ふろむ播州山麓

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検証北朝鮮・延坪島ヨンピョンド事件 №12 <2010年12月10日~12月19日>

2011-01-10 | Weblog
12月10日
<ノルウェー>ノーベル賞委員会のルンデスタッド事務局長は、劉暁波の平和賞授賞式に、中国本土以外で暮らしている劉支持の中国人・民主活動家約50人を招待。
 招待されながら欠席した国は17カ国。中国、パキスタン、エジプト、ロシア、イラク、スーダン、カザフスタン、イラン、キューバ、ベトナム、モロッコ、チュニジア、アフガニスタン、サウジアラビア、ベネズエラ、スリランカ、ネパールの大使ら。ナバネセム・ビレー国連人権高等弁務官も欠席した。

<米国>クリントン国務長官は、拘束されている劉を釈放せず、妻や親族の出国すら認めなかった中国政府を強い口調で非難し、米政府は人権問題では中国に妥協しない姿勢を示した。オバマ大統領は劉の釈放を要求する声明を発表した。

<日本>12月3日から開始した日米共同統合演習が終了した。
 前原外相は翌1月に発令する人事で、
 杉山晋輔・地球規模課題審議官を、アジア大洋州局長に起用。
 斎木昭隆・アジア大洋州局長を大使に転出。(2008年1月より6カ国協議の日本首席代表)
 西宮伸一・ニューヨーク総領事を経済担当外務審議官に。
 小田部陽一・審議官を大使に転出。

 菅首相は北朝鮮による日本人拉致事件の被害者家族と都内で面会した。半島有事などに備えた自衛隊による拉致被害者救出活動の検討を進めたいと強調。「救出に自衛隊が直接出て行って、韓国の中を通って行動できるかというと、ルールは決まっていない。救出に携わることができるような日韓の決めごとをしたい」と自衛隊派遣を念頭に、日韓で協議する考えを示した。
 午前、韓国の李庸傑国防次官が防衛省の中江公人次官と会談。日韓の今後の防衛協力について協議。

<韓国>韓国軍は学生生活を送りながら女性士官候補生としての軍人教育も受ける「女性士官養成課程」を、淑明女子大に創設した。選抜された30人が2年間の訓練の後、士官として28ヶ月間の軍務につく。男子大学生には同様の養成制度があるが、女子大への設置ははじめて。韓国の男性は原則20カ月の兵役を経験するが、女性には兵役の義務がない。同女子大の韓栄実総長は「北朝鮮には韓国の30倍に当たる15万人の女性軍人がいる。韓国軍にも、繊細で合理的、思考の柔軟性を備えた女性の必要性が増している」と強調した。

<インドネシア>前原誠司外相はインドネシアのバリ島のホテルで、ユドヨノ大統領と会談。朝鮮半島問題について「中国も含め連携していくことが重要だ」との認識で一致した。また両国の経済関係強化での協力を確認した。マルティ外相との間では、貧困対策のための約84億円を限度とする円借款の供与に関する書簡を交換した。

<マレーシア>韓国の李大統領は、国賓としてマレーシアを訪問した。ナジブ首相と会談し、修好50年を迎えた両国の一層の協力強化をうたう共同声明を表明。朝鮮半島緊迫のため、訪問日程は1日のみに短縮された。


12月11日
<北朝鮮>新義州から平壌に向かっていた貨物列車が転覆。約40両のうち8両に金正恩副委員長の誕生日(来年1月8日)のための贈り物用のテレビや時計などが積まれていた。正恩後継に反対する勢力による妨害行為の可能性もあるとして、公安当局が捜査している。<聯合ニュース12月27日付>
 9月15日にも鉄道転覆事故。威境北道清津の製鋼所と茂山鉱山を結ぶ貨物列車が転覆した。<共同>
 さらには9月18日にも、列車転覆事故があった。平壌から豆満江に向かう列車が被害を受け、ロシアの鉄道関係者も乗車しており、17人ほどが死傷。枕木が約5メートルにわたり抜き取られていた。何者かが故意に起こしたとみられる。<共同>

<中国>中国国防省は、米ゲーツ国防長官が来年1月10日から14日まで、中国を訪問すると発表した。10日にワシントンで開いた米中の国防次官級協議で合意した。中国軍の陳炳徳総参謀長も来年訪米する。
 外務省の姜瑜副報道局長は、欧米政治家らが服役中の劉暁波へのノーベル平和賞を支持しているのは「中国への内政干渉」であるとし、「主権の相互尊重と内政不干渉が国際関係の基本原則」と強調する談話を発表した。
 外務省の斎木は11日、北京入りし、中国外務省で武大偉朝鮮半島問題特別代表と会談した。武は8日9日に訪朝し、金総書記と会談した戴国務委員に同行し、同席していた。極秘事項の「重大な共通認識」とされる金総書記が望んだ米国との対話仲介の依頼について、斎木はすでに米国から聞いており、同席者の武に直接確認したのであろう。6カ国会合について斎木は「対話のための対話には関心はない」と記者団に話した。


12月13日
<ロシア>ラブロフ外相はモスクワを訪れた北朝鮮の朴宜春外相に、ウラン濃縮計画への「深い憂慮」懸念を表明し、北朝鮮と距離を置く姿勢を明確に示した。北朝鮮に対し、核・ミサイル開発を禁じた国連安保理決議の順守を求めた。伝統的友好国である北朝鮮の核開発に対して、直接懸念を伝えたと発表するのは異例である。また延坪島砲撃を「非難に値する」と指摘。対話による事態打開のため、北朝鮮核問題を協議する6カ国協議を「再始動」する必要があるとした。


12月14日
<韓国>北朝鮮は、寧辺のウラン濃縮施設以外に、3か4カ所に秘密の濃縮施設を保有すると、14日付け朝鮮日報が報じた。
 株式市場株価指数KOSPIは騰勢を強め、3年1ヶ月ぶりに2000の大台を回復した。

<中国>外務省の姜瑜副報道局長は、北朝鮮の金総書記が日米韓中ロとの6カ国高官の緊急会合の無条件での開催に「積極的な態度を示した」と明らかにした。金は8日9日に訪朝した中国の戴国務委員に語ったという。

<ロシア>2009年9月に北朝鮮を脱出してロシア極東沿海地方に密入国し、ロシアへの亡命を希望していた北朝鮮男性について、ロシア政府が亡命受け入れを拒否。代わりに韓国が受け入れることが、14日に判明した。この男性は朝鮮人民軍総参謀部のロシア語通訳だった。北朝鮮は身柄引き渡しを求めていたが、ロシアは国際条約を理由に拒否。またロシアへの亡命については、北朝鮮の住民受け入れを基本的に認めていないために拒否していた。


12月15日
<韓国>韓国政府は、空襲や災害を想定した避難訓練を、14時から15分間、実施した。空襲警報のサイレンが鳴ると、大半のバスや乗用車が停車し、歩行者は公務員らの指示に従い、地下鉄駅構内などに退避した。
「民防衛特別訓練」は全国民の退避所への移動を命じる特別訓練。韓国全土には2万5724カ所の退避所があるが、大半が民間施設で、核や毒ガス攻撃から身を守れないのが現実であるという。核・生物兵器の攻撃に耐えられる「1等級非難所」は全国で10カ所のみ。収容定員は計1万2807人。ソウルには一般市民が使える1等級施設はない。2等級以下は民間の商業施設の地下や地下鉄などが指定され、深さや広さにより4等級まで区分されている。ソウル市民は、避難所の存在を知らない人が多いともいわれている。政府は攻撃を受けたときの対処を定めた「戦時国民行動要領」の内容と退避所位置を周知するためにも、特別訓練への参加を徹底させる方針。14時から20分間、社会生活が完全に停止する。飛行機と列車は運行可。

<中国>北京入りした米スタインバーグ国務副長官は、崔天凱外務次官と会談。スタインバーグ率いる米政府訪朝団は、17日まで滞在して対応を協議する。団員はキャンベル次官補(東アジア・太平洋担当)、ソンキム6カ国協議担当特使ら。
 中国政府は自らの外交努力を強調しながらも「北朝鮮への影響力には限界がある」とし、16日から平壌入りする米リチャードソン知事を見据え、姜局長は「米朝間で、接触と対話を強化することを支持する」と語った。両国には翌1月の胡錦濤国家主席の訪米の友好ムードつくりという共通目標がある。
 中国人民銀行が発表した4半期ごとのアンケート調査では、「物価が高すぎる。受け入れがたい」とする回答が、全体の73.9%に達した。1999年の調査開始以降、最高を記録した。11月の消費者物価指数CPIは、前年同月比5.1%の上昇(中国国家統計局11月11日発表)
 公明党の山口那津男代表は北京の人民大会堂で習近平国家副主席と約50分、会談した。習は「両国の共通利益は、意見の食い違いをはるかに上回る。中国は日本をパートナーとみなし、ライバルとはみなしていない。中国は覇権を求めない」と強調した。山口は張軍志外務次官とも会談し、北朝鮮問題での日中協力を求めた。

<インド>ニューデリーを訪れている中国の温家宝首相は、印マンモハン・シン首相と迎賓館で会談し、電力分野など200億ドル(約1.7兆円)規模の商談を決定。また中印間の貿易額を2015年に今年の見込み額の1.7倍の1000億ドル(約8.4兆円)に拡大する目標で合意した。対テロなどでの連携強化でも一致した。長年の懸案である国境紛争での進展はなかったが、利害が一致する経済と安保で、接近を加速する。
 さらに、外相が毎年相互訪問することや、首脳の訪問定例化でも合意した。また両国の政策を擦り合わせる枠組みとして、閣僚級の「戦略経済対話」の設置を決めた。アフガニスタンの治安安定と復興に向けた協力でも一致。製造業を強みとする中国と、ITなどサービス業を得意とするインドの、相互補完関係が重要との認識が両国には共通している。先進国への対立軸として、中印の二大新興国は結束を目指す。貧困の解消という両国共通の課題についても、国境問題が妨げにならないように留意し、二国間対話の協力枠組みを増やすとした。インドの対中貿易赤字(09年度192億ドル)の是正が大きな課題である。

<日本>菅首相は新たな首相秘書官に防衛省の前田哲報道官の起用を発表。防衛省からははじめての秘書官。現在の秘書官体制は、政務1人、事務5人。


12月16日
<北朝鮮>外務省報道官は、中国が提案している6カ国高官会合を巡り、米国が北朝鮮の核開発を理由に拒否していると批判し、「すべての対話の提案を支持するが、決して対話を哀願しない」との談話を発表した。
 リチャードソン米ニューメキシコ州知事が平壌に到着した。5日間の滞在予定。寧辺のウラン濃縮施設視察も希望している。北朝鮮の金桂官第1外務次官の招待を受けた私的訪問。延坪島砲撃後、米国要人が北朝鮮に入るのははじめてである。
○ウィリアム・ビル・リチャードソン:1947年11月15日生まれ。クリントン政権下の国連大使。2003年よりニューメキシコ州知事。全米唯一のヒスパニック系知事。1994年の朝鮮半島危機に際して、ジミー・カーター元大統領の北朝鮮訪問に尽力した。2007年に平壌を訪れ、朝鮮戦争時に行方不明になった米兵6人の遺骨返還を実現した。米国の対北朝鮮融和派の代表格である。

<中国>米スタインバーグ国務副長官は北京で、外交政策を統括する戴秉国国務委員と会談。北朝鮮に非核化への具体的な行動を促すよう、中国側に一段の取り組みを要請した。中国側は北朝鮮が6カ国協議に積極的な姿勢を示したことを説明し、開催への理解を改めて求めた。しかし日米韓は北朝鮮の非核化への取り組みや、ウラン濃縮活動の停止を求めており、溝は残ったままである。
 スタインバーグは張志軍外務次官、武大偉朝鮮半島問題特別代表と、個別に会談。来1月の胡錦濤国家主席の公式訪米についても話し合った。

<韓国>韓国軍合同参謀本部は、延坪島で18日~21日のいずれかで、砲撃訓練を実施すると発表した。在韓米軍約20人も参加し、主に後方支援に当たる。国連軍事停戦委員会や国連軍司令部の代表も現場で状況を監視する予定。
 米キャンベル次官補、ソンキム特使はソウルを訪れ、魏聖洛・半島平和交渉本部長、金星煥外交通商相らと協議。
 日中韓は3カ国が広範な分野で協力事業を推進するための常設事務局の設置協定に署名した。文化交流事業などの共同プロジェクトを目指す。ソウルでの署名式には、韓国の金星煥外交通商相、日本の武藤正敏駐韓大使らが出席した。

<米国>ゲーツ国防長官は、1月10日から中国を訪れ、その後の14日に東京に立ち寄る方向で調整している。


12月17日
<中国>16日から開催の中米高官協議(戴秉国国務委員・スタインバーグ米国務副長官)は、中国が北朝鮮寄りの姿勢を崩さぬまま、平行線に終わった。しかし中国側は、胡国家主席の1月の訪米を失敗させられない。オバマ政権はこの機を捉え、日韓連携に加えてロシアを取り込み、中国を孤立させて、北朝鮮に圧力をかける姿勢に追い込む方法を模索している。

<北朝鮮>韓国が明日18日から21日まで、延坪島で予定している海上射撃訓練の即刻中止を要求した。もし実施すれば、11月23日の砲撃に続く「第2、第3の自衛的な打撃が加えられる」とする警告文を韓国側に送付した。<「朝鮮中央通信」>

<パキスタン>首都イスラマバードを訪れた中国の温家宝首相は、ギラニ首相と会談。両国協力の拡大のため、13の合意文書に署名した。経済協力では約140億ドル(約1.175兆円)を投資する見通し。またパキスタンを襲った洪水の復興支援のための借款を含め計6.39億ドルを供与。中国工商銀行がイスラマバードとカラチに支店を開設する。

<日本>政府は新たな「防衛計画の大綱」(新防衛計画大綱)を閣議決定した。
 米キャンベル国務次官補は東京で、外務省の斎木局長らと協議。

<ロシア>外務省は「非常に憂慮している」との声明を出し、韓国に訓練の中止を呼びかけた。ボロダフキン外務次官は、米国と韓国の駐ロシア大使を外務省に呼び、射撃訓練中止を要請した。


12月18日
<韓国>軍は延坪島南西沖で21日まで訓練を開始。内1日は射撃訓練を実施すると発表。初日の18日、悪天候「視界不良」を理由に射撃は見送った。周辺の天候は終日良好で、波も穏やかだった。20日か21日に実施する見通しと言う。
 北朝鮮からの抗議について、韓国政府筋は「人殺しが『自分は被害者だ』と言うような妄言だ」と憤り、軍当局者は「21日までに必ず訓練を行う」、「北に譲歩すれば、この水域での訓練が今後難しくなるばかりか、自国の『領海』とする北の主張を認めたとの誤解を国際社会に与えかねない」と強調した。

 13時ころ、同国中西部の黄海、於青島オチョンドの北西約130キロ。韓国排他的経済水域EEZ内で、中国漁船約50隻が不法操業。取り締まりに当たっていた海洋警察の警備艦3000t級が停戦命令を出した。そして海洋警察官4名が、小型ボートから漁船に乗り込もうとしたところ、漁民は鉄パイプなどで暴行。韓国側4人全員が重軽傷を受け、警備艦に引き返した。すると漁船1隻約60tは警備艦に2度体当たりし、転覆してしまった。海上に放り出された乗員10名の内、5人は中国漁船が救助し、4名は韓国艦が救助したが船長は死亡。韓国側は3人を拘束。また警備船6隻とヘリコプター4機を投入して、もうひとりを探したが行方不明である。
 黄海の韓国EEZ内では、中国漁船が不法操業を繰り返し、取り締まりに当たる海洋警察官に漁民らが暴行する事例が目立ち、問題になっていた。しかし韓国外交通商省は漁船乗務員に死者と行方不明者が出たことに関し、在韓中国大使館に遺憾の意を伝えた。韓国政府は今回の事態が、中国との外交問題に発展するのを避けたい意向である。

<北朝鮮>韓国軍の延坪島での射撃訓練開始について、北朝鮮外務省報道官は、この訓練を契機に再び北朝鮮が砲撃しても「責任は韓国を挑発にそそのかした米国にある」「米国の黙認の下、(韓国の)軍事的挑発策動によって、朝鮮半島は一触即発の重大な情勢である」との談話を、朝鮮中央通信を通じ発表した。
 北朝鮮を訪問中のリチャードソン米ニューメキシコ州知事は、韓国軍の訓練に関連して「北朝鮮軍部と外務省の金桂官第1外務次官ら3人と会談し、最大限自制するよう強く促した」とする声明を発表した。リチャードソンが北に提案したのは、①南北間のホットラインを稼働させる。②韓国、北朝鮮、米国の3カ国が参加し、紛争地域を共同監視するための軍事委員会を設立するなど。
 リチャードソンは国連安全保障理事会の緊急会合が「あらゆる当事国に最大限の自制を求める強い決議案を採択するよう期待する」という声明を発表した。
 知事は朝鮮人民軍板門店代表部の朴リムス副代表とも会談した。同行しているCNNによると、知事は朴副代表に、南北の軍当局者間のホットライン開設や、軍事的衝突の危険性を常に抱える黄海の南北境界水域を対象に、南北と米国の軍当局者による監視委員会を設置することなどを提案した。朴副代表も前向きな関心を示した。

<中国>張志軍・中国外務省次官によると、北京駐在の韓国と北朝鮮の大使を18日に相次いで外務省に呼び、緊迫する朝鮮半島情勢を巡って双方に冷静な対応を求めた。

<日本>内閣府発表の「外交に関する世論調査 10月21日~31日実施」で、
中国に親しみを感じる、とする回答は20.0%(前回調査より18.5㌽減)
 中国に親しみを感じない。77.8%(19.3㌽増)
 日中関係は良好。8.3%(30.2㌽減)
 日中関係を良好とは思わない。88.6㌽(33.4㌽増)

<中ロ>18日夜に中国の楊外相は、ロシアのラブロフ外相と電話会談。朝鮮半島南北の緊張緩和に向けて、ともに努力することを確認した。中国が応じた理由は、ロシアがバランスのとれた国連安保理の声明案を提示したためである。以下、ロシア提示の声明案。
 ①朝鮮半島情勢の悪化を受け、安保理は緊急会合を開催する。
 ②関係各国に、朝鮮半島の緊張を高める行為の自粛を要請する。
 ③大韓民国と朝鮮民主主義共和国の緊張緩和に向けた努力の必要性を強調する。
 ④大韓民国と朝鮮民主主義共和国の対話再開と、平和的な外交手段の必要性を強調する。
 ⑤国連事務総長に、大韓民国と朝鮮民主主義共和国へのすみやかな特使派遣を要請する。


12月19日
<国連>ロシアの国連代表部筋は、ロシア政府の要請により、朝鮮半島情勢をめぐる安全保障会議の緊急会合が現地18日(日本19日)に開かれることになったと述べた。「北朝鮮に加え、延坪島で射撃訓練を計画している韓国の双方に、軍事行為の自制を求める声明採択」を目指すとした。
 中国も事態悪化を回避するため、全体会合開催に応じた。しかし緊急会合は1日延期され、19日(日本20日)の召集となった。ロシアのチュルキン国連大使は、18日夕方(日本19日)の声明で「安保理議長が本日の会合開催を拒んだのは遺憾。安保理の恒例から逸脱するものだ」と強い調子で米国を批判した。
 米国が開催を1日遅らせたのだが、理由は平壌を訪れているリチャードソン知事からの連絡、金総書記との合意事項の最終報告を待っていたためであろう。翌20日に平壌協議の結論が届く。
 緊張緩和策について、英国とロシアがそれぞれ案文を出し、報道向け声明の取りまとめを探ったが、北朝鮮への強い姿勢を唱える日米韓と、慎重な中ロとの溝は埋まらず、翌20日に再協議することになった。
 英国の提出した案は「北朝鮮を非難する」「北朝鮮によるさらなる攻撃を防ぐ重要性」を強調した。
 一方のロシア案は、砲撃事件には触れず、緊迫している韓国軍の射撃訓練と、反発している北朝鮮の双方に「最大限の自制を求める」というもの。さらにはロシアは後に、英国案に近づけ「非難という言葉は使わずに、北朝鮮の砲撃を間接的に非難する」折衷案を探った。中国のみが抵抗する図式になった。

<韓国>19日も韓国軍は海上射撃を見送ったが、「気象条件さえよければ、必ず実行する」と述べた。「気象条件を重視するのは、北が再砲撃などを行ってきた場合に十分に反撃できるようにするため」と説明した。
 中国漁船転覆事件について、韓国海洋警察は暴行シーンなどを撮影したビデオは「捜査の都合上、当面は非公開にする」と発表した。映像はこれまでほとんどが公開されており、非公開措置は韓国政府が中国との外交関係に配慮したためとみられる。

<北朝鮮>韓国軍の海上射撃訓練に対抗し、北朝鮮は野砲や多連装ロケット砲などを擁する砲兵部隊に対し、準備態勢の格上げを指示した。黄海側の空軍基地では、戦闘機を格納庫から出して、待機させている。


<2011年1月10日記。後1回、12月20日21日記載で完です>



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