国賓として訪日したアメリカのトランプ大統領は、帰国後ツイッターに満足の意を表す書き込みをした。
トランプ大統領は、安倍晋三首相に目いっぱいのもてなしを受けたことによる満足と、得意とする取引(ディール)で幾多の成果を得たことによる満足感の表明だと思う。
貿易問題については、7月に参議院選挙があるため、結論を8月に延ばすことに同意した。
いかにもせっかちの感じがするトランプ大統領が、8月まで待った裏には、かなりの勝算があったと思った方が間違いなさそうだ。
安倍首相は、ウインウインの結果を得たいと言っているが、この言葉が最高ラインならば、日本にとって、もっと不利な形になる、或いは、既になっている可能性を示唆している。
もし、選挙前にアメリカに譲歩したことが明らかになれば、選挙に不利に働くことになるので、8月に延ばしてもらったのだろう。
選挙の後ならば、「後は野となれ山となれ」になり、政権は何とか延命できるからだ。
さて、今回のトランプ大統領との首脳会談では、安倍首相が、アメリカと対立しているイランとの和解の仲介役を買ってでたのか、或いは頼まれたのかは分からないが、近々、訪問を予定しているイランで、その役割を任ずるとのことだ。
もし、安倍首相の仲介で、アメリカとイランの険悪な状態が解れることになれば、これは正にノーベル平和賞ものだ。
もちろん、トランプ大統領の言いがかりとも言える理由で、イランへの経済制裁によって、原油の輸入を閉ざされている日本にとっても、極めて有効的だ。
しかし、イランと伝統的な友好関係にある日本とは言え、安倍首相がそんな大きな役割を演じることができるだろうか。
答えは、残念ながらノーと言わざるを得ない。なぜならば、アメリカとイランとのこじれは、元々、上手く行っていたと思われていた2015年に締結した欧米とイランとの核合意について、トランプ大統領が横やりを入れてわざわざ亀裂させてしまったからに他ならない。
つまり、問題はトランプ大統領側にあり、トランプ氏がその行為を改めれば、一気に、イラン情勢は正常に戻る可能性があるからだ。
従って、わざわざ安倍首相が仲立ちをするまでもなく、トランプ大統領が、その気持ちになれば済む話であり、今のままでは、安倍首相はドンキホーテの家来サンチョ・パンサの役割を演ずる可能性があるような気がする。「関連:5月30日」