幕末気象台

おりにふれて、幕末の日々の天気やエピソードを紹介します。

嘉永二年二月一日(西暦1849年2月23日)日蝕時の天気

2017-09-05 21:57:08 | Weblog
 古天気学様より、リクエスト頂きました、嘉永二年二月一日(西暦1849年2月23日)日蝕時の天気
について書かせて頂きます。
 
 まず、江戸での日蝕はどのようなものだったのでしょう。

日蝕九分半、五時三分掛初メ、四時甚、一点之明星當于東放光輝、其侘之衆星不見、日色片時如黄昏【慶雲斎日記】【江戸】

(日蝕は九分半で、午前8時35分頃欠始め、9時55分頃に最大となった。明星が一つ東に光輝いていた、
他の星はみえず。日蝕の一時間ばかりは黄昏時のようだった)

とあります。また他の日記から四ツ八分に直ったとありますので、午前11時30分頃に終ったことがわかります。

それでは、天気は如何だったでしょうか。

嘉永二年一月二十九日は日本中概ね晴でしたが、低気圧が東進したと思われ、

雨、晴天【守屋日帳】【高山】

天キ朝曇夕雨【伊居太神社日記】【池田】

昏薄曇東南風、深夜雨、53度、【霊憲候簿】

天気夜雨【富田高慶日記】【江戸】

牢晴、満空孤雲なく壁翠也、暖和、、昼頃より班雲淡々たり、、夕方より曇天也【応響雑記】【氷見】

となって、次第に雨域が北東に移動しているのが分かります。

(天気図が出せなくて見難い事をお許しください。)

翌一月三十日は九州南部を除けば、ほとんどの地点で雨となっております。


日蝕当日の、嘉永二年二月一日(西暦1849年2月23日)の午前中は、近畿以西の地域では、晴または快晴
で、九州、四国では曇りとなっています。

江戸と水戸付近の日記には、

極上々天気、日そく九分五ツ三分よりかけ初四ツ甚し四ツ八分なおる【二宮尊徳日記】【江戸】
晴夜ニ入雨終夜【馬琴日記】【江戸】
朝晴夕曇夜四時より雨【林鶴梁日記】【江戸】

天気北東風温52度【玄蕃日記】【銚子】
晴【真菅日記】【八千代町】

となっていまして、日蝕があった、午前中は江戸、水戸は良い天気だったようです。

ただ、江戸の日記にありますように二月一日夜から雨のところが多くなり、二月二日は全国的に雨、北東北では雪となりました。

おそらく、関東地方では一月二十九日夜ころから温暖前線が通過し、二月一日の夜に寒冷前線が通過したように思われます。

日蝕の時だけの晴天で、天からのプレゼントと言えるのではないでしょうか。
黄昏のような空に見えた明星は何の星だったのでしょうか。天文学に暗い私にはわかりません。


ただ、嘉永五年十一月一日は晴、所により曇りとなっていますが、

日蝕の見えたところでは、

日仄九分半余、昼九ツ半時甚敷、月夜之形チニ而星見え申候【栃木市】

となっていまして、星が複数みえたようです。












コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする