おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ベスト・キッド

2023-03-07 08:49:42 | 映画
「ベスト・キッド」 1984年 アメリカ


監督 ジョン・G・アヴィルドセン
出演 ラルフ・マッチオ ノリユキ・パット・モリタ エリザベス・シュー
   ランディ・ヘラー マーティン・コーヴ ウィリアム・ザブカ
   チャド・マックィーン トニー・オデル

ストーリー
高校生のダニエルは母親と二人暮らしだが、母親の仕事の都合によりニュージャージーからカリフォルニアへ引っ越すことになった。
ダニエルは転校なんて気が重いのだが、母の仕事の関係とあってはしかたがない。
新天地ではフレディという新たな友達もでき、フレディの誘いで浜辺でのパーティに行くことになった。
早速浜辺でサッカー遊びに興じるが、そこに居合わせた可愛い女の子アリにひと目惚れ。
彼女もダニエルにまんざらでもなさそうなのだが、偶然通りかかった不良グループのリーダー格ジョニーが、アリとダニエルの様子を見て激怒し、ダニエルにケンカを吹っ掛けダニエルを叩きのめしてしまう。
ジョニーはアリの元彼で、少年空手選手権のチャンピオンであった。
ダニエルはフレディに「空手をやっている」と豪語していたために、フレディらはダニエルのあまりの弱さに愛想を尽かしダニエルのもとから去ってしまう。
ダニエルはそれ以来ジョニーとその空手仲間達から壮絶なイジメにあうようになる。
アリがダニエルに親愛の態度をとればとるだけ、ダニエルはジョニーの一派にやつつけられてしまう。
そんな中、アリとアパートの管理人ミヤギ老人だけがダニエルに優しく接する。
ハロウィンパーティの夜、ジョニーらに仕返しを試みたダニエルは、逆にリンチに遭ってしまう。
ダニエルの意識が朦朧とする中、どこからともなく現れたミヤギがジョニーたちをあっという間に倒してしまう。
実はミヤギは従軍経験も持つ空手の達人であった。
そして、ジョニーたちの道場と話をつけた結果、決着は2か月後の少年空手選手権で付けることになり、ミヤギはダニエルのコーチを引き受ける。
その日から、郊外にあるミヤギの家で、ダニエルの特訓が始まった。
だが、ミヤギがいう練習とは、車のワックスがけ、次に床磨き、そして垣根のペンキ塗りばかりだった。


寸評
ひ弱な男の子が可愛い女の子に恋をし、腕力に勝る粗暴な男の子と対立しながら最後には勝利を得て彼女を勝ち取ると言う典型的な青春物語である。
実にベタな内容であるが、対決する中身が空手であること、空手の師匠となるのが日系人のミヤギであることが、日本人の僕には受け入れることが出来る要素となっている。
ミヤギは何度もミヤジと呼ばれ、その都度ミヤギと訂正するギャグ的シーンがあるが、アメリカ人にとってはミヤギよりもミヤジの方が馴染みがあるのだろうか。
ミヤギは日系人で、話す英語はネイティブなものではない簡単なものだから、僕のような英語力に劣る者でも何となく分かるし、ダニエルに対して「ダニエルさん」と日本呼びするのも感情移入しやすい。
なにせ話す英語は出身地の説明で手のひらに「チャイナヒや、ジャパンヒヤ、オキナワヒヤ」と語るアバウトなものなのである。
ミヤギは沖縄出身の父を持つ日系人なのだが、日系人であることがギャグになっている。
盆栽とバンザイのかけ言葉を楽しんでいたりするのである。
そして「沖縄のミヤギはみんな漁と空手を知っている」と語らせたりもしている。

ダニエルの家はシングルマザーだし裕福ではない。
相手のアリは裕福な家庭の女子である。
ダニエルから見ればシンデレレラ物語なのだが、格差社会の要素は描かれていないに等しい。
またミヤギは日系のアメリカ人としてドイツと戦った経験を持っているのだが、当時の日系人がアメリカ人として戦いながら冷たい仕打ちを受けていたと言う事実も描かれているのだが、その内容も紹介程度で何かを訴えるものとして描かれてはいない。
ミヤギの妻は難産で母子共に亡くなっているのだが、軍人だったミヤギは妻の最期にも会えず、その時の電報を今でも大事に持っている。
ダニエルはミヤギにその時の子供の生まれ変わりと思われていたのかもしれない。
哀しい物語なのだが、映画はあくまでも単純娯楽作品として出来上がっている。

相手の道場はコブラ会と言い、単純明快な悪役ネームであり、師範も絵にかいたような悪役である。
クライマックスは当然空手大会で、ダニエルもコブラ会の連中も順調に勝ち上がってくる。
コブラ会の一人と準決勝で対決するが、師範はためらう弟子に反則を指示しダニエルを動けなくする。
対戦相手は反則を詫びるので、実は言い奴なんだと匂わせる。
ジョニーも不戦勝では納得いかなかっただろうが、そこは映画でダニエルとの対決となる。
ここでも師範のスポーツマンらしくない指示が飛ぶ。
秘儀によって勝利を得るのも予想されたものであるが、ジョニーに「お前が真の勝者だ」と叫ばせているので、悪いのは少年たちではなく師範なのだと言っている。
それにしても、空手の試合シーンは何とかならなかったものか。
余りにも漫画的過ぎて僕は興ざめしてしまった。
ミヤギさんは印象深いキャラクターで、続編も作られた。