幕末気象台

おりにふれて、幕末の日々の天気やエピソードを紹介します。

根本順吉「江戸晴雨攷」の予見

2013-04-14 13:05:04 | Weblog
根本順吉氏の「江戸晴雨攷」
歴史気象学の草分け的な名著なのですが、今頃読んでいます。

地味な表紙の背に小さな金文字、見返しは深い緑色のお天気記号、なんとも粋な装丁です。

その六の「日記と天気」に

 定量的な組織的な気象観測はもちろん明治に始まるものであるが、
天気だけなら幕末の諸資料によって、これより以前の百~二百年の毎日を再現することは、
おそらく可能であろう。同日の各地の風、天気等の記録をつき合わせ、これに現代の天気図による
総観気象等の常識を働かせれば、おそらく毎日の天気図の再現すら不可能ではないであろう。

と述べられていて、今私がやっていることをを予見されていました。
昭和五十五年ですので、パソコンも普及していない時代です。
デ-タの記録はパソコンの容量に負うところが大きく、パソコンなしでは史料の整理は無理であろう
と思います。
コンピュータ以前の天気の復元は、東京市などで野心的な試みが行われていますが、内容を見ますと失敗と言わざる
をえません。

天気の史料は無尽蔵と言っても良いようにあります。
根本順吉氏の卓見に少し加えさせていただきますと、総観規模の天気図はもちろん、メソスケ-ルの
擾乱もかなりの確率で再現できるのではないでしょうか。

私の手元には天保年間~明治の新暦移行まで百万件を超える日々のデ-タがありますが、まだまだ
日記や天気史料があるようです。
おそらく天保年間~明治の新暦移行まででデ-タは一千万件を超えると思います。

「浜の真砂と五右衛門がうたいのこせし盗人の種はつきねえ七里ガ浜」

入力データは尽きることがないうちに、命が尽きることはほぼ確実です。

どうしましょう。


コメント
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