8月30日、アメリカ軍がアフガニスタンからの撤退を完了した。2001年9月11日のニューヨーク同時テロ以後、約20年にわたるアメリカ史上最長の軍事作戦が終了したことを告げた。
この間、アメリカは、アフガニスタンでタリバン、アルカイダ、IS等イスラム原理主義過激組織と対峙、タリバン政権を崩壊させ、一時はアフガンに民主的政権を樹立、アルカイダの首謀者オサマ・ビンラディンを殺害するなど一定の成果を上げた。
しかし、700兆円と言われる巨額な資金を投下、約2500人のアメリカ兵や市民が死亡し、2万人以上が負傷するという大きな犠牲を払った。
このような中で、2020年、トランプ前大統領がカタールでタリバンと和平合意し、これを受けて、バイデン大統領が、今年、アメリカ軍を8月31日まで全面撤退させることを決めた。
バイデン氏は、撤退後は、ガニ政権に統治を委ねたが、ガニ大統領は、タリバンとの交戦前に国外に脱出、タリバンは戦わずして政権を奪還した。
タリバン政権樹立に伴い、アフガンからの脱出を試みる国民、外国人がカブール空港へ集合、空港は大混乱に陥った。
アメリカをはじめ欧州、韓国などは、自国機を飛ばし、自国民、大使館員、アフガニスタン人など約12万人を退避させた。
空港の混乱に乗じて、ISKを名乗る過激派組織による爆弾テロが勃発、アメリカ兵13人、アフガニスタン人約170が死亡した。
アメリカは、直ちに反撃、ISKの自爆テロ計画者らをドローンにより攻撃、死亡させた
日本政府も、遅まきながら自衛隊機を飛ばしたが、日本人女性1名、アフガニスタン人14名を退避させただけに止まった。アメリカ軍の撤退終了により、自衛隊機はアフガンの隣国パキスタンのイスラムバード空港に待機している。
バイデン大統領は、タリバンの政権奪取を許し、ISKによる自爆テロで兵士13名を死亡させたことなどで、野党共和党をはじめ国民の約50%が批判、直ちに反撃して相手を殺害したことの評価はあるが、それでも苦境に立たされていることに変わりはない。「関連:8月29日」