という浅野さんの発言に対して一番拍手が大きかったこと、黒川さんの、何を言ってるのかよくわからない、空気を読めないキャラが会場の笑いを誘っていたこと、かな。

そういや、泡沫候補の雄、ドクター中松が立候補してないのが気になる。健康問題か?あと、フクロウ博士は地元なのに討論会に呼ばれてないのって、ちょっとかわいそう。次の都知事には誰がなるのか、どうなることやら。

現代就活短歌

2007-03-13 02:28:36 | 日々
 まっさらのエントリーシート〆切り日売れっ子作家もこんな気分か

 ゆきゆきてたった五分の面接で言葉詰まればハイ次の人

 パスモより安き切符を求むれば十四枚の土休券買うらむ

 パソコンに残念ながらとメール来るどこもかしこも同じ文面

 世間では売り手市場と言いながら買い手がつかぬ我捨て猫か

 面接にカップル同士で現れるこいつらどうか地獄に堕ちろ



こんな感じです。なるべく優しい言葉を掛けてやってください。褒めて伸びる子です。

『ボビー』 浅野さん危機一髪

2007-03-07 00:35:47 | 映画
一週間以上前に観たけど、書くタイミングがなくて。

ボビーっていうのは、ジョン・F・ケネディの弟、ロバート・F・ケネディの愛称。彼は大統領選挙のカリフォルニア州での予備選に勝利した後、暗殺されてしまうのだけれど、その現場のホテルに居合わせた22人の物語。

ホテル、群像劇と聞けば、『有頂天ホテル』を思い出すけど、そんな笑いの話ではなく。でも、これだけのスターが揃ったグランドホテル形式の作品なんて贅沢すぎ。にもかかわらず、ギャラは一人あたり2000ドルだとか。個人的には大統領役でないマーティン・シーンが見られたし、『ER』のモーゲンスタイン部長役ウィリアム・H・メイシーも久々に出ていて、うれしかった。あとは、ウェイトレス役の女の子がかわいい。

登場人物たちは老いも若きも個人的な事情を抱えている。アメリカという国家もベトナム戦争を抱えていた。ボビーは、そんな時代の期待の星だったのだ。パーティでボビーを待つ彼らの表情は晴れがましいものばかり。実際の当時の映像と織り交ぜていて、違和感がないのはなかなか。演説後、食堂を抜け引き上げようとする彼を悲劇が襲う。一拍おいての悲鳴は波状効果のように伝わり、バックに流れるサイモンとガーファンクルの『サウンド・オブ・サイレンス』、演説の言葉たちが渦のように迫る。一人の死ではなく、皆の希望の死だったのかと考えさせられる。

これを見た次の日が、民主党都連のパーティだったのだけど、もし浅野さんがあの日にあの場で立候補表明していたら、大変なことになっていたかもしれないと、いらぬ想像をしてしまった。ま、とにかく石原都政はもうたくさん。