ゼミが休講になって2コマ空いたため、下高井戸シネマにて鑑賞。
1960年の韓国。大統領公邸のある町で理髪店を営んでいるハンモは、ひょんなことから、大統領の理髪師として、公邸の出入りを許される。国家元首である大統領と、その正反対にいる末端の理髪師とのやりとりというアイディアは秀逸。実際に髪を切る場面でも、2人のギャップの滑稽さに、観衆は吹き出してしまう。
ユーモアを交えつつ、庶民にとっては、辛く厳しい時代だったことも伝える。北朝鮮のスパイ潜入事件を下痢騒ぎと結びつけたり、ムチャクチャな軍事政権の実態を茶化す。教育を受けられなかったハンモは、その状況も分からず右往左往する。
ハンモ役のソン・ガンホは、決して二枚目ではない。しかし、時にいいかげんだけど、人情を大切にする人間の役にこれほど打ってつけな役者はいない。息子に危害が及ぶと、人が変わったかのように叫び、そして、息子に尽くそうとする。終盤近く、大統領の肖像の目を削り取ろうとする場面の、戸惑いと決意を含んだ表情なんか、とても巧い。好きな役者の一人だ。
ひとつの場面にも、笑いあり、涙あり、厳かさあり、ケンカあり、様々な感情が渦巻いていて、向田邦子のドラマの様にも感じた。ちょっと凶暴なところもあるけど。
現代史の中の市民を描いた『フォレスト・ガンプ 一期一会』『グッバイ・レーニン!』に並ぶ傑作。時代や体制は変わっても、家族の繋がりの大切さは変わらないんだなぁ。
1960年の韓国。大統領公邸のある町で理髪店を営んでいるハンモは、ひょんなことから、大統領の理髪師として、公邸の出入りを許される。国家元首である大統領と、その正反対にいる末端の理髪師とのやりとりというアイディアは秀逸。実際に髪を切る場面でも、2人のギャップの滑稽さに、観衆は吹き出してしまう。
ユーモアを交えつつ、庶民にとっては、辛く厳しい時代だったことも伝える。北朝鮮のスパイ潜入事件を下痢騒ぎと結びつけたり、ムチャクチャな軍事政権の実態を茶化す。教育を受けられなかったハンモは、その状況も分からず右往左往する。
ハンモ役のソン・ガンホは、決して二枚目ではない。しかし、時にいいかげんだけど、人情を大切にする人間の役にこれほど打ってつけな役者はいない。息子に危害が及ぶと、人が変わったかのように叫び、そして、息子に尽くそうとする。終盤近く、大統領の肖像の目を削り取ろうとする場面の、戸惑いと決意を含んだ表情なんか、とても巧い。好きな役者の一人だ。
ひとつの場面にも、笑いあり、涙あり、厳かさあり、ケンカあり、様々な感情が渦巻いていて、向田邦子のドラマの様にも感じた。ちょっと凶暴なところもあるけど。
現代史の中の市民を描いた『フォレスト・ガンプ 一期一会』『グッバイ・レーニン!』に並ぶ傑作。時代や体制は変わっても、家族の繋がりの大切さは変わらないんだなぁ。