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控訴中の「集団自決訴訟」控訴審は、早い判決が予想されているので、今年三月の地裁判決に続いて早く行けば同年内の控訴審判決が期待される。
既に問題点は出尽くしており、問題はそれを上級審の裁判官がどう判断するかにかかっているので年内の早い判決も当然のこと。
この裁判の特徴は、物証が全くない上に、直接事情を知る証人がほとんど死亡しており、現存する証言者たちも当時は幼かったり、「重要当事者」の親族だったりで、証言といっても伝聞証言のみで、本人が直接聞いたという証言は皆無である。
客観的な物的証拠(例えば命令書)や、例えそれがなくとも、客観的な直接証言があれば裁判長の判断も明確に出来たのだろうが、確証がないままに「躊躇」したり「推論」したのが地裁判決だといえば分かりやすい。
地裁判決当日、当日記は原告勝訴を確信していたため、被告の勝訴の報道を知り、驚いた。その日のエントリーで次のようにも書いた。
長くなるが当時の心境を思い出して以下に引用する。
< 原告側の敗訴。
一番驚いているのは「集団自決」のあった現地の住民達であろう。
昨日の情報によると「軍命あり派」の中にも原告勝訴の声がチラホラ聞こえていたという。
>元戦隊長の命令があったと断定できないとしたものの、「集団自決への旧日本軍の関与がうかがえ、元戦隊長2人の関与を推認できる」(朝日新聞 03/28)「沖縄ノート訴訟」判決、元隊長側の訴えを退ける )
裁判官は昨年の教科書検定時の文部省の「知恵」に下駄を預けた。
「関与」という曖昧な言葉に逃げ込んだのだ。
しかも「推認」とは・・・。
「断定は出来ないが関与は推認する」、うーん。
この種の歴史問題を裁判で争う現行の裁判制度に疑問を呈するべき判決だと思う。
裁判官は法律の専門家ではあるのは当然としても、果たして歴史の問題を判断するに相応しい資質を有しているかどうかが問われる。
深見敏正裁判長がいくら「推認」しても元隊長が命令したとは断定できない。
そこで「関与」という便利な言葉に逃げ込んだのだ。
この裁判長、自分の資質の無さを昨年来の「教科書記述」騒動のマスコミ論調に委ねた。
まさに日本の劣化はここに始まる。
⇒判決は「見出し」が作る 「全知全能」と驕る記者と判事が日本を劣化させる
国営放送が判決前の2月1日と3月6日に行った「事前運動」にもこの資質無き裁判長は大いに影響を受けたのだろう。
⇒NHKが「集団自決」歪曲報道★新報「声」論争
>住民証言などに基づいて兵士が自決用の手りゅう弾を住民に渡したとし、「軍(隊長)の承認なしに渡されることはあり得ない」と指摘。自決命令はあったと反論し請求棄却を求めていた。(共同)
破綻した「手りゅう弾軍命説」も棄却の理由にしているのにはこの裁判長の資質のなさを物語っている。
当然控訴になるだろうが、その時は「手りゅう弾交付証言」の富山氏の「真実は墓場まで持ち込む」も証拠物件として提出すべきであろう。
この裁判は二審の判決の如何によらず最高裁まで持ち込まれる案件。
この判決は長い戦いの第一歩に過ぎない。>
当日の地元紙は二紙とも一面、社会面はこの被告勝訴の報道で埋め尽くされていたので、ついそれに釣られて、他の紙面は見落としていた。
琉球新報は正直に「一部被告敗訴も予想していた」と報じていたが、琉球新報の地味なコラム「透視鏡」というコラムがあるが、このコラムは通常県内の政治状況を報じるのが主で「集団自決」について述べるのは珍しい。
それだけに意外と冷静な目で「透視」していたような記事である。
<認められなかった隊長陳述 岩波・大江裁判、証言反映の「勝訴」(琉球新報・「透視鏡」2008.3.29)
「集団自決」訴訟で大阪地裁は28日、原告主張を棄却した。争点となった隊長命令の事実について「合理的資料もしくは根拠があると評価できる」と指摘するなど原告側の主張をことごとく退けた判決は、「一部敗訴」も覚悟した被告側を驚かせた。(略) 判決後、被告・岩波書店の関係者は「両書で主張が認められるとは思わなかった。片方は厳しいと予想した」と率直に語った。関係者が言う「片方」とは家永三郎著「太平洋戦争」のことだ。
■「一部敗訴」も想定
ノーベル賞作家の大江健三郎氏の著作「沖縄ノート」の記述が争われたことが注目された裁判だが、岩波側が敗訴を懸念していたのが「太平洋戦争」だった。事実、岩波側は同書で一部敗訴した時の対処についても検討を進めていた。
(略) 「世界」編集長、岡本厚氏は「梅澤氏の名を書いた『太平洋戦争』がどう判断されるか心配だった」と明かし、「集団自決について『日本軍が深く関わった』とし、隊長の関与も『推認できる』とした判決だ」と評価した。(略)
琉球新報の本音は被告敗訴を予想していた。
これが、「透視鏡」に見事に映っていて興味深い。
◇
判決翌日(29日)から始まった琉球新報の連載特集にも被告側が敗訴を予測していた記述がある。
「軍命推認」(上) 3月29日
<・・・宮城晴美さんは、那覇市内の自宅で「集団自決」訴訟の判決を聞いた。 「原告請求、全面棄却」の知らせに一瞬、時が止まったかのような驚きの表情の後、涙を浮かべ「良かった」とだけ語った。>
勝訴の知らせで一番驚いたのは宮城晴美氏だったことが分かる。
被告側の岩波書店・「世界」編集長、岡本厚氏は「一部敗訴を想定していた」と正直に吐露する一方、勝訴に心が緩んだのかもう一つの本音を吐露している。
■新しい証言がなければ勝てなかった■
<「沖縄の人たちの怒りがすごかった。 (原告は)虎の尾を踏んでしまった。 沖縄の真実を無神経に否定する人たちを沖縄は許さなかった」と語る「世界」編集長、岡本厚さん。 「新しい証言がなければ勝てなかった。・・・・」>
>「新しい証言がなければ勝てなかった。・・・・
「新しい証言」とは?
<「集団自決」生涯忘れず 宮平春子さん証言(琉球新報)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-25258-storytopic-1.html >
裁判の僅か一ヶ月前、唐突に出てきたこの証言で、
宮城晴美氏はいとも簡単に「母の遺したもの」を書き変える気になり、
裁判長はこの証言を採用した。
そして被告の岩波側に「これがなければ勝てなかった」と言わしめた。
宮平春子氏は事実上「集団自決」を指導・強制したとされる助役宮里盛秀氏の妹である。
しかも宮城晴美氏は旧版の「母の遺したもの」を著したときにも宮平春子氏に聞き取り調査をしており、
そのときには岩波側が言うような重要証言をしていない。
つまり当事者(宮里盛秀助役)の妹宮平春子氏は、
裁判直前に「後出しジャンケン」のような「証言」をし、
それを聞いた宮城晴美氏は、更なる「後出しジャンケン」の後追いで、
故母初枝氏の「遺言」を書き換える「証言」をしたのである。
裁判長はこのような検証されない被告側証言を全て採用し、
多くの検証済みの原告側証言を殆ど採用しなかったのだ。
「戦後レジーム」という巨大な怪物の影響力の恐ろしさを改めて感じる。
関連エントリー:
「新証言がなければ勝てなかった」 岩波側の本音
元隊長らの請求棄却 集団自決訴訟 |
元守備隊長らの請求棄却 沖縄集団自決訴訟で大阪地裁 (3月28日 10:22)
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「戦後レジーム」はいたるとこで日本を蝕んで来てますね。歴史を振り返り、ただ眺めて、検証するなんて今の時代、流暢に構えていてはいけませんね。現在進行で、過去未来がどんどん変わっていくから、まさしく何らかの形で、情報戦争に参戦しなければいけませんね。応援してます。
応援ありがとうございます。
>「戦後レジーム」はいたるとこで日本を蝕んで来てますね
安倍前首相が挑戦して果たせなかった「戦後レジームからの脱却」・・・この裁判は単なる個人の名誉毀損の問題にとどまらず、「戦後レジーム」の象徴とも言える岩波と大江の「粉砕」が大きな目的のひとつだと理解しています。
「戦後レジーム」の魔の手は教育界筆頭に、官庁から法曹界にまで及んでいますので、「法廷で正義を訴える」といった青い考えでは「場外乱闘」に法廷までも巻き込まれるおそれがあります。
応援よろしくお願いします。