さて、予想すら出来なかったほど上々のスタートを切った我々なのである。
王者との対面を祝い、memphisさん自慢の焚き火を囲んでの宴が始まる。盛り上がらないはずがない。
ちなみにmemphisさんは難関の国家試験、‘焚き火一級‘ 免許を持つプロの焚き火師である(ウソ)。横から誰かが火種をいじろうものなら、まだ早い、動かし過ぎだetc、すかさずお叱りが飛ぶから、うかつに手だしも出来ない。
あくる日、四日目。
昨日はどうしても、自由に竿を出せない立場にいた。
しかし、いきなりあれだけ見せつけられれば、アングラーとしては当然疼く。写真撮影やネットイン、その他の合間を縫って私も釣ってはみたものの、分断された釣りでは集中もできず、王様にはまったく相手にもされなかった。
釣果的には、私独りが蚊帳の外なのである。今日こそは。
私も昨年のモンゴル遠征以来、11か月振りの対面だ。
65cmほどではあるが、もちろん嬉しい。
この日は朝から終日ベタベタの凪で、前日とは状況が大きく異なった。ポイント選びもより慎重に、そしてこのコンディションに応じた、丁寧な釣りが求められた。
この日は50、65、70オーバーと。
70はネットイン後に足を滑らせ、遁走されたけれど。サクラマスもいくつか顔を見せてくれ、遅ればせながら皆の仲間入りを果たす。
五日目~八日目
早朝から釣る日もあれば、午後から釣る日もあった。
終日完全に釣りをオフとした六日目を挟み、また朝から日没まで釣った。今年は好釣果から、かなり贅沢で楽なスケジュールを組めた。例年では終日オフなどなかなか取れるものではない。
湖水は毎日少しずつだが増え続け、変わらず風などのコンディションはさほど良くはないのだが、それでもやはりイトウ、サクラマス、アメマスと交互に、コンスタントに顔を見せてくれる。そう、彼らはとても機嫌が良いのだ。
Beatup130に、立て続けに出たり。
こんなアメマスも飛び出してきたり。
うちわのように大きく張り出した尾ビレは肉厚だが見事に透き通り、このピンと尖った各ヒレにアングラーは湖岸で独り、しばし恍惚とさせられるのだ。
静寂が支配しているが、鳥たちは闊達に遅い春を謳歌している。
アカゲラが小気味良くトトトンッ・・と樹を叩き、山鳩はホッーホッーと連れを呼ぶ。ウグイスがあちらの岸辺で甲高く歌ったかと思えば、それに応えるかのように、釣っている私の真後ろで別の一羽が予告もなく、鋭く、例の一小節を歌いあげる。
時折り、森の奥から思慮深げに響くのはフクロウの一種かと思いたいが、、
そんな北国の湖が一日を終えようとしている。
湖岸の隅で薄暮に呑まれ、影を失いつつも夕刻を釣る者がある。あの絶好調男だろうか。
独り何を思うのか、ともあれ日常に疲労し擦り切れてしまった男にだって、至福を迎える資格はあるはずなのだから。
今夜も、乾杯だ。
memphisbelleさんは止まらない。
レヴェルトラウトを手に、夕刻前に70クラスを連発する。
この時私は横で釣っていたのだが、アタリの数が違う。
釣りはリズムだ。ビートだ。
相手とのリズムが狂っていれば、偶然以外に自然はなかなか応えてくれぬ。
タフなフィールドであればあるほど、それは残酷なまでに明瞭な差となって現れるのではないだろうか。
この旅でmemphisさんが持つリズムと、湖のそれとが見事に合致していたのは誰が見ても明らかだった。快感以外の何物でもないだろう、本来の己が持つリズムで釣りが完結できるのだから。
そしてリズムの良い時には選ぶルアー、カラー、ポジションなどすべてが上手く回る。アベレージだって少し大きいんじゃないか。頭も冴えている、指をくわえて見ている側からすると、天才にすら思えてくる。
湖と一体となるmemphisさんの横で、私はこの旅最大の相手を逃した。
奴はピックアップ寸前にドン、と食い上げてきた。
すかさず後方へ下がり出来る限りのアワセを入れたのだが、どうやら針先だけのフッキングだったようだ。そのまま眼前でドバドバといいように暴れられ、この間合いではそれ以上どうすることも出来なかった。
旅中、私は結果として八回王者との対面を許されたが、これが唯一のバラシであり、文句の付けようも無く最大であった。
ザザギさんも毎日しっかりと釣果を残した。
さすが湖オカッパリの手練。初めての湖で、なかなか残せる結果ではないと思う。
memphisさんとは正反対の、じっとしていられないキャラの持ち主であり、その分相手のリズムに合わせるのが上手い。
初日に痛恨のフックアウトののち、なかなか呼吸が合わないでいる、けんぢさん。
大きなトップウォータープラグ、ミノーなど、好きなものをキャストし続けていたようで、ミノーにチェイスはあるものの、ヒットには結びつかない。これがリズムだろう、一度狂うと元に戻すのは至難だ。
本人は笑顔を振りまいているが、私としてはネットの件でいくらかの責任を感じているし、願わくば写真の一枚ぐらい残して欲しい。
七日目の夕刻のこと。
明日の午後には荷物をまとめてこの湖をあとにしなくてはならないから、残す時間はこの日の夕マズメと明日の午前の数時間だけである。
僅かなズレ、ちょっとしたコツ。
皆の期待からくる優しさも気遣いも、当の本人にとってはプレッシャーでしかないことは、誰もがよく解ってはいる。
そう、このままこの旅を終えることになったとしても、全体としては願ってもいない釣果だ。けんぢさんもしっかり顔は見た。95%ぐらいまではキャッチしていたのだ、何より本人が満足だと言っている。
けれど誰もが心の中で感じていた。
完結と言い切るには、まだ僅かに足りないピースがあることを。
そんな状況の中、
!!!
気配に皆が振り向く、けんぢさんが掛けた!
すでにpm18:30、ラストチャンスかも知れぬ。バレるなよと願いつつ駆け寄る。
前回より遥かに冷静なやり取りで、見事にネットイン。
やはりドラマはあった。
ご覧になって頂いている皆さんには、この一匹の価値をどうか分かって欲しい。
ただそれだけである。
かくして旅は完結した。笑顔のピースが、ここに揃った。
この喜びよう、決してOOOなんかじゃございません(笑)
最後に貴重なトラウトである、イトウが棲息するこの湖で釣りが楽しめるのは、ここの漁協や関係者が大変な熱意を持って発眼卵の保護を行うなど、様々な活動の賜物であることは言うまでもありません。
関係者、ここを愛する地元アングラーの皆さんに敬意、感謝を表します。有難うございました。
この素晴らしいフィールドがいつまでの存続できるよう、フックは必ずバーブレス、リリースの徹底などの自主規制を強く持ちたいですね。
漁協の存在自体が少ない北海道のフィールドですが、関東に居住する私個人はその経験から、脆い日本の内水面をアングラーに代わって管理できる漁協の存在は不可欠と考えます。そしてその存続、活動のために入漁料の徴収は必要だと考えていますし、喜んでお支払いします。
この素晴らしい、日本が誇るフィールドのために。
私のこの湖でのタックル
Rod#1:ZANMAI Revel trouts 7.6H (PE1号 ナイロンリーダー16~22lb)
Rod#2:ZANMAI Revel trouts 7.6MT (ナイロン10lb)
Reel:newステラC3000
Lure:ZANMAI ファット70(type1、Type2)、ファット85(type1、Type2)、ファット100、ファット120、115MD、Beatup130、130スリム・ストレート、150スリム、フラットシャッド85
フックはトリプルとシングルを併用。必ずバーブレスで。
*四日目以降のヒットデータ(サクラマス、小型アメマスは除く。バラシは明らかなイトウのみ記載)
・memphisbelleさん(写真が現物)
72cm(五日目) ファット85type1/オレンジゴールド
60cm(五日目) ファット85type1/オレンジゴールド
60cmぐらい(バラシ、五日目) ファット85/?
65cm(七日目) JUN MINNOW 130
65cm(七日目) ファット85type1/オレンジゴールド
70cmオーバー?(バラシ、七日目) 130スリム/アルミアワビ・グリーンゴールド
・ザザギさん(この湖では五日目までの釣り)
72cm(四日目)
アメマス54cm(四日目) ファット70/ワカサギ
60cm(五日目) ファット85Type2/オレンジゴールド
50cm(五日目) JUN MINNOW 100
・けんぢさん
53cm(七日目) 115スリム/手割シェルブラックベース・ピンクバック
アメマス52cm(四日目) ビーフリーズ
・すぎさん
65cmぐらい(バラシ、四日目) ファット85/アルミアワビ・キンクロ
70オーバー(バラシ、七日目) 130スリム/グリーンゴールド
・小平 #はロッドの使い分け、上記タックル参照あれ。
50cm(四日目 #1) フラットシャッド85シンキング/ブルーバック
65cm(四日目 #1) ファット70Type2基盤リップ/オレンジヤマメ
72cm(四日目 #1) Beatup130/ワカサギ
60cm強(五日目 #1) Beatup130/ワカサギ
60cm弱(五日目 #2) Beatup130/ワカサギ
80オーバー(バラシ、五日目 #1) ファット85type1スローシンキング/ウグイ
アメマス50cm(五日目 #2) フラットシャッド85シンキング/ブルーバック
60cm(七日目 #1) ファット85type1/アルミアワビ・グリーンゴールド
55cm(七日目 #1) ファット85type1/アルミアワビ・グリーンゴールド
65cm(八日目 #1) Beatup130/ワカサギ
こんばんは。
笑顔のピースが揃いましたね~
そして新たな腕捲り(細腕)信者も…
しかし南アフリカの試合は蜂が耳元でブンブン飛んでいるようですねぇ~
こんにちは。
一体だれが入信?!
まさか・・まさか・・
OんOさん、まくったから釣れたなんて信じちゃダメですよ(笑)
あの羽音はホームチームの試合だけにしてもらいたいものですね~
け○ぢさんは、腕まくりをしたから釣れたと思っているかも(笑。
だって、自分のブログに貼ったアメマスを釣った時の写真を
見て下さいよ~。お酒の趣味も合いますしネ。
すぎさんのヘンな横顔がツボにハマっちゃいました!
おはようございます。
すぎさん変ですか?
良い笑顔じゃないですか~
けんぢさんはすっかり信者ですね
これからは両サイドでまくられちゃうのかな?
王者達の顔はもちろんですが、”思いは一つ”と皆が並んで立ち込んでるショットが好きです。
王者に挑む、集いし勇者達・・・って感じです^^
このような地が日本にあるって素晴らしいですよね!
続きも楽しみにしてます~
いくらかご無沙汰ですね。
北国に素晴らしい湖はいくつもありますが、その中でも特異な存在ではないでしょうか?
ぜひ来年いかがですか?