ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『善き人のためのソナタ』

2007-06-27 00:08:01 | 映画
火曜千円均一の下高井戸シネマにて。約1ヶ月ぶりに映画を観た。

東ドイツの国家保安省の局員ヴィスラーが、反体制的と見られるある劇作家のアパートを盗聴する。1984年は、自分の生まれた年だ。たった二十数年前に、こんな監視体制があったのだという事実にまず驚く。でも、その事実を声高に訴えかけるような物語ではない。

盗聴しているヴィスラーは、体制側の人間でありながら、素性は孤独な男だ。その耳に流れてくる音楽、言葉、そして男女の会話。殺風景な町と同様に空っぽの心に、感情が満たされていく。もしかしたら、深夜ラジオを聞いている感覚に近いのかもしれない。離れているのに、存在も知られていないのに、情を感じてしまう。この不思議な感覚がヴィスラーを駆り立てる。逆に、目の前に人がいても、肩書きを背負うと何も感じられなくなってしまうのか、そんな風に思えるシーンもある。

その狭間で揺れるヴィスラー。彼はほとんど無表情だけど、演じたウルリッヒ・ミューエは、わずかな機微をその佇まいで表現してるのだから、すばらしい。いい役者さんです。

臆病な自尊心と、尊大な羞恥心

2007-06-25 00:30:44 | 日々
3週間の教育実習が終わった。

分かったこと。己がいかに何も出来ないのかということ。実習を始めた当初は、生徒とやりとりのある相互的な授業を目指していたのに、いつの間にか、カギカッコ付きの「授業」をやっている自分がいる。写真や新聞記事を用意して、プリントも気合い入れて作って、一生懸命やってるにもかかわらず。寝ている生徒が出てくるのは承知していたけど、実際遭遇すると、結構ショックだったり。

一番、堪えたのは研究授業。大学の先生も、校長も、実習生も、見に来ている中で、汗だくになりながらやったものの、生徒の反応は芳しくなかった。その後、先生に言われたのは「堂々とやっているけれど、君がやっている事に対しての意味がない」ということ。メッセージに欠けているというのだ。確かにそう。

「受験科目にあまり使われない政経なんだから」とか「たった3コマだけの授業なんだから」とか言い訳はいくらでも出来るけど、普通の「授業」を普通にやって、失敗さえも出来なかった。

研究授業の後、他の実習生の授業を見ていた。現代文の『山月記』だ。高校時代には理解できなかったが、今になってやっと分かった。虎になってしまった官吏が原因を自分の内面にに求めた一節――「臆病な自尊心と、尊大な羞恥心」。まさに自分自身のことだと思った。

「ピロシ、教育実習へ行く」の巻

2007-06-04 23:47:33 | 日々
今日は初日でした。この実習のために、一万円はたいて麻疹入りの混合ワクチンも接種してきたし、教科書もばっちり読んだし、寝たの3時だったし(^_^;

そんなこんなで、緊張しつつ登校したけど、杞憂だった。

そりゃそうだ。自分の出身校の都立高に行くのだから。ゆるーい雰囲気であることを今更ながら思い出す。担当のクラス担任はつかまらず、授業は、1時間目から自習だから来なくていいよ、と言われる始末。待機、待機、でいいのかしらん。昼に避難訓練があって、そこで実習生が挨拶する段取りだったけど、あまりにもうるさかったので、「おかし」の約束を守れ!と言ってしまったわけで。先生方は笑ってたけど。

明日から金曜まで、中間テストです。テストの監督もしないから、窓のない控え室で待機でしょう。社史編纂室に左遷された感じ。これって、わざと?本当にこんなで、いいのかしらん。


P.S. アップルのiMovieのCMに中谷美紀が登場。あの一連のCMには度々、イラッとしていたが、今回については、「くやしいです!(ザブングル加藤)」。

『パッチギ! LOVE&PEACE』

2007-06-03 00:50:36 | 映画
2005年の映画賞を総ナメだったにも関わらず、日本アカデミー賞では『ALWAYS 三丁目の夕日』に全て持っていかれた『パッチギ!』の続編。

前作から6年後の1974年の東京が舞台。アンソンの息子も小学生になったのだが、相変わらずアンソンは、ケンカに巻き込まれて大乱闘。朝鮮高校と大学の応援団とのケンカだから、因縁めいたモノがあるんだろうけど、もうこれが馬鹿馬鹿しくて笑っちゃう。

お、パッチギが戻ってきたと思ったのもつかの間、なんだかその先は、寅さん風の人情物語になっちゃった。前作の濃い空気感みたいなものが、薄まってしまった(時代の変化という説明も出来るとは思うけど)。そして、在日という哀しみが、息子の病気という悲しみに凌駕されてしまって、これだったら普通の情話だよね、って言われてしまうかも。

キャストに関しては、脇の方々は各々のポジションを分かっていて良かった。ワンシーンしか出ない人が多くて、もっと見たかったなあ。アンソン、キョンジャ兄妹は、前作から一新。沢尻があんな状態(ヘイポー氏の言葉を借りるなら「とんでもないおサセがやってきた」だな)なので、これは正解。中村ゆりは自身が在日だということを背負っての出演。映画プロデューサー役のラサール石井を、キッと睨むところが良かったです。

空気感が薄まったとはいえ、エンターテインメント映画として面白い。イーストウッドの硫黄島二部作にも劣らない戦争シーンあり、芸能人水泳大会あり、密輸密航あり、乱闘あり、ラブシーンあり、何でもかんでも詰め込みすぎだって批判もあった。そこまで大盛りだったのに、何かが、もの足りない。 それって欲張り?

ま、帰国したアンソン親子を描いた次作『男はつらいよ アンソンあじさいの恋』を楽しみにしよう(笑)。