新型コロナウイルスのワクチンについて、菅義偉首相は河野太郎行革相を総司令官に任命、国内の接種がスムーズに進むよう体制を整えた。
しかし、河野氏は肝心のワクチンの入手について、坂井学官房副長官が「6月までに接種対象となる全ての国民に必要な数量の確保は見込んでいる」との説明を修正すると述べ、政府内で齟齬を来していることが暴露された。
ところが、実際にワクチンが何時、どのメーカーの物がどれだけ日本に入ってくるかについて、分からないことが、現在のEUとイギリスの実態から想定されている。
EUはイギリスのメーカー・アストラゼネカと契約したワクチンが予定通り入ってこない状況にあり、アストラゼネカは国内接種を優先しているのではないかと疑念を募らせている。
そのため、アストラゼネカがベルギーで生産している製品について、イギリスに輸送しないようにしているなどギクシャクしている事態になっている。
この状態について河野行革相は、オンラインのダボス会議で、EUの処置に懸念を示し、「我々はワクチンをEUから日本に輸入することを考えていた」と述べた。
一方、アメリカでも、ワクチン接種が滞っていて、国民の中には期限の切れたワクチンを争って接種しているニュースも報道され、ワクチンの生産が需要に間に合っていない実態を想定させている。
このような中で、世界では約60カ国が既にワクチンの接種を行っている。中国、インド、ロシアなどは、それぞれの友好国に自国生産のワクチンを供与しており、ワクチン外交とも呼ばれている。
日本の場合は、当初は2月に医療従事者、3月に65歳以上の高齢者への接種を行うとされていたが、アメリカのファイザー、モデルナ、イギリスのアストラゼネカの製品が何時入ってくるのか、分からず、どうやら高齢者の接種は4月にずれ込むことになりそうだ。
もっとも、一部の世論調査では、日本人の内、接種を望んでいる人は49%、望んでいない人が41%になっており、政府の意気込みとは裏腹に国民はそんなにあせってはいない感じだ。
しかし、東京五輪・パラリンピックをやるためには、ワクチン接種が不可欠なのに、肝心のワクチンがいつ入って来るか分からず、国民の半数近くがどうでも良いような気持ちを持っていることは如何か。
どうも、国民の過半数以上が、東京五輪・パラリンピック開催は無理だという考え方を持っているのと、ワクチン接種はやりたくないという人の割合がやや一致している点も気になるところだ。「関連:1月18日」