永子の窓

趣味の世界

源氏物語を読んできて(6)

2008年04月03日 | Weblog
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 【桐壺】
 「いづれの御時にか、女御更衣あまた侍ひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。」
時の帝の妃の序列は、皇后、女御、更衣でした。源氏の母は、皇后より、女御たちより、帝にこの上なく寵愛されたために、上下からひどい嫉妬を受けます。そんな中で、
 「前の世にも、御契や深かりけむ、世にも清らなる玉の男御子さへ生まれ給ひぬ。」生まれながらにして、最上級の賛辞で迎えられる若宮(源氏)の誕生です。
物語がこのあたりにきて、この方の「御局(つぼね)は桐壺なり」と出てきます。

 若宮が3歳の頃、母更衣は重病になり里下がりして亡くなります。源氏の生い先が大変不安定さをはらんで描かれています。この時代は、子供は母方の財力のあるなしで出世が左右されました。大方は、父が帝でも母方が子供の後見人になり、面倒を見ていくのです。ただし、帝も人間ですから愛した女性の深さによって、さまざまなケースが出てきますが。帝は桐壺帝といいます。帝の憔悴と悲嘆がながながと続きます。やがて里の祖母もなくなります。

若宮の描写から見てみます。
「めづらかなる児の御容貌なり」たぐいまれな顔かたち
「御にほひには並び給ふべくもあらざりければ」いろつやの美しさ

帝は若宮を内裏に呼び寄せ、さてどのようにこの子を育てるべきか思案します。若宮への寵愛ぶりに、またまた他の妃たちは気を揉み、我が王子(次代の帝候補)の
ためにあの手この手を使います。このあたりの描写は細かくリアルです。

源氏物語には、貴族の身分の階級名が出てきますし、出世の段階も出てきますが、
政治面はいっさい出てきません。帝がどのような権力があるのかは、、女性をとおして外戚になろうとすることの人間描写で、想像していくことになります。ではまた。