中東のシリアやイラクから欧州を目指す2000人~4000人の難民や移民が、欧州連合(EU)と境界を接するベラルーシに殺到している。
EUはベラルーシのルカシェンコ大統領が意図的に自国へ招き、ポーランドなどに送り込んでいるとみて、ベラルーシに対する制裁を強化することにしている。
EUからの制裁が続くベラルーシのルカシェンコ大統領が難民・移民を外交の道具に使い、EUが抱える弱点を突いたとの見立てだ。
ベラルーシ西部のポーランド国境地帯では、鉄条網を壊して侵入を図る難民・移民とポーランド国境警備隊の衝突が起こった。
現地からの報道では、警備隊は放水車などを投入し、侵入を阻止した。
ポーランド側はベラルーシ当局が難民・移民に閃光弾などを渡し、手助けしていると非難、一方、ベラルーシ当局はポーランドの「暴力」を非難した。
このような状況から、子どもを含む難民、移民は、厳寒の中で食糧不足、病気、当局との衝突などによって死者も出ている。
EUなどの見方では、ベラルーシの旅行会社がシリアやイラクの難民などにベラルーシ経由欧州行きのプランを提示し、それに乗った人々がベラルーシに押しかけたと見ている。
EUでは、ルカシェンコ大統領が制裁をかけたEUへの報復に、中東の難民、移民を利用したものと判断している。
また、その裏には、ロシアのプーチン大統領が糸を引いているとみて、ベラルーシ、ロシアの共同作戦とも見られている。
EUは、深刻な人道問題を引き起こしているとして、ルカシェンコ政権の関係者らに追加制裁を科す方針を決めた。
EUのボレル外交安全保障上級代表は記者会見で、「近日中に発動する。多数の人物や企業が対象だ」と述べた。
欧州メディアによると、約30人の政権関係者や旅行会社などが対象で、EU内の資産凍結や域内への渡航禁止などを科すとみられる。
ボレル代表は、「まずは人の流れを止めて解決策を探る」とも説明した。
中東諸国からベラルーシへの航空便を止める動きが出ているほか、イラク当局はベラルーシに渡った移民・難民を母国に戻す航空便を飛ばすと表明しており、ボレル氏は歓迎の意を表明した。
ベラルーシのルカシェンコ大統領は、政府会議であらためて同国の関与を否定、EUの追加制裁に「厳しく反応する」と対決姿勢を強調した。
悪名高いルカシェンコ大統領だが、プーチン大統領と組んで弱い立場の難民、移民を使い、逆恨みにようにEUへ報復するという行為が真実だとしたら、こんな邪悪な為政者が存在していること自体が前代未聞と言える。「関連:5月30日」