ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『僕らのミライへ逆回転』

2008-10-31 23:06:33 | 映画
泣く子も閉口する、昨今稀に見るヒドい邦題。配給は何を考えてるんだか。東北新社か…。

ミシェル・ゴンドリーは『エターナル・サンシャイン』、『恋愛睡眠のすすめ』と来て、今作でさらにそのグダグダ感、くだらなさを増しております。だってストーリーが、変としか言い様がないんだもの。今の時代、本当にビデオしか置いていないレンタルビデオ屋。常連客のジャックブラック演じるジェリーは、発電所での事故で電磁波男になってしまい、結果、店のビデオが全て消えてしまい、どうにかごまかすために、自分たちでビデオを撮り始めるのだが…。

超有名作を次々とリクエストしてくるお客たち。ジェリーと店員のマイクは、ビデオカメラ片手に街の至る所で、思いつきだけでハチャメチャに撮りまくる。その様子がバカバカしくも、とても楽しげで。当然、時間もお金も掛けられないから、ローテクのアイディア勝負。稼ぐことしか頭になかった往年の作品たちを軽々と超えた迷作が次々と誕生させていく。

終盤、制作が間に合わなくなった二人は、お客も巻き込んで撮影を始める。それを上映したときのみんなの笑顔。この映画作ってた人たちも同じ気持ちだったんじゃなかろうか。うん、そうだと思う。

パロディを通して、作り手と観客があまりにも遠くなってしまった映画へのメッセージを表してたのかな。市川準監督と通じるものを何か感じさせる映画だった。

『容疑者Xの献身』

2008-10-27 01:07:23 | 映画
福山史上もっともマネしやすいと言われる、物理学者・湯川学。彼が科学の知識を使い事件を推理する、探偵ガリレオシリーズの映画化。

暴力振るう元夫を殺してしまった母と娘。そこに隣人の数学教師・石神が訪ねてきて、論理的な指示を彼女たちに与え、警察の捜査から逃れさせようとする。松雪泰子演ずる花岡靖子は健気ではかなげで、『デトロイト・メタル・シティ』の女社長と180度真逆で、ああ女優さんだなって思わせてくれる。石神役の堤真一は、ボソッとしゃべる感じがいつもの男前度が8割減。原作を読んだ人によれば、それでも格好良すぎるらしいけど。

原作は直木賞を取った作品なので、物語自体はしっかりしてるんだけど、悲しい話やね、というところで留まってる印象。石神がそこまで「献身」する心情を描き切れてなのが原因か。映画ならではのじっくり見させるシーンがほしかった。

エンディング曲の「最愛」、この歌詞なんてF1層のハートを鷲掴みでしょ?福山も歌うんでしょ?

『buy a suitスーツを買う』@東京国際映画祭

2008-10-24 13:14:59 | 映画
ビールをジョッキ3杯飲んでからホロ酔い気分で、シネマート六本木へ。すると、入り口の喫煙所で聞いたことある、それも最近聞いたおぼえのある声がした。振り返るとそこには、桃井かおりが…。そうだ、市川準監督は次作で彼女と組むはずだったんだと、合点がいった。「『スキャンダル』って『セックスアンドザシティ』風を装って、『デスパレートな妻たち』の丸パクリですよね?」って訊きたい気持ちを抑えるのに必死だった。

閑話休題。物語は失踪した兄から手紙が届いた妹は、書かれた住所をあてに上京する。兄の友人に会ったのち、兄に会うと橋のたもとに暮らすホームレスになっていた。そして別れた妻を探し出し再会する。書き出しても数行になってしまうのだけど、上映時間も50分に満たない。

ティーチインに登壇した配給の担当者は、試写を見たとき、なぜか涙が出たという。終盤、確かにすすり泣く音は周りから聞かれた。でも、自分はそんなことはなかった。お兄ちゃんが呟くズレた言葉が面白くて印象に残ったのだ。

あまりに淡々と、とりとめのない時間が過ぎゆく。映画祭の事務局でも、これは映画なのか議論が起きたらしい。だけど、私はこれは当然、映画だと思う。最近の、説明が過ぎる映画だけを映画だというのならば、紙にプロットを書いたものを見せてくれればいい。この映画は観客の想像の余白をたくさん残している。だから、涙が出る人もいれば、全然別のところに考えを巡らせたりするんだなあと。その感覚の違いに語らいが生まれる、それこそ映画文化なんでしょ。

最後に市川監督の奥さんが、監督の机にあったメモを紹介した。「忘れていたものを思い出すようなものを撮りたい」というようなことだった。 映画って何だろう?映像を撮るってどういうことなんだろう?そんなことを考えながら小雨降る六本木の喧噪を後にした。

このチケットはバイトの後輩のHさんから譲ってもらった。良い経験でした。ありがとう。

『ウォンテッド』

2008-10-20 00:21:54 | 映画
はーい、よい子のみんなー、泣く子も黙るアンジー姉さんの登場だよ!女アクションモノは当たらないというジンクス(ハル・ベリーの『キャットウーマン』が典型)をひっくり返した彼女の新作。暗殺者の人生ひた走る目付きは、怖くて怖くて。姉さんに怯えて見てたから、セクシーなシーンも全然エロく感じないし…。

この抗争に巻き込まれるのが、ジェームス・マカヴォイ。『ナルニア国物語』のタナムスさんだったのね。冴えないダメリーマン人生を捨て、父親を殺した相手に復讐を誓う。そこからのトレーニングがとにかく痛いんだわ。ボカスカたこ殴りに始まり、ナイフでひっ裂かれ…。まあ、回復風呂で治るんだけど(^_^;

ストーリーは浅いけど、やはりアクションシーンは見もの。「マトリックス2008」的な。こんなの見たこと無いって思うはず。R-15なんで当然、多少のグロさはありますが。バカっぽくて「ありえねぇー」って言いながら見るのがいいんでしょう。

夏映画・最終処分セール

2008-10-16 23:49:50 | 映画
はい、そういうワケでたまりにたまった映画評を叩き売りです。とは言っても、見逃したの多いよなぁ。

『クライマーズ・ハイ』
日航機墜落事故を地元紙の記者の視点から描く。全権デスク役の佐藤浩市と周囲との感情のぶつかり合いも凄まじいが、現場に駆けつけた県警キャップ役の堺雅人が出色。優男のイメージが一変した。

『ハプニング』
シャラマンなんだから、「えぇー」的なラストがあるんだろうと思ってたら…。次から次へと登場する「死に方」にはある意味感心させられるけど。

『インディ・ジョーンズ』
ラストを含め、もう笑うしかない。アクションシーン楽しいんだからいいじゃない。ただ、核実験に巻き込まれるシーンは被爆国としては頂けない。悪ふざけが過ぎる。

『ダークナイト』
暗い、重い、痛い。三拍子揃った最高の出来のバットマン。というか、ヒース・レジャーのジョーカーが、徹底的な悪役でインパクト、デカすぎ。彼の遺作になったのはあまりにも惜しい。

『ジャージの二人』
こっちの堺雅人は、また別の一面を見せる。あー、ユルいユルい。『かもめ食堂』みたいなロハス感もなく。ラストだけちょっとキュンな感じ。

『アクロス・ザ・ユニバース』
ビートルズナンバーで繋ぐ、青春グラフティ。ミュージカルはいいんだけど、物語自体に既視感が強いのが残念。ミュージックビデオだと思って見た方がいいのかも。

『この自由な世界で』
強者が弱者を食い物にする市場主義社会。仕事にあぶれた弱者はさらなる弱者を…。ミクロを描いてグローバリゼーションの暗部をあぶり出す。ケン・ローチ節炸裂です。

『クローン・ウォーズ』
スターウォーズのエピソードIIからIIIの間をCGアニメで。展開が1.5倍ぐらい早い。面白いのは、実写では異形だったヨーダやジャバザハットが普通に見えたこと。むしろ人間どもがキモい。オープニングがFOXサーチライトではなく、ワーナースタジオなのはご愛敬。

『デトロイト・メタル・シティ』
出オチって感じでしょうか。お笑いも微妙。ローサも微妙。松雪泰子演じる事務所の社長は、ハマリ役でそこだけはツボに入った。「公然わいせつカット」って…。

『わが教え子、ヒトラー』
東ドイツ時代から舞台に立っていた、主演のウルリッヒ・ミューエの思いが滲み出る佳作。ヒトラーに演技指導する様は爆笑もの。ラストシーンは、チャップリン『独裁者』へのオマージュなんだろな。

『20世紀少年 第1章』
これもまた展開が早い早い。原作の、入れ込んだストーリーをうまく掻い摘んでいるんだけど、イマイチ感情移入できないというか。2014年以降をどう描くのか、次に期待。

『おくりびと』
楽団をリストラされたチェリストが故郷に戻り、納棺師になる。ストーリーは先が読めるシンプルなものだけど、死と向かい合う真摯な姿勢に、ジワジワと感情が高ぶる。緒方拳亡き今、山崎努の、このポジションは貴重。 …と思ってたら、モックンの父親役で出てた峰岸徹も亡くなったね(しかも亡くなる役)。

10月1日に

2008-10-01 23:52:22 | 日々
地下鉄に乗ると、子どもたちが多い。
平日なのにどうしてだろうとしばらく考えて、
都民の日だと思い出す

帰り道の街角で、黒スーツの男女の集団が和気あいあいと、
でもどこかよそよそしく歩いてく
どこかで見た光景だ
ああ、そうか内定式か

去年の今日と同じ光景
あの時は居ても立ってもいられずに、
なぜか、PSPを買ったっけ
そんな自分がいじらしい

次の就活のゴングは鳴らされて、
新聞には説明会の文字踊り、
そして、また時代が廻る

7年前の911の直前に、新宿のビルで火事
今日も未明に大阪で死傷者が
変わらなきゃならないものが変わらずに、
変わらなくてもいいものが変えられる

さてさて、このブログも丸4年
読み返してみれば、まぶたに浮かぶ
あの日、あの時、あの映画
繰り返しの日常が妙にいとおしい。

そんな気持ちを抱きしめて、
今日は眠りに就こう

あらびき団を見ながら