第85回凱旋門賞(アーク)の枠順が決まった。
▲ 1 (2)ハリケーンラン Hurricane Run(牡4、仏・K.ファロン)
◎ 2 (1)ディープインパクト(牡4、栗東・武豊)
3 (8)ベストネーム Best Name(牡3、仏・O.ペリエ)
X 4 (5)レイルリンク Rail Link(牡3、仏・S.パスキエ)
△ 5 (4)プライド Pride(牝6、仏・C.ルメール)
○ 6 (3)シロッコ Shirocco(牡5、仏・C.スミヨン)
7 (7)アイリッシュウェルズ Irish Wells(牡3、仏・D.ブフ)
8 (6)シックスティーズアイコン Sixties Icon(牡3、英・L.デットーリ)
( )は馬番。
頭数はわずか8頭。
しかも今年の英・愛・仏ダービー馬の参戦が全くないというのはきわめて異例の年。
この、異例づくめの今年の凱旋門賞。どうやら、ディープインパクトにとってみれば、かなり有利な条件となっているようだが。
さて上記の通り印をつけてみたが、現在の人気はこうなっている(スポーティングライフより)。
http://horses.sportinglife.com/Racecards/0,12495,211989,00.html
5/2 Shirocco (GER),
11/4 Deep Impact (JPN), 11/4 Hurricane Run (IRE),
8/1 Rail Link,
10/1 Pride (FR),
12/1 Sixties Icon,
33/1 Irish Wells (FR),
50/1 Best Name
一昨年は無念のノンランナー、昨年は4着に終わり、「3年越し」の制覇に王手をかけたシロッコがどうやらわずかに1番人気のようだが、私は敢えて本命はディープインパクト。
現地の競馬記者は口を揃えて、
「どうしてディープは現地で前哨戦を走らなかったのか。」
「ぶっつけで勝てるほど凱旋門賞は甘くない。」
と言っている。私もそうかもしれないとは思う。しかし。
もしディープがキングジョージも使っているのであれば確かに凱旋門賞のあと、愛チャンピオンSかフォア賞あたりを走らせるべきだったとは思うが、宝塚記念で生涯最高ともいうべきパフォーマンスを演じた以上、逆に前哨戦を使うことによって凱旋門賞では馬の調子が落ちてしまう可能性がある。そればかりか、下手をすると故障する可能性も。
そのあたりを案じてか、池江調教師は前哨戦を使う算段は全くなかったそうだ。ただひたすら現地では入念に乗り込んで、まっさらな気持ちで本番を迎える、という考え方。
確かにしばらく競馬から離れていることは懸念材料ではあるが、当然のことながら、ディープは「鉄砲駆け」が利くタイプであり、その鉄砲駆けのときは決まって圧勝しているというから驚き。
しかも現地に入ってからは驚愕の時計を連発。現地の記者もその名の通り、
「ディープなインパクトを与える馬だ。」
と驚いていたという。
しかもフォア賞を走った3頭は逆に激戦の疲労が出ていないか懸念されるところであり、そのあたりも含めて、「さらな気持ち」で凱旋門賞に挑めるディープが若干有利とみた。
対抗はシロッコ。
昨年のBCターフ以来、まさに馬は5歳になって最高潮の様相で、今は恐らく、出走すれば「負ける気がしない」感じの状態であろう。フォア賞もハリケーンランを退け4連勝中。ブックメーカーが示す通り、凱旋門賞制覇の最短距離にいる。
しかし、フォア賞を勝って凱旋門賞も勝ったというケースは実は1984年のサガス以来途絶えている。3歳限定のニエユ賞がかなり相性がいいのとは対照的である。ちなみにその間、フォア賞を勝った馬といえば、エルコンドルパサーやモンジューらがいるが、結局本番では勝てていない。前にも書いたが、フォア賞は例年頭数は少なくなるが、内容はかなりハードなレースが少なくない。
そのあたりの劇走ぶりが影響していないか、という懸念もあって対抗にとどめた。
リボー以来の凱旋門・キングジョージ・凱旋門という、2大レース3連覇の大偉業に挑むハリケーンランは、父・モンジューが果たせなかった記録に挑むわけで、何かあの「杉本節」が好みそうな一戦となるわけだが、底力という点においては2頭をはるかに凌ぐし、3連覇も濃厚という声も強い。
ただ、昨年を100とすれば、今年はせいぜい80ぐらいのデキではなかろうか。それでもキングジョージを勝ったあたりはさすがだが、何か「うまさ」で勝ったような印象。フォア賞も内容的にはシロッコに完敗といった印象もぬぐえない。
混戦状態となった場合はこの馬が一番強さを発揮しそうだが、そうでない場合は案外といった感じになるんではなかろうか。というわけで3番手評価。
プライドは実は昨年、一昨年も出走しており、シロッコ同様、「3年越し」の制覇がかかっているわけだが、やはり、上位3頭とは差がありそう。あくまでも混戦になった場合の突っ込みが考えられる程度ではないか。
レイルリンクはデビューが今年に入ってからだったため、クラシック戦線に乗れず、G1もこれまでパリ大賞だけしか走っていないが、ニエユ賞の内容がよかったため、3頭を脅かすのではないかとも言われている。
しかしこの馬が本格化するのは来年に入ってからではなかろうか。今回はどこまで頑張れるか、という印象が強い。
今年の凱旋門賞はまた、ペースメーカーも不在。しかも有力どころはいずれも最後の切れ味勝負といった馬であり、前半は極度なスローペースになる可能性もある。
もしそんな展開ならばディープはますます有利。何せ、あれだけ驚愕の走りを毎回のように見せ付けられながらも、過去にレコード勝ちは春の天皇賞の一度だけ。確かに、2・3歳時は毎回出遅れ癖があって、まともに走っていたらゆうにレコード勝ちだったというレースもあったが、相手なりの勝負ができるという強みがあるのではないかという気もするわけで、強い上にレースもうまい、ということもいえる。
それと馬番の付け方なんだが、思うに、一番勝てそうな順から番号が付けられているような気がしてならない。ディープは1番ゼッケン。
となれば、ますますディープ有利の予感が。
それとハーツクライも、ディープが凱旋門賞に出走意思を示さなかったら、ひょっとすると出走していたかもしれない。何せ、社台レースホースはフランスとのゆかりが深く、社台の創始者・吉田善哉氏は、ノーザンテーストを競走馬時代、フランスを主戦場とさせていたほど。
にもかかわらず、
「凱旋門に出たところで、2着が精一杯だろう。勝つのは決まっているだろ。」
と橋口調教師が語っていたように、さすがのハーツクライをもってしても、ディープに2度勝つのは至難の技と決め込んで、キングジョージが終わった後帰国してしまった。
なおさら有利な条件が揃ったディープインパクト。史上初の欧州調教馬以外の凱旋門賞制覇の可能性は高いとみる。