幕末気象台

おりにふれて、幕末の日々の天気やエピソードを紹介します。

薩長同盟 お龍ぶるっと寒冷前線

2009-12-27 14:19:10 | Weblog
 薩摩藩と長州藩は犬猿の仲です。文久三年長州系尊皇攘夷派を会津藩と手を組んで追い落としたのも薩摩藩でした。文久四年(元治元年)一月十八日の川路としあきら日記にも「薩州の軍艦へ長州より大砲打ちかけ候て、小出しの火薬へ当り、士官三人粉砕候よし風聞、いつの事にや知らず」とありますように、いつ戦争が始まってもおかしくない間柄でした。その危険な間を取り持ったのが、「雨男」坂本龍馬でした。龍馬は「晴男」のイメージがありますが、龍馬が事を起こすと必ずと言って良い程雨となります。龍が雨を呼ぶと言った具合でしょうか。
ともあれ、龍馬の暗躍は、慶応元年の閏五月一日の鳥居甲斐日記に「坂本龍馬、薩長和解を周旋」とありますように、龍馬は以外に早い時期から薩長間を周旋していた様子です。
 薩長同盟が結ばれたのは、龍馬が入京した二日後の慶応二年一月二十一日(西暦1866年3月7日)または翌日の二十二日とされております。
この時期は、冬と春との境にあたり温帯低気圧が、日本の南岸や日本海を足早に通り過ぎます。そのため天気が周期的に変化することがあります。
薩長同盟が結ばれたのも、日本海を温帯低気圧が周期的に駆け抜けた時でありました。朝彦親王の日記から京都の天気を拾ってみますと、1/17、1/18は、龍馬が京都に入った1/19は、1/20は、薩長同盟が締結された1/21は、同じく1/22は、寺田屋で龍馬が襲撃された1/23は。晴れ、曇り、雨、晴れ、曇り、雨と周期的な天気の変化をはっきり表わしています。
 温帯低気圧は前線を伴っていますので、日本海を温帯低気圧が通過すれば、日本列島は、大まかに言いますと晴~南東風くもりのち雨(温暖前線通過)~北西風雨のち晴れ(寒冷前線通過)と言う天気変化をしめします。一月二十一日の薩長同盟が成ったとすれば温暖前線による曇りまたは雨の中、一月二十二日に同盟が成ったとすれば寒冷前線による雨または、通過後の晴れで寒い中であったでしょう。
 伏見寺田屋で龍馬が襲われたのは同盟締結の日から程近い一月二十三日の夜のことであります。二十二日に寒冷前線通過後、強い寒気が日本列島に流入しており二十四日は、秋田県雄勝町で「朝雪一尺ばかり積り小雪降り小風雪」、新潟県新発田市で「雪降寒し」、栃木県日光市で「雪」、東京都あきる野市で「雨、曇、雪」、京都市で「晴、午後寒雪気有り」、鳥取市で「雪天」、山口県萩市で「寒し、時々雪粉々」、高知県土佐市で「晴寒し」、福岡県太宰府市で「陰、寒甚だし」とありますように真冬並の寒気が入ったようです。
寺田屋では、入浴中のお龍が裸で階段を駆け上って変事を龍馬に知らせたと言われていますが、さぞかし寒かったことと思われます。
京都にいる薩摩藩家老桂久武の、一月二十四日の日記には「夕べ伏見において坂元龍馬、難に逢い候よし、早速この方より、三四人も遣わし候て少々手疵にも逢い候よし」とあります。幕府の捕り手と薩摩藩との間で一悶着あったのでしょうか。  歴史は所々にスポットがあたっていますが、ほとんどの部分は闇ですね。いろいろ日記を読んでいて何時もそう思います。

以前このように書きましたが、先日「毎日新聞」に

坂本龍馬が伏見奉行所に襲撃され重傷を負った「寺田屋事件」について、事件直後の龍馬の足取りを詳細に記した同奉行所の報告書の写しが見つかり、15日、高知県立坂本龍馬記念館が発表した。同事件に関しては、これまで龍馬の手紙などでしか伝わっていなかったが、幕府側の資料が見つかるのは珍しいという。
 報告書は2通で、京都所司代にあてたもの。手負いの龍馬が薩摩藩邸に向かう途中、「村上町」(現在の京都市伏見区)にある「近江屋三郎兵衛」の「材木納家」に逃げ込んだと記載されており、特定されていない詳細な場所が分かる可能性があるという。材木納屋には血に染まった所持品を残していたとの記載もあった。

とありました。
京都にいる薩摩藩家老桂久武の、一月二十四日の日記「夕べ伏見において坂元龍馬、難に逢い候よし、早速この方より、三四人も遣わし候て少々手疵にも逢い候よし」
を読んで、薩摩藩と幕府方の衝突があったのかと思いましたが、「少々手疵にも逢い候よし」は竜馬のことだった様子です。
薩摩藩の諜報から、竜馬襲るの急報が桂久武に入り、早速久武は大山彦八など三四人を急行させ、何かの時にと示し合わせていた近江屋三郎兵衛の材木納屋で竜馬と落ち合い救出されたという具合だったのでしょうか。

            おそまつ




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