新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、世界保健機関(WHO)は遂に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。
中国の保健当局、国家衛生健康委員会は、31日コロナウイルスによる肺炎の患者が、新たに1982人増えて9692人になったと発表した。
2003年に流行した新型肺炎「SARS」の世界全体の患者の数は8096人だったが、中国国内だけでこれを上回ったことになり、感染の拡大が続いている。
患者のうち症状の重い人は1527人に上っており、死者も213人となった。
深刻なのは、患者数が発症地の武漢市より、他の地域の方が倍以上になっていることだ。つまり、既に中国全土に広がっている。
WHOは、一時は緊急事態宣言を見合わせていたが、テドロス事務局長は、感染がほかの国でも拡大する恐れがあるとして、緊急事態宣言に踏み切ったようだ。
WHOでは、貿易や人の移動を制限することは勧告しないとした一方で、医療態勢がぜい弱な国を支援することや、ワクチンや治療法、それに診断方法の開発の促進、風評や誤った情報が拡散することへの対策、データの共有などを行うべきだとしている。
WHOの宣言を受けて中国政府は「中国はWHOや各国とともに、引き続き、世界や地域の公共衛生の安全を守っていきたい」と強調し、各国と協力しながら感染拡大の防止に向けて、最大限の対策を講じていく姿勢を示した。
このような中で、武漢市から日本人の退避者は、今日まで政府のチャーター機3便で計565人が帰国した。ただ、新形ウイルスが中国全土に広がっている状況から、中国他地域からの入国者についても今まで以上に厳重な検査を施すことが必要だ。
日本国内の感染者は、国内における感染と、武漢からの帰国者など20名を超えそうだ。政府は、WHOを中心に中国など国際社会と連携し、国内はもとより世界的流行を阻止しなければならない。
特に、7月の五輪・パラリンピック開催を控えているだけに猶更のことだ。「関連:1月30日」