アメリカのオバマ大統領は、何とか本年度の予算執行について議会の承認を得、一息ついたところだろう、経済も一時の停滞から脱却、連邦準備制度理事会のバーナンキ議長が超金融緩和政策を一区切りし、若干の引き締めに転換したところで、ドル高に動いた。一気に金融緩和を止めれば、欧州や新興国からドルが逆流、再び世界金融危機に陥ることが危惧されたが、段階的な金融引き締め移行によって、危機を回避した。
オバマ大統領は、イラン新政権のロウハニ大統領の融和政策に呼応し、イランが核開発についてIAEAの査察容認など、急速な関係改善に踏み切ったことは、朗報と言ってよい。
シリアについて、一時空爆を示唆したが、ロシアの仲介もあって、シリアが化学兵器を廃棄することを受け入れ、空爆を猶予した。しかし、アサド大統領が勢力を盛替えし、反政府側との内戦がさらに激化、何百万人ともいえる難民が国境地帯で厳しい冬を過ごしている。
中国が突然敷いた防空識別圏については、日本に合せ批判はしたが、民間航空機会社に飛行計画を出させるなど、日本には不利な動きを見せた。また、安倍晋三首相の靖国神社参拝については、失望したと言明、同盟国としては異例の厳しい態度を示した。
北朝鮮は、ナンバー2の張沢成氏が失脚、死刑にされるというセンセーショナルな事態が生じ、金正恩第一書記の神格化が進んでいると報じられている。しかし、今後、北朝鮮がどのような形に動いていくのか、見極められていないのが実態だ。
中国は、習近平体制が2年目に入ったが、沿岸と内陸地域の格差は解消されず、チベットなどの民族弾圧、PM2.5による環境汚染、地方、中央官庁の汚職など、巨悪と言われた実力者の薄熙来氏を無期懲役にしたとはいえ、内政は依然として安定性を欠いているようだ。
また、東。南シナ海への海洋進出、日本との尖閣諸島を挟む確執、年々膨らむ軍事費などへの危惧など、世界第2位の経済大国として、中国に対する国際社会の目は厳しいものがある。
2月7日開幕のソチ冬季五輪を間近にして、ロシアで爆弾テロが続発、暗雲が漂っている。政府が万全の警戒を強めている中を嘲笑うようなテロについて、プーチン大統領も焦りが募っていることだろう。ソチ冬季五輪には、性同一性の差別問題から、オバマ米大統領、キャメロン英首相、オランド仏大統領、安倍晋三首相など主要国の首脳が開会式などに不参加を表明している。平和の祭典五輪が、無事に開催されることを祈りたい。
日本は、安倍晋三内閣が発足して1年経った。安倍首相が、内閣誕生1年間の成果について、靖国神社参拝で報告したとのことだが、理由が戴けない。安倍氏の参拝については、中国、韓国のみならず、アメリカ、ロシア、EU等からくそみそに批判された。今後、安倍首相の目指す、右傾化路線の行方に大きく影響しそうだ。
安倍内閣は、安倍氏懸案の国家安全保障会議、特定秘密保護法案と、衆参ねじれ現象が無くなった中で、いけいけどんどんで右路線をまっしぐらだが、今後、集団的自衛権、自衛隊の国防軍化、武器輸出三原則などに、靖国神社参拝に対する国際社会の不信感が顕在化したことが、歯止めがかかる要件になるのか。
安倍政権は、発足してから直ちにアベノミクスたる三本の矢でデフレ脱却、景気回復を図り、金融緩和から円安が進み、輸出産業を中心に企業業績が向上、株価も高騰し、高額商品を中心に消費も高まった。
しかし、反面、原油を中心に輸入物価が上がり、電気代などの物価高を招いている。アベノミクスの3本目の矢の成長戦略は、新エネルギー開発への挑戦が弱いこともあって、これといった目玉は見つからない。
アベノミクスの最終目的は、物価が上がり、それでも購買力がつくように賃金が上がってようやく仕上げとなる。新年4月は消費税が8%に上がる。果たして賃金引き上げが行われるか。アベノミクスの第一ラウンドを見極めることになる。「関連:2012年12月31日」