ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート R・Pファイマン著 「光と物質の不思議な理論ー私の量子電磁力学」(岩波現代文庫)

2015年04月16日 | 書評
光子と電子の相互作用を解き明かす量子電磁力学 第15回

3) 電子との相互作用 (3)

③ 光子の交換
ここでは量子力学的作用の③ 電子が光子を吸収あるいは放出することを見てゆく。この場合吸収でも放出でもどちらでも「分岐」または「結合」と呼ぶ。下図の左の図で、時空を移動する電子は直線で、光子は波線で表し電子が光を吸収し放出することを示します。この事象の振幅は定数j(-0.1)で、10分の1の短縮と半回転を意味します。この値は電荷(e-)と呼ばれる。ここで2つの電子と光の相互作用という複雑な状況を見てみよう。2個の電子が1から3、2から4へ移動する経路は第1経路が1E(1→4)×E(2→4)、第2経路がE(1→4)×E(2→3)ですが、下図の右の図に直進以外の経路を示しました。最初と最終状態は同じでも途中で光を交換することもありうるのです。ここで光を放出・吸収するので、第3経路はE(1→5)×j×E(5→3)×E(2→6)×j×E(6→4)1×P(5→6)となります。放出され吸収される時点の位置により一番右端のように光子は時間を後ろ向きに進んだということもできますが、ただ「交換された」といいます。その振幅はj2=0.01です。寄与は小さくなります。コンピュータを使えばjの6乗くらいまでの確率を計算できます。

(つづく)