ロシア、クリミア編入=ウクライナ排除、条約に調印―欧米、追加制裁へ
時事通信 3月18日(火)21時32分配信
【モスクワ時事】ロシアのプーチン大統領は18日、ウクライナ南部クリミア半島のロシア編入を決定、独立国家として承認したクリミアと編入条約に調印した。これにより、既に対ロシア制裁を発動している欧米が猛反発するのは必至で、双方の対立は決定的になった。
プーチン大統領は、クレムリンで上下両院議員を前に演説し、編入条約の批准を議会に要請。その場で、ロシアが独立承認したクリミア自治共和国のアクショノフ首相らと「国家間」の編入条約に調印した。
大統領府によると、プーチン大統領は領土編入に関する法令に基づき、クリミアからの編入要請について、上下両院と政府に通告していた。条約はクリミア自治共和国とセバストポリ特別市を2連邦構成主体として編入する内容。今後、憲法裁で審理後、上下院で批准される
。
プーチン大統領は17日夜の大統領令で独立を承認した。その結果、クリミアが「国家」になったことで、ウクライナ新政権を排除した編入条約は可能という立場だ。
クリミア半島についてプーチン大統領は、ロシアによる掌握後、当初「併合は検討していない」と語っていたが、16日の住民投票で編入賛成が96.77%に上った結果を尊重し、編入を決断した。ロシア下院は18日、編入を支持する決議を採択した。
プーチン大統領が上院議員を集めるのは、クリミアのロシア系住民などの保護名目で軍事介入を決定した1日以来で、ウクライナ情勢で演説するのは4日の記者会見を除いて初めて。
一方、住民投票を「違法」と見なす欧米は17日、プーチン大統領の側近を含むロシア当局者らの渡航禁止や資産凍結といった制裁措置を発動した。プーチン政権はこうした警告を無視してクリミア編入に踏み切った。欧米は追加制裁を辞さない構えで、ウクライナの緊張緩和に向けた国際協調はますます困難になった。
ヤコヌビッチ追放により、ウクライナのEU化が進もうとした中、プーチンは即座にクリミアの実行支配に着手し、さらに、ロシア側に著しく有利な住民投票を利用し、ついにはクリミア半島を「取ってしまった」。
ところでソ連時代も、これと似たようなやり口で領土を奪ったことがあったな。
そう、北方領土がまさしくそうではないか。
日ソ不可侵条約をソ連が日本降伏直前になって一方的に破棄した挙句、そのまま自国の「領土」に組み入れてしまった(実態はロシアの実行支配)。
ソ連が崩壊した後も、ロシアの「意地汚さ」は変わっていない。
しかしながら、今回の一連の騒動は、西側が完全に後手に回ってしまっているがゆえに起こったという点も否めない。
特に近時、西側は「東西冷戦時代」とは打って変わって、石油や天然ガス等を通じてロシアとの貿易が盛んに行われている背景もあり、ドイツのように、土壇場まで対露強硬策に戸惑いを見せていた国も少なくなかった。
そしてアメリカはシリア情勢をめぐってプーチンに「借りがある」状況を作ってしまっていることもあってか、対応が後手後手に回り、「強いアメリカ」を誇示できないでいる。
こうした西側の乱れを見逃さなかったプーチンが、「まずは第一ラウンド」を掌握した、といえよう。
一方、西側はロシアを資産凍結などの「兵糧攻め」により、国際的に孤立させる策に出ようとしているが、ロシア側の筋の話だと、それはほとんど効果がない、という声もある。
となると、しばらくはにらみ合いが続く形での「東西冷戦状態」となる可能性が強くなってきた。
時事通信 3月18日(火)21時32分配信
【モスクワ時事】ロシアのプーチン大統領は18日、ウクライナ南部クリミア半島のロシア編入を決定、独立国家として承認したクリミアと編入条約に調印した。これにより、既に対ロシア制裁を発動している欧米が猛反発するのは必至で、双方の対立は決定的になった。
プーチン大統領は、クレムリンで上下両院議員を前に演説し、編入条約の批准を議会に要請。その場で、ロシアが独立承認したクリミア自治共和国のアクショノフ首相らと「国家間」の編入条約に調印した。
大統領府によると、プーチン大統領は領土編入に関する法令に基づき、クリミアからの編入要請について、上下両院と政府に通告していた。条約はクリミア自治共和国とセバストポリ特別市を2連邦構成主体として編入する内容。今後、憲法裁で審理後、上下院で批准される
。
プーチン大統領は17日夜の大統領令で独立を承認した。その結果、クリミアが「国家」になったことで、ウクライナ新政権を排除した編入条約は可能という立場だ。
クリミア半島についてプーチン大統領は、ロシアによる掌握後、当初「併合は検討していない」と語っていたが、16日の住民投票で編入賛成が96.77%に上った結果を尊重し、編入を決断した。ロシア下院は18日、編入を支持する決議を採択した。
プーチン大統領が上院議員を集めるのは、クリミアのロシア系住民などの保護名目で軍事介入を決定した1日以来で、ウクライナ情勢で演説するのは4日の記者会見を除いて初めて。
一方、住民投票を「違法」と見なす欧米は17日、プーチン大統領の側近を含むロシア当局者らの渡航禁止や資産凍結といった制裁措置を発動した。プーチン政権はこうした警告を無視してクリミア編入に踏み切った。欧米は追加制裁を辞さない構えで、ウクライナの緊張緩和に向けた国際協調はますます困難になった。
ヤコヌビッチ追放により、ウクライナのEU化が進もうとした中、プーチンは即座にクリミアの実行支配に着手し、さらに、ロシア側に著しく有利な住民投票を利用し、ついにはクリミア半島を「取ってしまった」。
ところでソ連時代も、これと似たようなやり口で領土を奪ったことがあったな。
そう、北方領土がまさしくそうではないか。
日ソ不可侵条約をソ連が日本降伏直前になって一方的に破棄した挙句、そのまま自国の「領土」に組み入れてしまった(実態はロシアの実行支配)。
ソ連が崩壊した後も、ロシアの「意地汚さ」は変わっていない。
しかしながら、今回の一連の騒動は、西側が完全に後手に回ってしまっているがゆえに起こったという点も否めない。
特に近時、西側は「東西冷戦時代」とは打って変わって、石油や天然ガス等を通じてロシアとの貿易が盛んに行われている背景もあり、ドイツのように、土壇場まで対露強硬策に戸惑いを見せていた国も少なくなかった。
そしてアメリカはシリア情勢をめぐってプーチンに「借りがある」状況を作ってしまっていることもあってか、対応が後手後手に回り、「強いアメリカ」を誇示できないでいる。
こうした西側の乱れを見逃さなかったプーチンが、「まずは第一ラウンド」を掌握した、といえよう。
一方、西側はロシアを資産凍結などの「兵糧攻め」により、国際的に孤立させる策に出ようとしているが、ロシア側の筋の話だと、それはほとんど効果がない、という声もある。
となると、しばらくはにらみ合いが続く形での「東西冷戦状態」となる可能性が強くなってきた。