ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 観るべき映画

2008-06-28 01:33:39 | 映画
ご無沙汰しております。映画を観ても書くタイミングを失ってて。ま、面倒くさがりなんで。

荒涼とした大地に響き渡るサイレンのような弦楽器の音。男は深い穴の中でダイナマイトを仕掛けている。ジリジリとした時間が流れ、この映画は初っぱなから観客を不安に陥れる。

この男、プレインビューは掘り起こした金を元手に、石油掘りとしての才能を開花させていく。ダニエル・デイ=ルイスの、異常なほどの執着心で人々を巻き込んでいく様は圧巻。自らの欲望のためには手段を厭わない彼の精神には、全く共感できない。にもかかわらず、惹きつけて止まない何かが存在する。画面を見ずにはいられないのだ。

なぜなのか。人間は欲望を全て埋めることはできない。埋めようとすればするほど、それは遠のく。その現実を超えてプレインビューは突き進む。もはや、何が目的なのかも分からない。

中盤、イーライという伝道師が現れる。取り憑かれたような言動を繰り返す彼は、プレインビューの相対する鏡とも言える。神をも恐れぬその鏡の見事なぶっ壊し方に、惚れ惚れとしてしまう自分がいる。冷静に考えると恐ろしい。

20世紀初頭のアメリカの風俗や子どもの扱われ方、信仰といった背景の描き方も秀逸。「見所は、全て」と久々に言える作品に出会えた。

『ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛』

2008-06-09 00:59:48 | 映画
前作から2年。戦時下のイギリスに住む四兄弟が、おとぎの国で悪に立ち向かう。

前作以上に、分かりやすいぐらいのファンタジーの王道を行くストーリー展開。ただ、そこには「大人の階段」をのぼる兄と姉の戸惑いと自信が見え隠れするような成長物語になっている。ライオンのアスランを妹が目撃したにもかかわらず、姉には見えない。見えていたものが見えなくなるということは、裏返せば、それだけ人間として強くなったということ。弓を引く姿は精悍な顔つきが印象に残る。対して妹はブスカワイイね(褒めてるのか?)。

見ものは前回以上にスケールアップした戦闘シーン。良い戦闘映像の条件の一つに、物の重さが感じられることがあると思う。つまり重力、衝撃、といった類の表現に長けているとリアリティが増す。その点で、この映画は良くできてる。馬とか投石機とか弓矢とか、一つ一つの計算された動きが集まって臨場感が作られている。

それにしても、男どもの印象がどうも薄いのは、なんででしょうか?