ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

経済情報 アトランダム 

2008年04月25日 | 時事問題
asahi.com 2008年04月25日16時00分
シャープ、売上高・当期利益とも過去最高更新
 シャープが25日発表した08年3月期連結決算は、売上高が前年同期比9.3%増の3兆4177億円、当期利益は同0.2%増の1019億円で、ともに5年連続で過去最高を更新した。液晶関連や携帯電話などが好調だった。

asahi.com 2008年04月25日15時11分
野村、サブプライム関連で9年ぶり赤字転落
 野村ホールディングス(HD)が25日発表した08年3月期連結決算(米国会計基準)は、米国の低所得者向け(サブライム)住宅ローン関連の損失が膨らみ、678億円の当期赤字に転落した。通期での当期赤字は米国事業の巨額損失などで赤字に転落した99年3月期以来、9年ぶり。

asahi.com 2008年04月25日14時03分
3月消費者物価1.2%上昇 14年ぶりの伸び
 総務省が25日発表した3月の全国消費者物価は、値動きの激しい生鮮食品を除く総合指数(05年=100)が100.8になり、前年同月より1.2%上昇した。上昇は6カ月連続。上げ幅も2月の1.0%を上回り、消費税率引き上げの影響を除けば93年8月以来の大きさになった。
 生鮮食品を除く食料品が、前年同月より1.8%上昇し、物価指数を0.40%分押し上げた。海外で高騰が続く小麦関係の値上がりが目立つ。
 石油製品や電気、ガス代といったエネルギー関連も9.5%上昇。0.76%分の押し上げ要因になった。

asahi.com 2008年04月25日12時15分
東京1ドル=104円台 4日ぶり安く
 25日の東京外国為替市場の円相場は、4日ぶりに一時1ドル=104円台まで円安が進んだ。午後1時現在では前日午後5時と比べ51銭円安ドル高の1ドル=104円20~25銭。

読書ノート 佐藤優著 「国家の罠」 新潮社

2008年04月25日 | 書評
鈴木宗男、佐藤優をターゲットとした小泉政権の国策捜査 第六回

2、前哨戦としての田中真紀子と鈴木宗男の戦い(1) 

 2001年4月26日「自民党をぶっ壊す」といって国民的人気を得て成立した小泉政権の産みの母といわれる田中真紀子氏が外相に就任した時には、外務省はかってない危機に瀕していた。松尾要人外国訪問支援室長の機密費詐取事件、機密費流用事件は猛烈な世間の反発を買った。田中真紀子しの基本的スタンスは「父田中角栄の日露外交である田中ブレジネフ会談をスタート点とすること、父田中角栄を裏切った経世会の流れ橋本派は許さない」ということであった。そこで鈴木宗男は橋本派で、日露外交で変な動きをしているので潰してやろうという気持ちになったようだ。ここから田中真紀子氏と鈴木宗男氏のバトルが始まった。そこへ外務省の内部権力闘争と知りすぎた族議員宗男氏を排除する動きと世論支持率を最優先する官邸の思惑が絡んで、前代未聞の異様な外務省スキャンダルが展開された。このことは記憶に新しいので良くご存知であろうと思うので流れだけをまとめたい。今では外務省には親米派しかいないが、小泉内閣以前は地域ごとの外交戦略チームが存在していた。小泉首相は親米外交のみで、東アジア外交は日本ナショナリズムで切り捨てた。安倍内閣もその路線であった。日露関係では重要な三つの文書がある。一つは1956年鳩山一郎・フルシチョフの「日ソ共同宣言」、二つは1993年橋本龍三郎・エリツィンロシア大統領の「東京宣言」、三つは2001年森首相・プーチン大統領の「イルクーツク声明」である。橋本龍三郎・小渕恵三・森喜朗首相の三つの政権の日露戦略は地政学論に基づく日露改善が目的であった。国是は北方四島返還交渉にあった。外務省の内部派閥は言語別「スクール」と業務別「マフィア」が存在した。松尾事件は「マフィア」の犯罪であり、宗男疑惑は「ロシアスクール」に属する。「ロシアスクール」の親分は丹波實氏と東郷和彦氏であった。外務省幹部は田中・宗男抗争では外務省は危機の原因となった田中真紀子を放遂するため宗男の政治力を利用し、小泉の外交パラダイムシフトに従って用済みとなった宗男グループのロシアスクールを検察の手に売った。この過程で佐藤氏も粛清された。これが本書の言うことのすべてである。そのために「国家の罠」が用意されたのである。とはいうものの、日露外交の概略を前提として知っておくことは決して遠周りではない。

読書ノート 福岡伸一著 「生物と無生物のあいだ」 講談社現代新書

2008年04月25日 | 書評
生物の動的平衡とはなにか 第六回(最終回)

本書の読了後、民間企業で生命科学研究の一端に携わった者の目からみて、何かすっきりしない結末のドラマを見たような感がしてならない。所謂サクセスストーリーで終わっていないのである。科学には仮説で動いて成功する人もいれば、その通りに結果が出ないときもある。そこから次の研究のヒントを得て最終的に結果が生まれることを「セレンデピティ」という。本書に見る限り、ある仮説通り行かなかったことが、曖昧な哲学的納得へ導いているようにしか見えない。この一連の研究論文を読んでいないので何もいえないが、本書に見る限り「重要と思われる遺伝子が失われても何も不都合が起きない遺伝子とはなんなのか、複数のバイパスを持った生物の不可思議さ」という結論では納得できないのである。そのメカニズム研究こそが今後の課題であるとしても、著者らの研究成果は中途半端で決定的結論は出ていないとしか思えない。私はそういう意味で大変不満足なのである。なお本書は新聞や書評で大きく取り上げられ、脳科学者の茂木健一郎氏らが絶賛する。著者は最近やたらとテレビに出るようになった。その点は茂木健一郎氏と同じである。テレビ文化人になられたようだ。

文芸散歩   「平家物語 」 佐藤謙三校註 角川古典文庫  

2008年04月25日 | 書評

日本文学史上最大の叙事詩 勃興する武士、躍動する文章 第28回

平家物語 卷第五

都遷
治承四年六月三日福原に遷都と決定した。二日に主上、建礼門院、後白河法皇、高倉上皇、摂政殿基通らの卿相、入道相国を始め平家の雲客らの行幸が今日を出発し、三日には福原に入った。臨時の御所は池中納言頼盛卿の山荘に当てられ、頼盛はその功により正二位となり右大将良通を越えた。摂関家を超えた例はこれが始めてである。そもそも今回の遷都は後白河法皇の次男高倉宮(以仁王)の謀反によるもので、入道は憤激して後白河法皇を板で囲った家に押し籠めた。この後平家物語は長々と遷都の例を引くが、省略する。奈良時代より前は天皇が変わるたびに都を遷していた。遷都しなくなったのは奈良時代七代と平安時代三十二代の三百八十年である。「花の都、田舎になるこそ悲しけれ」と惜しんだ。

新都
六月九日新都造営の詮議が徳大寺左大将実定卿、土御門宰相通親卿などで、各所の稟議が始まったが福原周辺では狭くて都の半分も出来ず、遠く播磨、摂津などの候補が上がった。入道は五条大納言邦綱に周防国を賜って新都造営の財源をひねり出そうとした。世が乱れているときの遷都は民の苦しみをよそに、八月棟上、十一月遷都と決定した。


月見
この節は旧都の月を愛でる歌物語である。八月十日ごろ、徳大寺左大将実定卿が近衛河原の大宮(実定の姉)の住む京の屋敷を訪れた。待宵の小侍従と云う女房がはべっていたが、この女房は「待つ宵(女の心情)か帰る朝(男の心情)のどちらが哀れか」と問われれば、「待つ宵」と答えたことから来ている。歌三首と今様を入れた歌物語で男女の恋心を歌った。物の数ではないと云う意味の「ものかわ」と云う言葉のやり取りが実に優雅である。

自作漢詩 「雨中看牡丹」

2008年04月25日 | 漢詩・自由詩


蒙蒙霧雨一庭     蒙蒙たる霧雨 一庭幽なり

冷艶牡丹紅欲     冷艶なる牡丹 紅浮ばんと欲す

午睡蕭蕭難結夢     午睡蕭蕭と 夢結び難く
 
吐芳花笑却牽     芳を吐いて花笑い 却って愁いを牽く

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(赤い字は韻:十一尤 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)