ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

輝く!ピロデミー賞2012

2013-01-03 17:04:15 | ピロデミー賞
全国、四捨五入すれば10人程度は存在すると思われるピロデミー賞ファンの皆様、お待たせしました。第9回の「輝く!ピロデミー賞」各賞の発表です。

【2012年ベストテン】
1 サニー 永遠の仲間たち
女版「パッチギ!」。歌に恋に大ゲンカにと、痛快で晴れやかな気分にしてくれる。ハチャメチャやってるけど、しっかり時代も描いてて、韓国は386世代以降も着実に監督が育ってるなと実感。
2 別離
裁判員になったかのような気持ちにさせられるサスペンス。ハラハラする場面に家族の有り様とイランの社会が透けて見えてくる。特に主人公の妻と妊婦の家政婦の人物像が興味深かった。
3 かぞくのくに
ラスト間際の兄が車で去るシーンは、痛くて切なくて心えぐられる。ヤン監督から「兄に対して私が出来なかったことを」と言われ、アドリブで演じたと聞き、納得した。
4 最強のふたり
「違っていても仲良くしよう、ではなく、違っているから仲良くしよう」という、まどみちおの言葉を地で行く物語。ふたりの笑顔に、セプテンバーの曲がよく合う。
5 夢売るふたり
無言で思索する場面での、お松の凄み。「今が一番いい顔しとる」という阿部サダヲの言葉が、女の恐さを象徴してる。
6 少年は残酷な弓を射る
徹底的な母親に対する嫌がらせ。理由の見えない絶望感といったら…。呆然と、どんどん表情を失くしていくティルダ・スウィントンが素晴らしい。
7 ロボット
あるもの全部放り込みました的なパワフルな映画。結局、歌って踊るのも、楽しくてしょうがない。年に1本はこういうインド映画を見たい。
8 ミッドナイト・イン・パリ
「昔は良かった」ノスタルジーへの憧れを、きっちり皮肉で打ち砕く。ラストの雑貨屋のお姉さんとくっつくのは、「今を生きてる君には、今が一番いい時代なんだ」ってメッセージに思えた。
9 私が、生きる肌
発想がエキセントリック過ぎて、かなりキてる作品。復讐からもう別の次元に行っちゃってるんだろね。くわばらくわばら。
10 ライク・サムワン・イン・ラブ
自分を知ってほしいという感情と、知られることへの躊躇と。老教授と若い女の2人の主従入れ替わり、最後は共犯関係のような心境に至るやり取りが面白い。夜の描かれ方も綺麗で、好き。
次点 ル・アーヴルの靴みがき
善人ばかりの登場人物に、シニカルな笑いが相まって、ささいな日常が尊いものに見えてくる。カウリスマキは色遣いが本当にいいよねぇ。
次々点 人生はビギナーズ
「トラップ大佐」がゲイだったというのは想像できなかったけど、実際見てみると自然な感じで受け入れられた。息子の視点で描いたっていうのが良かったんだろうな。

特別賞
・11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち
左翼の若松監督が撮る右翼。全学連とアジり合いをする場面に、思想は違えど共通するこの国に対する思いがあったのだと感じた。
・これは映画ではない
タイトルから穏やかじゃないけど、監督の胸中が痛いほど伝わってくる。表現者にとっては辛い記録でもあるけど、検閲があるが故に生まれた希有な映像でもあるわけで。

今年は富山への転勤によって、単館系の作品が封切られるのが3ヶ月遅れぐらいの環境になっちゃったけど、フォルツァ総曲輪という作品チョイスの良い映画館に出会えて良かった。

【最優秀女優賞】
樹木希林 「我が母の記」
希林ばあちゃんの呆けっぷりがサイコー。その場にいない人に対して話しかける様は、もはや名人芸と言って過言でない。人間国宝もの。
【最優秀男優賞】
井浦新 「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」「かぞくのくに」
今年2度、話を聞く機会があって、役に対して本当に真摯な向き合い方をしてる人だなと。待機作も楽しみでしょうがない。

■ドラマ部門
【国内ドラマ賞】
NHK カーネーション
フジ ゴーイングマイホーム
【海外ドラマ賞】
シャーロック2
【最優秀女優賞】
尾野真知子(カーネーション、小原糸子役)
【最優秀男優賞】
渡辺謙(NHK 負けて、勝つ ~戦後を創った男・吉田茂~、吉田茂役)

カーネーションは、後半になっても素晴らしかった。夏木マリに糸子役が代わったことに批判はあったけど、あれはあれで。ゴーイングマイホーム、視聴率は完敗。でも、ああいう静かに味わうようなドラマは、各局が年1作は作るべき。渡辺謙の吉田茂役は、若すぎるデカすぎるってのは分かる。でも、苦虫を噛み潰したような、クシャおじさんみたいな、あの表情は良かったと思う。

■ゴールデン・タンジェリン賞(略してタジー賞)
 最も「アレ」な感じの作品と俳優に贈られます。

【タジー作品賞】
・メランコリア
タイトル通り物語が憂鬱でたまらないし、意味プーな展開。ただ、冒頭の超スローモーション映像は、繊細に描かれた絵をじっくり見てるようで、そこは好き。
・ヘルタースケルター
エリカ様にまつわるイメージを最大限に使ったあざとさは、逆にアッパレというしかないのかも。
・ツナグ
死を泣かせるためのアイテムにしか思ってないようなつくり。そんなのに八千草や仲代といった超大御所が出てるのが謎。
・終の信託
尊厳死が一般的でない時代を描いたのであれば理解できるけど、そうじゃないからどう見ても医者側の落ち度にしか見えない。それに、検察官役の大沢の大仰な演技と棒読みの草刈の応酬が続く終盤45分は、見ているこっちとしては地獄。周防監督やっちまったな感がハンパない。

【タジー女優賞】
・キルステン・ダンスト(メランコリア)
・沢尻エリカ(ヘルタースケルター)
・草刈民代(終の信託)
【タジー男優賞】
・草剛(あなたへ)
漁師役の大滝秀治のガチ演技を見たら、あんな軽い演技は許せなくなる。
・大沢たかお(終の信託)