火曜千円均一の下高井戸シネマにて。約1ヶ月ぶりに映画を観た。
東ドイツの国家保安省の局員ヴィスラーが、反体制的と見られるある劇作家のアパートを盗聴する。1984年は、自分の生まれた年だ。たった二十数年前に、こんな監視体制があったのだという事実にまず驚く。でも、その事実を声高に訴えかけるような物語ではない。
盗聴しているヴィスラーは、体制側の人間でありながら、素性は孤独な男だ。その耳に流れてくる音楽、言葉、そして男女の会話。殺風景な町と同様に空っぽの心に、感情が満たされていく。もしかしたら、深夜ラジオを聞いている感覚に近いのかもしれない。離れているのに、存在も知られていないのに、情を感じてしまう。この不思議な感覚がヴィスラーを駆り立てる。逆に、目の前に人がいても、肩書きを背負うと何も感じられなくなってしまうのか、そんな風に思えるシーンもある。
その狭間で揺れるヴィスラー。彼はほとんど無表情だけど、演じたウルリッヒ・ミューエは、わずかな機微をその佇まいで表現してるのだから、すばらしい。いい役者さんです。
東ドイツの国家保安省の局員ヴィスラーが、反体制的と見られるある劇作家のアパートを盗聴する。1984年は、自分の生まれた年だ。たった二十数年前に、こんな監視体制があったのだという事実にまず驚く。でも、その事実を声高に訴えかけるような物語ではない。
盗聴しているヴィスラーは、体制側の人間でありながら、素性は孤独な男だ。その耳に流れてくる音楽、言葉、そして男女の会話。殺風景な町と同様に空っぽの心に、感情が満たされていく。もしかしたら、深夜ラジオを聞いている感覚に近いのかもしれない。離れているのに、存在も知られていないのに、情を感じてしまう。この不思議な感覚がヴィスラーを駆り立てる。逆に、目の前に人がいても、肩書きを背負うと何も感じられなくなってしまうのか、そんな風に思えるシーンもある。
その狭間で揺れるヴィスラー。彼はほとんど無表情だけど、演じたウルリッヒ・ミューエは、わずかな機微をその佇まいで表現してるのだから、すばらしい。いい役者さんです。