ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『トンマッコルへようこそ』

2006-11-29 00:23:44 | 映画
いいタイトルだなぁ。「ようこそ」って言葉には、無下に断れない力があるように思う。朝鮮戦争のさなか、こち亀に出てくる「度田舎県度田舎村」のような時代に取り残された村落が、このトンマッコル。

韓国語で「子供のように純粋な」という意味を持つ村の名前そのままに、村人たちは戦争のことなど知らず、銃も見たこともなく、平和に暮らしていた。そこに、人民軍と韓国軍、それにアメリカ兵が鉢合わせてしまう。

もともとは舞台劇で、ファンタジーは当たらないと言われる韓国で大ヒット。朝鮮戦争という史実にぽっかり浮かぶ桃源郷のような空間だからこそ、ありそうでなさそうな物語に引き込まれてしまう。

登場人物の中で、特に目を引くのが村の女の子ヨイル。頭の弱い子という設定だけど、彼女の表情は魅力的すぎる。笑顔がいい。そして、なによりオープニングの、何を考えているのかわからない(何も考えていないのかも)、あの表情。すごいね、この子。カン・へジョンって言うんだって。覚えておこっと。「韓国の大竹しのぶ」の称号をあげよう。俺権限で。

寛容さが非寛容な人々まで包み込んでしまう様子は、見ていてとても優しい気持ちになれる。だから、もっと長く村人一人ひとりとの交流を描いてほしかった。132分という上映時間をみると、泣く泣く切ったシーンがあるんだろうな。

それでもポップコーンが舞うシーンは美しいし、イノシシのシーンはおかしくて喜びに満ち溢れている。スローモーションの多用は、トヨエツのサッポロビールCMを思い出すんだけど、それって監督がCM畑出身だから?

『ブラック・ダリア』

2006-11-23 11:13:55 | 映画
1940年代のアメリカで起きた「ブラックダリア事件」を基に、事件を捜査する刑事の物語。監督は『アンタッチャブル』『ミッションインポッシブル』のデパルマさん。妖しい感じの1940年代のロサンゼルスの雰囲気は、十二分に伝わってきた。

ただ、なにせ、ストーリーが入り組んでて、よく分からなくて。実際には未解決の「ブラックダリア事件」を解明していくプロットと、「ミスターアイス」と「ミスターファイアー」の二人の刑事のそれぞれの情事とが、絡み合ってるのかないのか…。単に自分の理解力の問題なのかなあ?もっとストーリーをすっきりさせてほしかった。

R-15指定だったけど、グロさほどほど、エロさはもの足りず。ヒラリースワンクは良かったから、もっともーっとやってくれれば(何を?^^;)。クレーンカメラを使ったり、一人称視点(クイズところ変れば的な)の長回しシーンは、好きです。次でもやってください。

『RENT』来日公演に行ってきました。

2006-11-20 00:01:10 | 日々
念願の『RENT』を東京厚生年金会館で観てきた。チケット、1万1000円もしたけど。

あー、やっぱりね、熱いわ。出だしの"Rent"のアップテンポさに身体が反応してしまう。だって、iPodでいつも聴いてたもの。舞台の両側に字幕の装置があるんだけど、どっちを見ていいのやら、視線ウロウロ。しかも、明らかに訳の言葉が足りないし。英語耳が欲しい。

キャストは、特にジョアンヌの歌唱力が素晴らしかった。たぶん、『オペラ座の怪人』のマダム・ジリー、『シカゴ』のママ・モートン的なポジションなのだろう。ヒロイン・ミミ役の若手(20才ぐらいらしい)をサポート、しっかり全体に落ち着きを与えてる。だからこそ、モーリーンに「踊らされる」、"Tango:maureen"もまた、愉快。そして、エンジェル。その名に相応しい鮮やかな赤のドレスがクリスマスの舞台によく映えていた。ボールが弾むような動き。それが無くなったときの空間の寂しさ。彼(彼女)の存在がどれほど大きいことか。

重低音がいいね。映画じゃ伝わらないもの。それが、若者たちの湧き上がる衝動みたいなものと、とってもリンクしてて。2幕の最初に流れた"Seasons of Love"は、いつも聴いていたものとは、ちょっと違い、前のめりな感じだった。慌てていたのか、衝動を表していたのか、不安を描いたのか。

太田総理が「悩んでいる人は、きっと魅力的なんだよ」と言っていた。「笑い」ではなくストレートな言葉でしか表現できないと、暗中模索している太田の言葉を、『RENT』の人々に見たような気がした。

1部2000円のパンフレットを買うべきか、悩んでいた自分は別にして。

おそれいりますがしばらくそのままお待ちください

2006-11-15 23:13:40 | 日々
なんと素直な言葉なのでしょうか。
さっき11時前後、フジテレビで「ピー」という信号音とともに、この画像が流れてた。北海道の津波のニュースを番組に重ねるシステムが変になったんだろうけど。それにしても、レトロさたっぷりだなぁ。開局当初からこれだったりして。キャプチャーしておいて良かった。

まあ、皆さんも津波と放送事故にはくれぐれも注意して下さい。

ちょっと、

2006-11-09 00:13:27 | 世間
いくつか書こうと思います。映画のことばかり書いていたので。

■いじめ問題、未履修問題と、学校を巡るニュースが毎日流されているけど、なんとなーく、違和感が。
いじめに関しては、とても大切なことだけれども、今に始まったことではないし、学校や教育委員会が不誠実なのもいつものことな訳で。未履修も、今まで誰も見て見ぬふりだったのに、なんで今なのか。
そんな時、「教育基本法、今国会成立の見通し」の記事。衆院の委員会通過も間もなくだそう。与党の合意が取れているのだから、あとは世論をなびかせれば良いのだろう。どーも、学校、教委の不信感を煽るネガティブキャンペーンのように見えてしまう。
新狂気法、もとい、新教基法(変換したら出てきた…)の中央集権に傾く部分とリンクしているような気が。タウンミーティングのやらせ質問のニュースの扱いが小さいのも気になる。

■アメリカ中間選挙。共和党の敗北。民主党は12年ぶりに上下院ともに過半数に返り咲いたとか。つまり、ブッシュ政権は少数与党に。
『ザ・ホワイトハウス』のバートレット政権も少数与党だったなあ。でも違いは、最初から少数与党だったバートレット大統領は、奮起し8年後に後継の大統領候補に禅譲することができたけど、ブッシュは、任期2年残して、レームダックに追い打ちを掛けた感じ。
イラク戦争(のニュース)によって、番組休止に追い込まれたバートレットの怨念か?

■電車の中吊り広告、新創刊『Beth』。「キレイ系オタクなあなたのための、新しい雑誌」だそうな。
オタクの間口が広がった今となっては、こういうアプローチもアリなのかもしれないけど、「キレイ系」を自称する女子なんて嫌いだ!
http://bethnet.jp/pc/

■AGA(薄毛・抜け毛)のコマーシャルに爆笑問題が出てるのはいいだけど、その新聞広告に、「爆笑問題・田中さんは広告上のキャラクターであり、実際は薄毛ではありません」って!なんだよその説明。
やっぱり、後ろめたく思わなきゃいけないことなのかよ。なんか微妙な矛盾を感じてしまう。

『松ヶ根乱射事件』@東京国際映画祭

2006-11-04 23:48:03 | 映画
タイトルも訳わかんないけど、実際、訳わかんない。

90年代半ばのどこかの田舎という設定。登場人物は皆、何かを引きずり、それから情けない人々ばかり。その様子が可笑しいと言えば可笑しい。クダラナイと言えばクダラナイ。会場は、常に薄ーい笑いが。そう、うすーい。

妙な雰囲気のなか、情けない住民の中でも特に情けなさ度が高かった三浦友和が、面白い。いつもやってる実直な役とは、かけ離れてて。でも、一番、登場人物の中では、モノが見えているようにも思える。これは不思議。

最後のオチもこれかよ!ってな感じで、ようわかりまへんでした。『アメリカンビューティ』をやりたかったのかな?10年ぐらい前って、時代が微妙すぎて撮りにくかったろうに。

映画祭に注文。コンペティション作品は、オーチャードホールでやるな。人が埋まらないから。ティーチインも距離が遠すぎて、うまくいかないし。だったら、舞台挨拶だけで十分だってば。

『地下鉄に乗って』 君は鍋横を知っているか?

2006-11-02 00:13:56 | 映画
鍋横、正しくは鍋屋横丁。昔あった茶店の名前が由来。ここが、自分の地元であり、この映画の舞台だ。

主人公の真次は、地下鉄の永田町駅から、東京オリンピック直前の新中野駅にタイムスリップしてしまう。ここが鍋屋横丁の商店街(実際は青梅街道沿いに駅があるから違うんだけど)。真次は、このあたりのお屋敷に住んでいた(自転車に書かれていた住所を地図で調べたけれど、屋敷のあったようなところではない)。真次は、新聞に書かれた日付を見て、兄が自殺した日だということに気づく(原作では地下鉄で自殺したことになってたが、東京メトロの協力を得て作られたこの映画では走るバスへ飛び込んだ)。

読みにくくてすみません。地元人だけに、あらすじを書くと、ツッコミが入ってしまって。特に、最後の件は、真次の地下鉄に対する複雑な想いを表現する、大切なシーンなはずなのに。そこは残念。

でも、『Always 三丁目の夕日』の明るいノスタルジーとは違って、きちんと闇を持たせているのが、印象深かった。現に、過去のシーンは夜の場面が多い。父親の生き様を目の当たりにし、戸惑い、決意する堤真一の表情が良かった。

両親もこの映画を観てきた。オデヲン座の場所や、スマートボール屋の思い出、地下鉄が開通した日のこと、色んな話を聞いた。父母、それに祖父母の生きてきた空間と時代。それに少しでも触れられたような気がした。東京出身の性もあってなのか、アイデンティティというか、自分のルーツというか、今まで考えたこともなかったことに、この2時間向き合ったのかもしれない。

みんなは、単なるお涙頂戴モノだと言うかもしれない。けれどもこれは、私の、映画だと思った。