今回の衆議院議員選挙は、自民党が15議席減、公明党が2議席増で合わせて与党が13議席減らしたが、それでも自民党は161議席の絶対安定議席を維持、超保守の維新の会を入れると憲法改正に必要な310議席を有に上回る状況を作った。
これに対し、野党立憲民主党は14議席減、共産党は2議席減、令和新選組2議席増、国民民主党3議席増差し引き11議席減となった。
維新は野党とは言え、実際には親自民党なので、維新の30議席増を入れれば、与党保守勢力は17議席増となり、勝敗は与党保守の勝利、野党の完敗となった。
ただ、勝敗の裏をみれば、自民党、立憲民主党とも党の重鎮クラスを失う結果にもなっている。
取り分け、立憲民主党は、大阪で辻元清美議員を落選させた。維新の会の勢いにさしもの辻元氏も落城の憂き目にあったが、小気味よく政府を追及する女性論客を暫く見れないことは残念だ。
与党自民党は、甘利明幹事長が小選挙区で落選、比例区で復活したが党幹事長が小選挙区で落選したことは前代未聞のことで、甘利氏は辞任、後任に茂木敏充外相が決まった。
一方、立憲民主党の枝野幸男代表は、敗戦の責任を取って辞任する意向を表明した。福山哲郎幹事長も辞意を表明しているので、立憲民主党も幹部が様変わりする可能性がある。
代表、幹事長の責任は言うまでもなく、100議席を割って96議席に落ち込んだことだ。小選挙区では前回に比べて9議席増えたが、比例区で22議席減らした。
責任のポイントは、共産党との野党共闘の是非だが、確かに小選挙区ではそれなりの効果は見られるが、比例区では共産党との共闘はマイナスに働いたことは否めないと言わざるを得ない。
連合の芳野友子会長は、立民と共産党との野党共闘について「連合の組合員の票が行き場を失った。到底受け入れられない」と批判した。
共産党と共闘しなければ連合の票が立憲に入ったかはにわかに肯定できないが、無党派層には共産党嫌いが多数いると思うので、もしかしたら無党派層の票が逃げたことは想定できる。
共産党の志位和夫委員長は、共闘の継続を訴えているが、立憲民主党の新体制がどのような方向を目指すか、極めて難しい選択を迫られている。
日本維新の会は選挙前の4倍になる41議席を得て公明党を抜き第3党に躍進した。維新の会の議席増についてはいろいろな見方がある。
1つは、新型コロナ対応の初期に吉村洋文大阪知事がテレビに出まくって維新の会の名を上げたこと。1つは保守化している若ものの票を取り込んだこと。1つは共産党と共闘した立憲民主党の票を奪ったこと。1つは大阪を中心に関西地区の勢いが拡散したこと。などが上げられる。
この維新の会の躍進が今後ますます続くのか、一過性のものなのかはまだよく分からないが、自民党との違いが良く分からず、保守の中に埋没する可能性は否定できない。「関連:11月1日」