ロシアの爆撃機Su-24がトルコ領に侵入したとしてトルコ軍のF-16戦闘機によって撃墜されたが、このロシア機は撃墜される直前にシリアのトルコ系少数民族トルクメン人の居住地域を爆撃したようだ。
また、トルコ側は、ロシア機の領空侵犯に対し10回ほど警告したとしているが、パラヒュートで脱出して助かったパイロットは、警告は聞かなかったとこれを否定している。
どちらが正しいかは闇の中だが、ロシアは自らの正当性を譲らず、トルコに対しかなり厳しい経済制裁を課した。
昨日の情報で、トルコのエルドアン大統領が演説で「起きなければ良かった」と述べ「後悔の念」を表明したと報道されたが、ロシア側はこの程度の反省の弁ではだめで、トルコが正式に謝罪しない限り批判の手を緩めない。
どうもシリア情勢については、報道が錯綜しており、ロシアが反政府勢力への攻撃を抑制することになったとか、フランスがアサド政権の維持を認める方向に転換したとか、欧米の有志連合とロシアが協調してシリア情勢に対応するかの雰囲気を感じるが、そんな単純な状況ではないようだ。
シリアの正常化のためには、先ず国内のISを排除することが前提になるはずだが、シリアには、反政府勢力の中にアルカイダ系が便乗して加わっているとのことであり、アサド政権を擁護するシーア派のイラン、イラク、レバノンの過激派ヒズボラに対し、反アサドのスンニ派のサウジアラビア、イラクの反政府派のスンニ派勢力が絡み、イスラム教の宗派争いもなっているため、問題がいっそう複雑化している。
また、ISは、個として至る所に点在し、一点爆撃では掃討できるものではなく、地上部隊や秘密部隊のような戦力を投入しない限り撲滅することはできないようだ。
また、例えISを掃討したとしても、反政府勢力の扱いや、その中に含まれているというアルカイダ系がまた頭を出してくる可能性がある。
IS対欧米有志連合+ロシアといった図式ではシリアの正常化は難しいようだ。「関連:11月29日」