これも韓国映画らしい作品。
貧しい家庭環境のなかに生きる主人公ワンドゥギ(ユ・アイン)は、世をななめにみて、反抗的な高校生生活をおくっている。父親は脚が不自由で、街頭での踊りから入る収入で、どうにか暮らしている。母親はいない(らしい)。住んでいるところは、バラックのよう。このようなところが、現在の韓国にもあるrのだろうか。貧しい人たちが密集して暮らしている。喧嘩、罵声が絶えない。
ワンドゥギの通って高校は夜間高校だろうか。この担任の名前はドンジュ(キム・ユンスク)。ワンドゥギの家のすぐそばに住んでいて、ワンドゥギの生活にしじゅう介入してくる。しかし、ドンジュは粗野で、ガサツな教師にみえるが、きわめて人間臭い。
ワンドゥギとこの教師とのやりとり、確執、人間的交流がこの映画の中心になってるが、ワンドゥギを囲む人は他にもたくさんいて、教室の仲間、優等生の女子学生ユナ、もうとうにいなくなっていたと思っていたフィリピン国籍の母親(イ・ジャスミン)、画家らしいかヤジ暴言の隣人、ドンジュが恋心をいだいた画家の妹で武侠小説を書いているというホジュン(パク・ヒンジュ)。
ドラマの語源は、ギリシャ語。「葛藤」という意味合いだ。その意味で、この映画は、ホントのドラマだ。ワンドゥギと教師ドンジュ、父親との葛藤。久しぶりに再会した父母の葛藤、ワンドゥクと成績優秀なユナとの葛藤。それらの葛藤のなかに、ユーモアがあり、ペーソスがある。強がってみたり、小心になったり。みながみな小さい空間でぶつかりあい、ののしりあいながらも、次第に心をとけあわせ、信頼が形成され、一歩づつ人生を進んでいく。共感をもって鑑賞した108分だった。