おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ダーティハリー5

2024-06-04 07:08:17 | 映画
「ダーティハリー5」 1988年 アメリカ


監督 バディ・ヴァン・ホーン
出演 クリント・イーストウッド パトリシア・クラークソン
   エヴァン・C・キム リーアム・ニーソン
   デヴィッド・ハント マイケル・カリー
   マイケル・グッドウィン ダーウィン・ギレット

ストーリー
サンフランシスコ市警察のハリー・キャラハン刑事は、シスコ随一の賭博の元締ルー・ジャネロを、持ち前の強引な方法によって逮捕したところであった。
その模様はテレビを通じて報道され、ハリーは一躍市民の間で有名人となった。
そのテレビをじっと見つめる人物がいて、「死亡予想」と記された人物リストに、ハリーの名を書き込む。
ハリーはその夜、ジャネロの部下に襲撃されるが愛用のマグナムであっさり片付ける。
翌日、その西部劇まがいの銃撃戦を上司のドネリー部長やアッカーマン課長は非難するが、彼の新しい相棒として中国人のクワンをつけることにした。
早速殺人事件が起こり、殺されたのは低予算の恐怖映画に出演中の人気ロック・アーティストで、致死量の麻薬を打たれていた。
現場検証にクワンと駆けつけたハリーは、そこで以前から彼の捜査方法に興味を持っていたという女性レポーターのサマンサに出会う。
ハリーとクワンは聞きこみにまわったチャイナ・タウンのレストランで4人のチンピラによる強盗事件に遭遇し見事に倒すが、チンピラの流れ弾に1人の男が当たり死んでしまった。
その男は死んだロック・アーティストが出演していた映画の経理を担当していた男だった。
しかも、男は手に「死亡予想」と書かれたリストを持っており、ロック・アーティストの名ばかりかハリーの名も書かれていた。


寸評
珍しく滅多に褒められないハリーが冒頭で犯人検挙を評価されている。
その後に上司の部長や課長に物を壊し過ぎると非難され続けるのはいつものことでシリーズを踏襲している。
ハリーを追いかけるマスコミ代表として、ニュースキャスターの女性を登場させるが、そのサマンサ・ウォーカーはちょっと嫌みな女である。
やがてハリーと親しくなっていくのもいつもの事なのだが、この女性の嫌み度をもっと出していると、報道の自由の名のもとに傍若無人に振舞うマスコミを糾弾できたのではないかと思う。
マスコミは悪いわけではないしチェック機関として必要だと思うが、僕が興味本位に騒ぎ立てるレポーターを含めてその態度に嫌悪感を抱いているのも事実で、節度のなさにうんざりしていることがそう思わせたのかもしれない。

ハリーはジャネロを逮捕したことでジャネロの指示を受けた手下から命を狙われ続ける。
業を煮やしたハリーがジャネロを脅迫して辞めさせる手段が面白い。
その結果、ジャネロの指示を受けたハリーのボディガードが登場する。
このくだりはアイディアとして面白いのだからもう少し膨らせばよかったと思う。
例えば絶体絶命に陥ったハリーを暗殺者と思われていた彼らが救うとか…。
せっかくのアイディアが中途半端ですぐに結末を見たのは惜しいような気がした。
新しいアイディアとして成功しているのはラジコンとのカーチェイスだ。
坂道の多いサンフランシスコの街を駆け巡るのはそれなりにスリルがあった。
別のラジコンに電波干渉を受けるシーンなどを挿入して凝っていたのも評価できる。

犯人の手がかりを出し抜くキャスターのサマンサ・ウォーカーや、カンフーで犯人をやっつける中国人の相棒クワンの登場など取り巻きも工夫しているが、海岸通りをジョギングするジャージ姿のハリーを見ると、彼も随分と歳をとったなあと思わされた。
振り返れば初登場から17年もたっているのだからそれも当然で、シリーズもよくもったものだなあと感心した。
シリーズ物の宿命で、回を重ねるごとに脚本というか、話が雑になって第一作を上回ることが出来ない。
だけどファンにとってはそれでも楽しめてしまうのがシリーズ物の特徴でもある。

ハリーは犯人に対しては情け容赦をしない男で不死身のスーパーマンだ。
機関銃を乱射されても傷一つ負わないで相手を射殺する。
ハチの巣状態になった車などを見ると射殺もやむなしなのだが、最後に犯人の殺人鬼を巨大なモリで射殺すのは必然性がない。
その前の映画撮影シーンで伏線を張っているのだが、すでに拳銃の弾は撃ち尽くしていると判っているのだから逮捕できたはずだ。
映画的にはそれでは面白くないから当然の結果なのだが、映画はリアルなところはリアルにすべきだ。
とっさの逆襲でやっつける工夫が必要だったと思うし、全体的に脚本の雑さが目に付いた。
でも楽しめる。