外国人労働者受け入れを促進するための出入国管理法改正案が、衆議院で可決され参議院に回付されたが、内容が粗雑で、移民受け入れ解禁に発展しかねない重要問題としては心もとない。
現在、日本にいる外国人労働者は、2017年時点で128万人だが、移民受け入れを容認していないために、在住外国人に関わる様々な制度上の課題が取り残されている。
これらの外国人は日本にいる以上、日本の法律に従うことになるが、中には、不法在住者や、一応、正規のルートで日本に滞在している外国人の中にも、技能実習生や留学生などは、目的外労働をさせられたあげく、行方不明になったり、不幸にも自殺に追い込まれる人も多くいて、実質的に法外の状態に置かれているケースが増えている。
分けても、労働基準法、労働災害法、労働保険法、健康保険法、年金制度などの法律や制度が適用されていないケースが多くあるものと推測される。問題なのは、その実態が充分に把握されていないことだろう。
このような中で、政府・与党が今回、外国人労働者受け入れを促進に舵を切ったが。現状との整合性や、対象法制が不完全なままに、来年4月からのスタートは無謀とも言える。
1つの例としては、現在、技能実習生の受け入れや、その後の実態を見守るために法的措置として民間の管理団体を置いているが、それが上手く機能していないのが実態だ。
今回の改正法でも、同じような管理組織を置くことになっているが、現在の組織には課せられている罰則条項が外されているようだ。
本来、これらの管理団体は、技能実習生が利益を損なわないように見守るのが目的だが、罰則がないことにより、受け入れ企業と管理団体の馴れ合いが生じ、外国人労働者が不利益な立場に置かれる恐れが拡大する。
つまり、今回の外国人労働者受け入れを促進するための法律は、彼らにとって現行より不利な条項があるということになる。そのためにも、もっと、綿密な制度設計が必要だろう。「関連:11月29日」