ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『7月24日通りのクリスマス』@東京国際映画祭

2006-10-28 17:44:02 | 映画
TOHOシネマズ六本木にて。

舞台挨拶に登場した中谷美紀さま。去年の映画祭クロージング作品『力道山』以来。ご無沙汰してました。トットちゃんヘアーに、クリスマスを意識してか、赤いドレス。偶然にも自分も赤のシャツを着ていた。それだけでもうウキウキしていたら、目が合った。絶対。きっと。…たぶん。

レッドカーペットを歩いた感想を訊かれ、「柴咲さーん」の勘違い声援に「はーい」と応えたのだとか。柴咲は事務所の後輩ってこともあってか、この余裕ですよ。素晴らしい。沢尻に美紀さまの爪の垢煎じてぶっかけたいぐらい。K列の右端なんて苦にもせず、十分堪能させていただきました。ひとつ、いちゃもんつけるとしたら、邦画の特別招待作品に、通訳は要らぬ。コンペティションやある視点部門じゃあるまいし、英語圏の人はいたのか?もし、いたとしても、イヤホンに同時通訳でいいんじゃない?通訳のせいで、お声が聞ける時間が半分になってしまったわけで。

さて、本編。ま、『電車男』の逆バージョンをやろうとしたのだろうけど、なんか腑に落ちない。『電車男』がオタクからの成長物語だったのに対して、こっちは変身物語と言った方がいいのか。悪戦苦闘ぶりがなくて、すんなり「大人の女性」に変わってしまうところがいまひとつ。終盤の雪崩れ込むような展開で無理やり、みんながみんなハッピーエンド。てっきり、佐藤隆太とくっつくものだと思ってたのに。コメディ部分も微妙。良くも悪くもデートムービーです。気になったのは、サユリを応援するポルトガル人風の親子が、NHK『にほんごでくらそう』の小林克也荘に住んでいたオッチャンだったこと(知ってる?)。

なんだかんだ言って、やっぱり脚本が犯人か?

『フラガール』 ベタの気持ちよさ

2006-10-25 01:41:47 | 映画
TOHOシネマズ南大沢にて。

廃れた鉱山の町に常磐ハワイアンセンターができ、ずぶの素人の炭鉱の娘たちがフラダンサーになるまでのサクセスストーリー。自分の父親が、大学でまさにハワイアンのサークルにいた時期。今もウッドベース弾いてるし。ジェイク・シマブクロの、風が通り抜けるような音楽を聴きながら、ウクレレでも始めてみるかなと思ってしまった。

松雪泰子の気迫がいいね。田舎娘と対照的で。去年のM-1に続きまたもや、しずちゃんの女の顔を見てしまった…。映画としてはいいけれども、芸人としてはどーなのと要らぬ心配をしてしまう。あと、ずっと眼鏡のおばさんを藤山直美だと思ってたら、大人計画の女優さんだったのね。

『パッチギ』のような派手なケンカあり、伊丹映画のような痛快な展開あり、寅さんのような人情話あり、ベタなシーンの連続。でもそれが嫌な感じにならず、快感になっていく。

パンフレットの中で映画評論家が、「アメリカ映画的」だと書いていたけれども、私はむしろ逆で(ナタリア風に)、これは「真っ当な日本映画」だと思う。ベタは能や歌舞伎の時代から続く、日本の伝統だ!日本の「ベタ」が、アカデミー賞の場で世界に挑む。

『父親たちの星条旗』@東京国際映画祭

2006-10-22 00:38:02 | 映画
何となく地味な印象の「第19回東京国際映画祭」。来年の20回を盛大に行うために? 通い始めて4度目にして、オープニング作品を観ることと相成りました。

上映に先立って、六本木のレッドカーペットの様子が生中継。まあ、これがこっちが恥ずかしくなるぐらいの不手際の連発。クリスペプラー風のオッサンが番組の司会なんだけど、「さてこちらは…」と言ったまま、映っている人の名前がわからないのか、そのまま流すし。レポーターは、プロデューサーに対して「監督、一言お願いします」って言ってみたり。マラソン中継じゃあるまいし、映像がコマ落ちの連続。しまいにゃ、時間が無くなって、中継をプッツリ切るし。

そんな中、衝撃だったのが、沢尻エリカ。デカグラサン、毛皮のコートにジーパン、ガムをクチャつかせながら話すその顔は、完全な二重アゴ。どこぞのアメリカティーンアイドルだよ!『パッチギ』の面影は何処へ?対して、中谷美紀お姉様は、ウェディングドレスのような白のお召し物に、黒柳徹子を意識したようなバスケット髪型(なんて言うのか知らない)が愛くるしい。
もう、それが見られただけで十分です。

さて、映画本編。第二次世界大戦末期、戦争に疲れ切っていたアメリカ国民に、激戦地の硫黄島で星条旗を立てる6人の兵士の写真が届き、戦意は再び昂揚される。しかし、その裏には…。

あらすじはこんな感じなんだけど、戦場シーンは、映像はさることながら、銃弾や爆発の音がすごい。耳が痛くなるくらい。話が進んで、この意味が分かった。生き残った写真の3人が、アメリカでヒーローとして喝采をあびる。この歓声や拍手、カメラのフラッシュが渦のようになって、彼らに戦場の記憶を甦らせる。この時の音も物凄い。銃弾と歓声は、相対するもののように見えながら、人生を変えてしまう力があるという点では同じもの。持ち上げるだけ持ち上げられて、戦争が終わればあっという間に落とされて。それは、イーストウッドの前作『ミリオンダラー・ベイビー』の時にも感じた、転落の呆気なさだった。

上映終了後、レイニー・ギャグノン役のジェシー・ブラッドフォード、アイラ・ヘイズ役のアダム・ビーチ、原作者のジェームズ・ブラッドリーが舞台挨拶。ジェームズさんは、生き残った兵士の息子で、上智大学に留学したことがあるとか。日本で傷つきながら、よく子どもを日本へ向かわせたものだ。理解ある父親だったのだろう。

『V フォー・ヴェンデッタ』

2006-10-18 00:46:15 | 映画
いまさらながら、DVDで。3月に行ったロンドンで、盛んに宣伝してたから、気にはなってたんだけど。

第三次世界大戦によって、全体主義国家になってしまったイギリスが舞台。外出禁止令が出ている最中に出かけてしまったイヴィーは、秘密警察に捕まりそうになったところを、仮面男の"V"に助けられる。

この全体主義崩壊を目論むVの暗躍がテンポ良く描かれていて痛快。そのベースに、自身の復讐心があり、憎しみをシニカルな笑いで過激に包み込んでいる。脚本を手がけたウォシャウスキー兄弟の『マトリックス』と構造は似つつも、あり得るかもしれない世界だと、妙に納得させられてしまう。少し、脇の人物やストーリーが入り組んでいるけれど、観客の心を奮い立たせる面白さがある。ラストシーンは、あっついものが胸にこみ上げてきたよ。

Vは、Vで始まる単語をよく使っていることや、5の数字を多様していたり、トリビア的なものがたくさん。それに、シェークスピア劇のような名文句もたくさん。好きなのは「政治家は嘘を語り、作家は嘘で真実を語る」。この空想物語が、あの国やこの国のことを想わせる。

権力を握らない(握れない)99.99%の人、必見の映画。

『サム・サッカー』

2006-10-11 23:09:56 | 映画
貧しい家庭に生まれた少年サムが、有力サッカーチームの監督に見出され、ヨーロッパリーグで大活躍するようになるまでを描いた作品。 …ではない。

"thumb sucker"親指を吸うことが止められない17才の高校生ジャスティンのお話し。お母さんが『ナルニア国物語』の白い魔女!なんだか、それが気になって、気になって。一つのことがうまくいくと、とんとん拍子に良くなっていて、あるポイントまで達すると、スパイラルのように落ちていく。アップダウンの激しストーリーとジャスティン自身。なぜか脇役の歯医者で出演しているキアヌ・リーブスが、ちょいとしたアクセント。

観ていてずっと考えていた。ああ、このタイプのヤツ知ってるなあって。依存することに依存するタイプ。自己目的化してるような。漠然とした不安は、誰も彼ももちろんあるけれど、こうじゃないんだよなぁ自分は。ニューヨークに駆け出していくシーンを観ながら、果たして本当に「答えのない人生を生きる力」を身につけたのか「?」が出てきた。まあ、そんなこと、一生掛かるようなものなのかもしれないけれど。

日テレ『14才の母』は、どんな生き様を見せてくれるのだろうか。