公営競技はどこへ行く

元気溢れる公営競技にしていきたい、その一心で思ったことを書き綴っていきます。

できそうでできない記録

2006-04-11 09:08:02 | スポーツ

                 (写真はYahooスポーツ)

阪神タイガースの金本知憲選手が9日行われた対横浜戦において904試合連続フルイニング出場の「世界記録」を樹立した。

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/npb/column/200604/at00008654.html

広島カープを経て阪神タイガースに2003年移籍。阪神在籍3年間のうち2度リーグ制覇に導いた主力選手であるが、広島時代より継続されていた連続試合フルイニング出場という大記録をついに果たした。

ただ「出るだけ」という記録というのは確かに地味な記録ではあるんだが、はっきりいって、「できそうでできない」記録。つまり年間通じて打撃アベレージを維持せねばならない上に、守備でも下手なプレーができない、つまり監督からの絶大なる信頼がなければたとえ体が健常であってもフルイニング連続出場というのはかなわない記録だからだ。

どうやら「国民栄誉賞」の授与が検討されているというし、本人もまた、904とは言わず更なる記録更新へとまい進していくことだろう。

ところで金本といえば、今シーズンよりオリックス入りした清原と仲がいいことで知られ、またよく「飲む」間柄でもあるらしい。

ところが清原といえば、プロ入りしてからというもの、満足にフルシーズン働いたことがないことでも定評のある選手。確かに素質は清原のほうがはるかにあるはずなんだが、怪我もまた多く、また打撃3部門におけるタイトルは一度も取ったことがない。

どうして「差」が出てしまうんだろう?金本も飲むときは本当によく飲むといわれているのに。

それにはこういった「秘密」が隠されているようだ。

Yahooスポーツより

 903試合連続全イニング出場の“大リーグ記録”に8日並んだプロ野球・阪神タイガースの金本知憲選手(38)。度重なるけがや、チームリーダーとしての重圧をはねのけての偉業だ。地道な努力が評価されにくい時代に、不言実行を貫く「兄貴」の背中に、ファンから惜しみない拍手が送られた。

 試合終了とともに、大阪ドームのスタンドは「祝世界タイ」などの横断幕があちこちで広げられ、お祝いムード一色に。グラウンドで花束を受け取る金本選手に「アニキー」「おめでとう」の声が飛んだ。

 金本選手のユニホーム姿で応援した徳島県阿南市、会社員、沖野一典さん(32)は「体調管理が徹底しているのだろう。遅刻しない、休まないという仕事の基本にもつながる。私たちもプロ意識を見習いたい」。大阪府豊中市の会社員、寺西嘉昭さん(57)は「30歳を過ぎてから作った記録というのがすごい。自分も頑張らな、と励まされる」としみじみ。神戸市北区、会社員、西村玲乃(れいな)さんは「けがをした次の日も、痛みを我慢して頑張る姿に涙が出る。これからも記録を伸ばしてほしい」と話した。

 金本選手が11年間在籍した広島カープのファンからも祝福の声が相次いだ。広島市東区の会社員、棟本高章さん(34)は「年々体を鍛え上げた努力の人。不言実行の姿勢もいいし、広島には今でも金本ファンは多い。まだまだやれるし、最後はカープに戻ってきてほしいね」とたたえた。広島県福山市の会社員、折林晋史さん(32)は「衣笠さん、金本さんとカープの選手は鉄人続き。誰にも抜かれない記録を作ってほしい」と願いを込めた。

 ◇記録の陰に、一人のトレーナーとのトレーニングが…
 「筋骨隆々の鋼の肉体」「けがを乗り越える精神力」。金本選手の形容詞だ。だが、プロ入り当初は細身できゃしゃ。骨折などけがも多く、決して「鉄人」ではなかった。記録の陰には、一人のトレーナーと共に続けてきたウエートトレーニングがあった。

 92年の広島入団時の体重は、現在より約10キロ少ない78キロ。筋肉量も約10キロ少なかった。ただ、14年間共に究極の肉体を追求してきた広島市東区のトレーニングクラブ「アスリート」代表の平岡洋二さん(51)は「細身なのに筋力は強く、素材は抜群だった」と振り返る。

 意識の高さも顕著だ。「『ウエートトレーニングを続けたら30代後半でも野球を続けられますか。引退する選手はバットが振れなくなりやめるが、ああはなりとうない』と言うんです。そこまで将来を見据えた選手はいなかった」と平岡さん。手帳にはオフの間もトレーニングの日程がびっしり。ジムの定休日にもトレーニングを重ね、01年1月にはスクワットの最高値が入団時より84キロ増の221キロと、当時の体重の2.4倍の重量を上げた。タブーとされた試合前の筋トレも断行し、シーズン中の筋力維持も効果的だった。

 年齢と共に筋力低下が懸念されるが、平岡さんは「オフの筋力をシーズン中も9割ほど維持できれば、十分やれる。努力で成長した、たたき上げの選手。多くの人に夢を与えてほしい」とさらなる活躍を期待している。【井沢真】

 ◇「最も大変なのは、けがを克服し長く続けること」

 金本選手の記録は、けがとの闘いでもあった。大相撲の幕内連続出場記録(1231回)を持つ元関脇・高見山の東関親方(61)は「最も大変なのは、けがを克服し長く続けること。私は30歳の時、『40歳までやる』と決意し、けいこで基本を繰り返した」。39歳まで土俵に立ち、さまざまな金星より、連続出場記録が一番の誇りだ。

 ノルディックスキー・ジャンプで5大会連続五輪出場を果たした原田雅彦さん(37)は、自身の経験も重ね、「リーダーとしてチームを引っ張りながらヒットも求められる。そのプレッシャーの中で続けたことが素晴らしい」と絶賛。「きっと野球が大好きな“野球小僧”なんでしょう。私も“ジャンプ小僧”だからよく分かる」。原田さんは金本選手と同学年だが、先月現役を引退しコーチに。「金本選手には『やり尽くした』と思うまで続けてほしい。まだまだできる年齢ですよ」とエールを送った。

 金本選手の姿勢を評価する声も上がった。

 今年、市長として全国初の10選を果たした大阪府貝塚市の吉道勇市長(79)は「裏表なしに努力する姿、職業意識や責任感を超えた人間性が後輩から慕われ、ファンから敬愛されてきた。拝金主義など嘆かわしい風潮の中で、得がたい生き方の見本だ」。一人芝居「身世打鈴(シンセタリョン)」を33年間、通算2033回演じている女優の新屋英子さん(77)も「勝ち組、負け組なんて言葉を使う人が多い時代だからこそ、やりたいことをいちずに続ける金本選手が光り輝いて見える」と話す。

 継続することに価値を見いだしにくい今の時代。アーチェリー世界選手権に史上最多の13回連続出場したアテネ五輪銀メダリスト、山本博さん(43)=日体大助教授=は「どんなことでも上を目指して毎日続けなければ成功しないのに、『テレビゲームのようにステージを変えれば良い波が来る』と勘違いしている若者が少なくないのでは」と指摘。五輪選手は脚光を浴びない日々も自己管理し練習を続けているとして、「金本選手も記録を目指して野球を続けたのではなく、一日一日を大切にしてきたから記録を作れたのだと思う。若い人たちにも見習ってほしい」と語った。【小林祥晃、奥村隆】

いやぁ、大したもんだ。そうそう塗り替える選手はいまい。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リエンジニアリング

2006-04-11 06:38:58 | 公営競技論

一時期、日本でも言葉だけは「もてはやされた」リエンジニアリングであるが、実際にそれをやっている業界は「皆無」に近い。せいぜいやられているのは「リストラ(リストラクチャリング)」。

ところでリエンジニアリングとリストラクチャリングというのはどんな違いがあるのか?ここにうまく記載されているものがある。

http://www4.ocn.ne.jp/~htgifu/CONT-E.html

リストラというのは、事業の悪い部分を削って事業のいい部分に特化して経営資源を集中させるというやり方。公営競技でいえば、赤字の垂れ流しである一般開催をオミットして、客の視線が集中する記念・特別クラスのレースに目を向けさせるということで曲がりなりにも行われている。

但し、オートレースではだいたいの形ではできているが、競輪・競艇ではいまだできていない気がする。また、地方競馬は開催日数の大幅削減が執り行われてもいまだ高コスト体質のため、赤字が止まらないといった様相が続く。

そして「リエンジニアリング」とは?

業務・組織・戦略を「ゼロから」根本的に再構築するやり方。それは「必要な機能だけに絞って業務を再設計する」という考え方である。ということはリストラよりもさらに一歩踏み込んで、というか、リストラとは根本的にその考え方は「違う」とみていい。

リストラの場合だと、例えば気に入らない社員がいればそれを切ってしまえばいいとか、はたまた業務の程度によっては派遣社員で「済まし」、用が済めば「切ってしまえ!」ということで片付くものなんだが、リエンジニアリングについてはそれだけでは「済まない」。つまり、経営者を含めた大掛かりな組織再構築システムである。

この間民主党の代表に就いた小沢一郎氏は、とあるテレビ番組においてこう話していた。

「日本の雇用システムの基本は「年功序列」である。ところが小泉首相は「規制緩和」「構造改革」の名のもと、その根幹システムを完全に壊した。したがって若年層の雇用不安をいまだぬぐいきれず、ひいては「フリーター」「ニート」という層を増大させ、「格差社会」というものを顕著化させた。

一方、部長以上の管理職についてはいまだ「年功序列」。これはおかしいのではないか。管理職こそその人間の能力が問われるはず。これこそ「能力主義」であるべき。なのにどうしてその部分が「年功序列」なのか?」

つまり、リストラだと管理職・経営者の部分までは「踏み込めてない」。ということは、業界そのものの根幹の再構築には繋がらない、というわけである。

確かに今、大企業の中には「リストラ」効果が功を奏して空前の高収益を上げているところもあるが、それが永続するとは誰も思っていないだろう。

つまり、経営者はもちろん、組織をまとめあげる管理職を含めた根本的な組織改革が「リエンジニアリング」なのであるが、日本経済もまた、いずれその部分において踏み込まねば再び、「失われた10年」になりかねないということなのだろう。

ところが日本では、「上」の人間ほど古いシステムにしがみつくしかないという傾向が見られ、確かに根本の部分においてはほとんど「変わっていない」。

したがって上場企業においても、空前の大もうけをしたところがある一方、赤字で立ち行かない企業もまた多い。

さて、公営競技の場合は「間違いなく」、リエンジニアリングが必要な業界であろう。

こういう言い方は語弊があるが、公営競技の場合、一番「下」のレベルは「客」である。つまり、公営競技でカネを「出す」側。

以降取り上げる側は逆に公営競技でカネを「貰う」側であるが、下から順番に、場内従事者、施行者、選手・騎手などのレース運営者、中央競馬会などの運営組織、そしてトップは監督する立場の「役所」である。ちなみに中央競馬会だけは施行も行っている。また「媒体する」側のマスコミは便宜上外した。

カネを「貰う」側である「下」のクラスについてはある程度の改革が行われている。場内従事者の首切りや賃金カットはだいたい行き着くところまで来ている。また、施行者についても、民間委託するなどした運営を行うところも出てきていることからこちらも遅ればせながらも動きが出ていると見てもいい。

しかしレースを運営する側の選手らや、はたまた運営組織といったところは一体どうなのか?ほとんど昔と「変わっていない」のではないか。

競艇オフィシャルの「競艇討論会」では、あちらこちらで、

「自場開催は120日に削減すべき!」

という声が出ている。客の立場からすれば、現在の180日開催体制では赤字の垂れ流しばかりだし(ひいてはそれがたたって場の廃止の可能性もありうる)、またそのために周年などのレースが「買えない」という問題を抱えているからこその話となっているのだろう。

もし開催削減となると当然、選手の「首切り」を行わねばならない。そして場内従事者団体(全競労など)においてもそうした声は強くなっている。

昔は公営競技といえば完全なる「トップダウン」の世界であったが、今やそれでは確かに「ダメ」なんだろう。

さらにいえば、リエンジニアリングが行われれば、公営競技のレジャーとしての潜在力もまんざらではない、といえるのかもしれない。

さて、それをいつ「やるのか」。早ければ早いほどいいのは言うまでもないが。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする