年金積立金管理運用独立行政法人(JPIF)の平成27年度の資金運用実績が発表され、5兆3098億円の赤字となった。
134兆7,475億円を運用しているJPIFは、従来、安定的な投資という観点から、国債に主に投資をしてきたが、収益性を高めるために、2014年10月から、国内と海外の株式に50%投資するようにした。
株式に重点を置いた後、円安、株高によって、一定の収益を上げ、20年間では約50兆円の黒字だったが、平成27年度は、円高、株安に転じたため5兆円を超す赤字計上した。
政府は、野党の追及に対し、これまで約45兆円の利益が出ており、年金の額は、100年間を通じて年金積立金を使いおわる形で決めているため、今回の損失で、ただちに、年金が減っていくということにはならないと説明している。
しかし、JPIFの株式運用重視策については、安倍晋三内閣の株高誘導の一環に使われた感があり、年金の性格から、従来のような国債重視の安定運用が必要とされる。
株高を演出するため、大量の資金を投入しても、今回のように中国経済の減速や欧州情勢などにより株価が下がると、その影響をいっきに被ることになる。
今回は一過性でこれからは株高に転じるという保障どこにもない。株高を演出するため政府の使ったJPIF資金の株式運用が、木乃伊取りが木乃伊になる危険性はこれからも続く。「関連:4月5日」