昨晩、菅義偉首相が記者会見し、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の追加について説明した。いずれも既措置と同じ9月12日までとすることになった。
これで緊急事態宣言は21都道府県に、まん延防止等は12県で合わせて33の自治体が対象となり、緊急事態宣言は、人口ペースで国民の75%宛てに発令されたことになる。
期限をすべて9月12日にしているが、これがどうも根拠不明だ。自治体ごとに感染状況が異なるので、それぞれ期限が違っても良い筈だが、総て9月12日にしたのは、やはり、自民党の政治日程に合わせたとしか思えない。
菅首相は、病床問題、ワクチン接種、緊急の治療薬、などについて説明したが、相変わらずプロンプター頼りで自分の言葉が少なく説得力を欠いている。
それならそれで、記者が分かるまで丁寧に対応すれば良いのに、途中できびすを返して質問を打ち切ってしまう。つまり誠意を見せない。
また、菅氏が話す総てに政治の都合を感じてしまう。口では国民のためとか言うが、本心は自身の政治と結びつけている。これが見え見えなので信頼が沸かない。
今回の記者会見でも、「先行きに明るさが見えて来た」と述べたが、確信も根拠もなく、抽象的に美辞麗句を語っても、国民は安心できない。首相の言葉に信頼が持てないからだ。
菅氏は、自民党総裁選挙に立候補することは「当然だ」と述べたが、そんな自信を持つ根拠はどこにあるのだろうか。
菅氏に対しては、これまでの首相に影響がある選挙で全敗だ。また、各社世論調査でも不支持率が50%以上で、既に退場を迫られている。また、自民党内でも若手を中心に「菅首相では衆議院選挙は戦えない」と悲痛な声が上がっている。
これらの状況から、菅首相が総裁選挙に立候補するのは「当然だ」などと発言することはおこがましくはないか。
その総裁選挙に岸田文雄元政調会長が立候補することになった。前回に次ぐ2回目の挑戦だ。
岸田派は47名しかいないが、党内に菅首相では「選挙を戦えない」と言っている若手議員が多く居る。
派閥の締め付けで親分に背くことは勇気がいるが、自身の当落に関係する総裁選びであり、ここは造反してでも菅氏以外の候補に票を入れるだろう。
このような造反議員が増え、党員投票は比較的に自由だろうから、菅氏より岸田氏の方が有利のように思う。
かつて、石破茂氏が党員投票で圧勝したが、国会議員票数によって安倍晋三前首相に惜敗した例もある。
岸田氏は、石破氏の時のように、党員票で圧勝し、国会議員票でも無派閥はもとより各派閥の造反票を取り込むことができれば、菅首相が不人気なだけに勝利することは夢ではなさそうだ。「関連:8月25日」