幕末気象台

おりにふれて、幕末の日々の天気やエピソードを紹介します。

両雄の見た名月 安政六年八月十五日

2009-09-10 19:05:20 | Weblog
 今年の中秋の名月は10月3日です。

ちょうど150年前の中秋の名月は安政六年八月十五日、西暦に直しますと、1859年9月11日にあたります。この夜は、江戸と中国地方で、ことに月が綺麗に見えたようです。江戸では学者の江木鍔水と依田学海が名月を賛美しています。

     夜亦好中秋、、月色如昼【江木鰐水日記】【江戸】
     月さえて涼しき【学海日録】【江戸】
                     
                            


 一方、中国地方の萩では、久坂玄瑞が月を賞しています。江月斎と名乗るほど久坂は月を好んでいますから、名月は一入心に沁みたようです。

     晴、、この夜月色惨憺、黙坐して百感沸くが如し【九仞日記】【萩】

 またこの時期、諸国見分中だった河合継之助が、山田方谷の風を慕って備中松山にいました。やはり月を見て美しさに感じています。

     晴、時々雲あり、、夜五つ頃より四つ過迄,殊に名月【塵壷】【松山】

 久坂玄瑞は五年後の元治元年、蛤御門の変で自決
 河合継之助は慶応四年戊辰戦争で負傷、会津領で没

幕末に華々しく散っていった二人の英雄が、奇しくも同じ月を見て何を思ったのでしょうか。       
           
                                 
           
                            
    
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