ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『イルマーレ』

2006-09-26 17:24:05 | 映画
新宿ミラノ座にて。やっぱデカイ、ここは。でも、1300席もあるのにかかわらず、自分の両サイドがカップルという最悪な状況…。日曜の夕方なんていくもんじゃないね。ラブストーリーは平日の午前中に限る。

韓国映画『イルマーレ』のリメイク。キアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックが『スピード』以来の共演。「イルマーレ」はイタリア語で「海」の意味だそう。舞台が海のないシカゴなので、アメリカでのタイトルは「The Lake House」。代わりにレストランの名前で「イルマーレ」が登場する。

時間を隔てて同じ湖畔の家に住んでいる二人が、郵便受けを通じて手紙をやりとりするうちに恋に落ちる物語。アイディアは面白い。サンドラは、女医役。シカゴ、医者、ワーナー……ER!と強く思った次第です。カウンティ総合病院ではなかったけれど、画面で見慣れたシカゴの街だった。

一見、この恋、2006年を生きるサンドラの方が、2004年を生きるキアヌより「有利」のように思えるけれど、キアヌの方が先に相手のことを認識したことでは「有利」。もちろん、そんな損得勘定で行くような話ではないけれど。夏目漱石の『夢十夜』の100年待つ話までではないけれど、時間の「中距離恋愛感」に一喜一憂してる自分がいた。レストランを2年後の明日で予約するなんて、乙女チック、ロマンチック。

ただね、ラスト、あんなしつこいキスは要らない。時間を待ち続けた二人なのだからこそ、ただ抱き合うだけでいい。いや、じっと見つめ合う、それだけ十分だと思った。

『カポーティ』

2006-09-23 10:42:42 | 映画
今年のアカデミー賞、フィリップ・シーモア・ホフマンは、このカポーティ役で主演男優賞を受賞。あの独特のしゃべり方はなかなか。

カンザス州で一家4人が殺される事件が起き、新聞記事を読んだカポーティは、友人のネルを連れて、現場の町へ向かう。『ティファニーで朝食を』で名声を得、社交界セレブでありながら、ゲイでアル中と、都会暮らしを謳歌しているカポーティに対して、その町は、悲しげなぐらい荒涼としている。

やがて犯人が捕まる。男二人組。カポーティはうちペリーと接触し、話を聴いていくうちに、自らの境遇と似ていることに気づき始める。カポーティの「例えるなら、同じ家に住んでいたが、彼は裏口から、私は玄関から出て行った」というセリフに端的に表れている。

物語の主題は、殺人事件の残忍さを追い求めるカポーティの野心から、死刑を目前としている犯人と対峙する苦悩へと変化していく。カポーティには、コンプレックスの塊だったが、人の心に入り込む社交性があった。ペリーには無かった。元が似ているのに、たったその一点で、方や成功者、方や死刑囚。ペリーを失うことは、自身の一部を失うのと同じことのように感じていたから、その後、何も書けなくなってしまったのか。完成した『冷血』のタイトルは、己への十字架でもあったのかな、と。

さりげない、メディカル枕とWii

2006-09-17 00:18:21 | 日々
「通販生活」購読十数年。
ついにメディカル枕、買っちゃいました。
この枕、もう何年も販売数No.1なのだ!

寝付きは良くても、寝起きのとっても悪い自分としては、何か手を打たねばと考えたんだけど。前の枕がへたったのを機にメディカル枕を買うことを決意。ただネックだったのは、そのお値段。13000円。「人生の3分の1は寝てるんだもの」というマーフィー岡田の売り文句を思い出し、注文した。

届いた小包を開けると、布団圧縮袋みたいなのが現れた。封を開けると、かなりデカイ。普通の枕より二回り、三回り大きい。低反発みたいなのかと思ったら、そうでもないみたい。早速寝てみる。
おお、枕を感じさせない。さりげない。不思議。
頭の眠りのポイントに吸い込まれるような感覚。超不思議。
次の朝、結構スッキリ目覚めた。眠りへの投資は高いのか安いのか、まだ分からないけど。

Wiiの発表会が開かれた。25000円。安いタイプでも6万円超えのPS3とはえらい違い。単なる技術争いに与しないという姿勢が値段だけ見ても表れていると思う。岩田社長と開発者の対談を読むと、任天堂のやりたいことは、テレビゲームの進化ではなく、もっと広い遊びの進化なんじゃないかと。「リビングで出来るだけ目立たない存在」にしたかったという言葉に好感が持てる。
http://www.nintendo.co.jp/wii/topics/interview/vol1/index.html

ニンテンドーDSが躍進し、ソニータイマーという言葉が一般的になった今、もしかするともしかして、PS3は大コケするのかも。任天堂のさりげなく、そして、したたかな企みが始まる。

『ユナイテッド93』 あの笑みは何だったのか

2006-09-11 00:52:11 | 映画
5年前の同時多発テロでハイジャックされた4機の中で、唯一、地上の被害者を出さなかったユナイテッド航空の93号機。リアルタイムでテレビ中継を見ていた、まさにその時を描いた作品。

この映画には、主役はいない。もっと言えば、皆、無名の役者たちで、登場人物たちの名前も覚えていない。どこにでもいる人々の顔、会話。いつものように動き出した2001年9月11日の朝。彼らの行く先を知っている。だから、淡々と進んでいく日常に胸を締め付けられそうになる。

93号と管制塔と空軍司令室が交互に映し出される。最初にアメリカン航空のジェット機がハイジャックされるのだけど、地上は半信半疑で、情報は錯綜し、ついに93号は離陸してしまう。手持ちカメラでドキュメンタリー風に映る画面には、狭い機内に犯人と乗客と乗務員の叫び声が響く。家族への電話で、状況を知った乗客たちは、犯人たちを押さえなければ、もっと甚大な被害が出ると察知し、決死の覚悟で飛びかかる――。

実行犯は4人だった。後にパイロットから操縦桿を奪い握ることになる眼鏡を掛けた男は、決行の直前、スチュワーデスに飲み物のことを尋ねられ、一瞬微笑んで断る。これがずっと引っかかっていた。なぜ、これから自爆テロをする人間が、微笑んだのか。推測するに、彼は無意識のうちに笑みが出てしまったのだろう。つまり、彼女や乗客たちに対しては、何の恨みももっていなかったということではないか。なのに、一般市民に矛先を向ける。その矛盾。そして、最期の瞬間まで、苦悩する彼の表情をカメラは追う。

想像で作られた映像を観ての推測だから、本当のところは、誰も分からない。でも、映画の中でテロ犯が見せたあの笑みに、分断されてしまった世界の、わずかの希望が残っているように思いたい。

『ローズ・イン・タイドランド』

2006-09-10 00:23:42 | 映画
新宿武蔵野館にて。

『ブラザーズ・グリム』が珍しく商業的に当たったテリー・ギリアムが描く、現代版不思議の国のアリス。主役ローズの女の子がカワイイ。演技も良くできてる。ただ、見終わった時、感情をどこに置けばいいのか、解らない自分がいた。

ヤク漬けのパパと自己中のママ。発作でママが死んで、今は亡きおばあちゃんの家へ引っ越すことに。ヤバい環境から精神的に逃れるためなのか、ローズの想像力(というか妄想力)に長けている。頭だけのバービー人形やリスと会話できるし、パパが「バケーション」がたまたま長いだけと本気で信じてるし。

フロイト先生に診断書を書かせれば、ものすごい量になりそうなシーンのオンパレード。妙にセクシーなローズと性的倒錯のあるディケンズ(彼はてんかんだという設定らしい)。死の誘惑と、対称的に死への畏れ。生命の復活を待望する人。ギリアムが「これはラブストーリーだ」と言ってしまえば、そうなのだろうけれど、笑っているうち、空恐ろしさに気づいてしまって。ラストの「巨大ザメ」を倒したところで強烈に現実に引き戻される。想像と現実のギャップが素晴らしいほど激しい。

こんなに困った映画は初めて。

『スーパーマン リターンズ』

2006-09-06 23:56:57 | 映画
18年ぶりに帰ってきたスーパーマン。ジョン・ウィリアムズ作曲のあのテーマ曲を聴くと一気にボルテージが上がる!

速い、強い、長い。三拍子。

速い:鳥とか飛行機とかのレベルではないよ、あれは。マトリックスか!暴走するスペースシャトル付きジェット機(この設定もすごいけど)にいとも簡単に追いついてしまう。飛行機が墜落する『LOST』を観てる最中だから、妙に手に汗握ってしまって。助かった瞬間なぜかちょっと涙目に。良かったねぇ、って。

強い:まあ、強すぎて、ダウンしたときに病院で注射針も折れちゃうんですけどね。

長い:2時間半。もうちょっとサクッといけなかったかな。

宇宙での仲間捜しから帰ってきたクラーク・ケント。養父は亡くなり、元恋人ロイスは、「なぜ我々にスーパーマンは必要ないか」という記事で、ピューリッツァー賞を受賞していた。なんともまあお気楽な賞に成り下がったこと。しかも、彼女には息子がいて…。主人公の不幸度としたら、ドラクエ5並。おすぎも言ってたけど、クラーク役のブランドン・ラウスは、あまりにも青のスーツに赤マントが似合いすぎて、これ以外の役が考えられない。どうすんだろね、この人。ケビン・スペイシーのハゲ頭も○