中国の前副首相から性的暴行を受けたと告発したテニスの女子ダブルス元世界ランク1位の彭帥選手(35)が消息不明になっている問題について、世界の関心を集める問題に発展した。
19日、国連人権高等弁務官事務所の報道官は、中国に対し彭帥さんは「どこにいるのか、元気でいるのか、はっきりさせることが重要だ」と説明を求めた。
また、「性暴力を受けたという彭帥さんの告発に関し、完全な透明性を持った調査を行うよう強く求める」と訴えた。
また、アメリカのジェン・サキ大統領報道官は、彭選手の所在についての「独立し、検証可能な証拠」を中国政府が提供することをジョー・バイデン政権が求めていると述べた。
彭選手は今月初め、張高麗前副首相から性的暴行を受けたと告発。以来、所在が分からなくなっており、国際的に懸念が高まっている。
大坂なおみや、ノバク・ジョコビッチなどテニスのスター選手やスポーツ団体、各国政府、人権擁護団体も懸念の声を上げ、情報を要求している。
これに対し、中国から彭選手からとする「わたしは自宅で無事に過ごしている」とする英字の文書が公開されたが、その信ぴょう性には疑問が持たれている。
中国外務省の趙立堅報道官は、記者が彭選手の動向を求めたことに対し、「中国政府は何でも把握している分けではない」と答えなかった。
中国で開催される来年2月の北京冬季五輪について、アメリカのバイデン大統領は自身を含め政府関係者の出席をしない方向で検討している。
中国の新疆ウイグル自治区に対する弾圧など、人権問題についての中国の対応に不信感を持っているためだ。
バイデン大統領が出席しなければ、他の欧米首脳や、日本政府も追随する可能性がある。
彭選手の不明問題は、中国の暗黒社会の一面を覗かせるもので、一連の人権問題に輪をかける形で不信感を助長する。
この問題の推移によっては、北京冬季五輪をボイコットする国や、選手が出てくる可能性を孕んでいる。「関連:6月29日」