ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『告白』 中二病の闇

2010-06-20 19:42:12 | 映画
学級崩壊している教室で、担任の森口悠子はゆっくり語りだす。「娘はこのクラスの生徒に殺されました」―。衝撃的な告白に、さまざまな反応を見せる生徒たち。そして、森口は教師を辞める…。

「有名になりたい」「人気者になりたい」「自分はもっと評価されてもいい」「なんであいつが」「みんないなくなればいいのに」「自分は必要とされてない」…。そんなことでいちいち悩んだり落ち込んだり。「中二病」といえばそんな感情から派生する珍妙な行動や思考をさす言葉(と理解してます)。これを『色即ぜねれいしょん』では、70年代の鬱屈する少年の成長物語として描いていて、見る人にノスタルジー的な安心感をくれる。じゃあ、今は?

今も、中二病を患う少年少女の本質は変わってない。でもケータイやネットの出現で、中二病の欲望を叶えるものが簡単に手に入るようになってしまった。それは、想像の中で悶々と処理されてきたものが、ちょっとしたことで実現してしまうということ。この『告白』では、中学生だけではない、教師も親も人間が皆持っている中二病のグロテスクな側面がありありと見せつけられる。クラス、学校という「世間」の描かれ方も、生々しい。

と、重い映画のように書きつつも、映像は洋楽がかかりミュージックビデオのように軽く流れていく。松たか子の感情を排した淡々とした語りも相まって、奇妙な空間が出来上がってる。もしかしたら原作と違うテンションかもしれないけど、中島監督はうまくやったと思う。

「先生の娘を殺したのは、誰?」というのが宣伝のコピーだけど、見終わった今、「殺したのは、何?」という問いがグルグル頭の中を回ってる。