年があらたまりましたので、部屋の奥から屏風を出してみました。
六曲一双で、春から冬へと、絵と賛が変わって行き来ます。
絵と賛はひと組で、旧暦の一月には少し早いのですが、早春の部分を上げてみました。
まず、賛には、
写し得たり、江南旧春の色
風来りて、一夜、画梅香る
とあります。
江南の春は云うまでもなく、杜牧の漢詩「江南の春」をイメ-ジしています。
千里鶯啼いて緑紅に映ず
水村山郭酒旗の風
南朝四百八十寺
多少の楼台煙雨の中
屏風の作者は、江戸時代の地元の画家「東 東洋」です。
賛を約しますと、こうもなりましょうか。
うまく、江南の春の景色を写すことが出来ました。
ある夜、風が吹いてくると、この絵の梅が香りますよ。
賛を読んで、絵を見、作者の心象風景を楽しむ。
この頃少し忘れられつつある世界です。
「クシ、クシ、」そう言えば少し匂うような。