震災で情報はどう伝えられたか、情報空白から身を守るために 第1回
序(1)
東日本大震災と福島第1原発が引き起こした日本の危機は、それまでの考え方に厳しい再検討を迫るものであった。平常時のきれいごとではなく、だいだい突発事故でそのシステムのボロが出るものである。災害の対応のカギは情報である。適切な情報があれば迫ってくる危機に対して個人は必要な対応を行なうことが可能となる。分からないままに津波にのまれたり、放射線の流れの濃い地域に向かって避難したり、「情報空白」は致命傷になりかねない。今回の大地震では2種類の情報空白が発生したという。ひとつは地震と津波で被災した東北関東地方で、通信システムの破壊、停電、高付加と接続規制などにより、人々が連絡不能となり警報受信を行なうことが難しくなった第1種の情報空白である。もうひとつは政府報道が故意に安全だとしか言わなくなり、大手メデァが政府・東電の公式発表しか流さなくなったことによって生じる、不正確で隠蔽された歪んだ情報しか入手し得ないという第1の情報空白であった。住民は危険な放射線汚染地域に長く居続けることになった。このときに意外な情報手段が命を救った例がある。常磐線の電車の乗客が携帯電話のワンセグ放送で大津波情報に気ずき、巡査の誘導で危機を回避した。3月12日午後3時福島県はSPEEDI拡散予測システムの結果を入手していたが、不正確だという理由で住民への公表を行なわなかった。情報の無い住民は原発からより危険な北西方向へ逃げた人々がいた。オーストリアやドイツの気象研究所は3月12日からインターネットで放射線拡散予測結果を公表しており、関係者は十分把握していたはずだが、政府・東電関係者らはこれを握りつぶしたのか正しい情報が報道されなかった。被災地の住民や役所の人間がインターネットを見ることは出来なかったにせよ、首都圏では閲覧は可能であった。
序(1)
東日本大震災と福島第1原発が引き起こした日本の危機は、それまでの考え方に厳しい再検討を迫るものであった。平常時のきれいごとではなく、だいだい突発事故でそのシステムのボロが出るものである。災害の対応のカギは情報である。適切な情報があれば迫ってくる危機に対して個人は必要な対応を行なうことが可能となる。分からないままに津波にのまれたり、放射線の流れの濃い地域に向かって避難したり、「情報空白」は致命傷になりかねない。今回の大地震では2種類の情報空白が発生したという。ひとつは地震と津波で被災した東北関東地方で、通信システムの破壊、停電、高付加と接続規制などにより、人々が連絡不能となり警報受信を行なうことが難しくなった第1種の情報空白である。もうひとつは政府報道が故意に安全だとしか言わなくなり、大手メデァが政府・東電の公式発表しか流さなくなったことによって生じる、不正確で隠蔽された歪んだ情報しか入手し得ないという第1の情報空白であった。住民は危険な放射線汚染地域に長く居続けることになった。このときに意外な情報手段が命を救った例がある。常磐線の電車の乗客が携帯電話のワンセグ放送で大津波情報に気ずき、巡査の誘導で危機を回避した。3月12日午後3時福島県はSPEEDI拡散予測システムの結果を入手していたが、不正確だという理由で住民への公表を行なわなかった。情報の無い住民は原発からより危険な北西方向へ逃げた人々がいた。オーストリアやドイツの気象研究所は3月12日からインターネットで放射線拡散予測結果を公表しており、関係者は十分把握していたはずだが、政府・東電関係者らはこれを握りつぶしたのか正しい情報が報道されなかった。被災地の住民や役所の人間がインターネットを見ることは出来なかったにせよ、首都圏では閲覧は可能であった。
(つづく)