ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

第79回アカデミー賞

2007-02-26 21:49:38 | 映画
日本アカデミー賞と同じく今年の本家アカデミー賞は、下馬評通りの極めて順当な授賞ですな。スコセッシがやっと監督賞を獲り、寵児のディカプリオが逃すちょっと皮肉な結果だけど。助演男優賞に『リトル・ミス・サンシャイン』のジイさん、アラン・アーキン選ばれたのは嬉しい。見れば見るほど宇宙人顔の菊池凛子の気迫以上に、ジェニファー・ハドソンの歌と表情はすんごかった。

そういや、『硫黄島からの手紙』はゴールデングローブ賞では外国語映画賞なのに、アカデミー賞だと普通の作品賞。なぜ?


作品賞[Best Picture]
★『The Departed/ディパーテッド』
 [ノミネート]
 『Babel/バベル』
 『Letters from Iwo Jima/硫黄島からの手紙』
 『Little Miss Sunshine/リトル・ミス・サンシャイン』
 『The Queen/クイーン』

 主演男優賞[Actor in a leading role]
★フォレスト・ウィテカー『The Last King of Scotland/ラストキング・オブ・スコットランド』
 [ノミネート]
 レオナルド・ディカプリオ『Blood Diamond/ブラッド・ダイヤモンド』
 ライアン・ゴズリング『Half-Nelson/ハーフ・ネルソン』
 ピーター・オトゥール『Venus/ヴィーナス』
 ウィル・スミス『The Pursuit of Happyness/幸せのちから』

 主演女優賞[Actress in a leading role]
★ヘレン・ミレン『The Queen/クイーン』
 [ノミネート]
 ペネロペ・クルス『Volver/ボルベール 帰郷』
 ジュディ・デンチ『Notes on a Scandal/あるスキャンダルの覚え書き』
 メリル・ストリープ『The Devil Wears Prada/プラダを着た悪魔』
 ケイト・ウィンスレット『Little Children/リトル・チルドレン』

 助演男優賞[Actor in a supporting role]
★アラン・アーキン『Little Miss Sunshine/リトル・ミス・サンシャイン』
 [ノミネート]
 ジャッキー・アール・ヘイリー『Little Children/リトル・チルドレン』
 ジャイモン・ハンスゥ『Blood Diamond/ブラッド・ダイヤモンド』
 エディ・マーフィ『Dreamgirls/ドリームガールズ』
 マーク・ウォルバーグ『The Departed/ディパーテッド』

 助演女優賞[Actress in a supporting role]
★ジェニファー・ハドソン『Dreamgirls/ドリームガールズ』
 [ノミネート]
 アドリアナ・バラッザ『Babel/バベル』
 ケイト・ブランシェット『Notes on a Scandal/あるスキャンダルの覚え書き』
 アビゲイル・ブレスリン『Little Miss Sunshine/リトル・ミス・サンシャイン』
 菊地凛子『Babel/バベル』

 監督賞[Directing]
★マーティン・スコセッシ『The Departed/ディパーテッド』
 [ノミネート]
 アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ『Babel/バベル』
 クリント・イーストウッド『Letters from Iwo Jima/硫黄島からの手紙』
 スティーブン・フリアーズ『The Queen/クイーン』
 ポール・グリーングラス『United 93/ユナイテッド93』

 長編アニメ賞[Animated Feature Film]
★『Happy Feet/ハッピーフィート』
 [ノミネート]
 『Cars/カーズ』
 『Monster House/モンスター・ハウス』

『ドリームガールズ』

2007-02-26 01:04:03 | 映画
『シカゴ』の成功でミュージカル映画が増えております。ABBAの『マンマ・ミーア』や『スウィーニー・トッド』はジョニー・デップ主演で映画化されるそうで。この『ドリームガールズ』も往年のミュージカルの映画化だす。

何と言っても大型新人ジェニファー・ハドソンの歌唱力!地の底から獣が吠えるような迫力のパワフルボイス。マネージャーで恋人だったカーティスと別れるシーンは、恨み辛み怨念自責哀愁等々詰まったものすごく濃ーい歌唱。

物語は、彼女の自信過剰が元で「ドリームズ」から爪弾きに遭ってしまうが、裏腹にビヨンセ演ずるディーナがメインボーカルになった途端、人気が爆発する。ま、その影ではジェイミーフォックス演ずるカーティスが危ない橋を渡ってた訳なんだけど。前半は、ジェニファー・ハドソンにスポットが当たってるんだけど、出て行ってからは、ディーナへ。さらに視点があっちこっち行って一貫性がない。というか、ディーナの存在感が無さ過ぎ。そこらへんが、今年度アカデミー賞最多ノミネートでありながら作品賞にノミネートされなかった理由?(これって史上初らしい)でも、一つひとつのステージシーンは最高。これだけ観に行くのアリ。ワンナイトオンリー、いいね。

そういうの踏まえても、どう考えても主演はエフィーなんだけど、助演女優賞。よくわからんちん。そして数時間後には授賞式。サントラ買ってきます。

『マリー・アントワネット』

2007-02-20 23:25:55 | 映画
このブログ初めての記事がソフィア・コッポラの『ロスト・イン・トランスレーション』。自分の住むトーキョーを改めて見つめ直させてくれた一本で、DVDも持ってます。で、彼女の監督三作目。

いわゆるアレです、「主人公に全く共感できないけれど、面白い」って手のアリーmyLove的な映画です。女の子ちゃん一色。ピンク一色。男子は見てると恥ずかしくなっちゃう。おヌードもあるし。キリスティン・ダンストは、まさにハマリ役。14才で嫁いで最初は、儀礼に戸惑うものの徐々に贅沢の感覚がマヒしてくる様子、ふてぶてしさは堂々たるもの。写真のこの表情なんて!スパイダーマン3ではまた酷評するだろうけど。

脇役の女性陣もポジションをわきまえていて、よろしい。ライバルとして登場する国王ルイ15世の愛人・デュバリーは、小沢真珠のような顔して『華麗なる一族』の鈴木京香のようなイヤミを振りまいてた。嫌な女の定義は、洋の東西は問わないらしい。あと、マリーのお付きのノアイユ伯爵夫人の"This, madame, is Versailles."は言い方も含めて、宮殿の全てを物語ってる。

歴史的には大間違いなところもたくさんあるんだと思うけど、女の子は結構したたかでしぶとい。ここは今も昔も変わらないと思う。

『それでもボクはやってない』

2007-02-02 19:34:02 | 映画
シャンテ・シネにて。

『シャル・ウィ・ダンス?』から10年ぶりの周防正行監督作品。なんと長かったことか。今作も楽しみにしていた。痴漢冤罪をテーマに日本の刑事裁判制度の現実を描く。

オダギリジョーを3割引にしたような感じの加瀬亮が演ずる主人公は、就職の面接に向かうために乗っていた電車で、女子中学生に痴漢をされたと疑いを掛けられる。そこから警察署にに送られ大変な目に遭ってしまう。日本においては「疑い」というのは、「断定」と同じ意味を持っているようで、まるで刑務所で服役のしているような日々を送るハメに。そりゃホリエモンも怒るわけだ。

そんな中、周りの人間が必死になって彼を支える。中でも前作の主人公で、今回は弁護士の役所広司がいい。警察や検察によって、不安な心境に持っていかれる観客に安心感を与えてくれる。それと母親役のもたいまさこ。第一回公判で、主人公と目を合わせた瞬間、僅かながらに笑みを浮かべる。おかあちゃ~ん!

だけど、人間の記憶の曖昧さや思惑の云々を見ていると、実際どうだったのか、事実はどうだったのか、とても微妙になってくる。主人公がやってないと言っているから、鵜呑みにしてないか、そんな考え方もさせるような余地さえも周防さんは残しているのだろう。裁判のことから、さらに一歩踏み込んだところで、考えさせられた。笑いもキチンと押さえてるし、よくよくできた作品。

そして、ボクは今日も両手で吊り革を握っている。

『リトル・ミス・サンシャイン』

2007-02-01 00:59:28 | 映画
シネクイントにて。意外にも初めて。

メガネが特徴的なオリーヴは、ワーカホリックなパパと、ヒステリックなママと、ニーチェに陶酔し沈黙したままの兄さんと、ゲイで哲学者のおじさんと、エロジジイそのものでヘロイン中毒のじいさんと、食卓を囲んでいる。そこに、「リトル・ミス・サンシャイン」の全国大会出場の報せが届き、一家は大パニックに…。

家族の危機を描いてるんだけど、『アメリカン・ビューティ』のようにドロドロした感じはなく、明るいロードムービー。特にオリーヴとじいさんの関係はジュンジュワー(ホリケン調で)な暖かな信頼関係で、思わず、「イカスぜジジイ!」と叫びたくなる。

アカデミー作品賞にノミネートされ、かつわずか10歳で助演女優賞でアビゲイル・ブレスリンが候補に挙がってるわけで(でもなんで「助演」なんだろう?)。彼女にはその価値があると思う。ダコタ・ファニングの、「大人ゴコロをくすぐる子ども」を徹底的にリサーチしたような演技とは違う、いま生きている子どもを体現してるから。ちょっとぽっちゃりでキュートな彼女を見てると、子はかすがいなんだなあとしみじみ思ってしまう。