八日目の午前中でこの湖での釣りをひとまず終え、皆と別れる。フェリーで帰路につく者、知人に会いに行く者。
私はひとりしばらく放浪だ。道内の河川を釣り歩く。当てはあるような、まったく無いような。
流芯からファットに出たレインボーと、もう少し流れの緩いたるみから出たアメマス。(タックルデータ#1)
九日目。
早朝からとある河川の上流部から釣り下ることにする。オショロコマに遊んでもらったあとは、この川が途中で湖にそそぐインレット部分を中心に狙ってみる。
インレット部分は川幅も広く、一段と流れ・押し共に強く太い。まさに北海道の河川だ。
68にしようか?76にしようか?
MTか、Hか。
少し悩んだがこの押しの強さに加え、一発も期待できそうなことからレヴェルトラウト76HとPE+リーダー16lbと前日まで湖で使用していたタックルをそのまま手に取った。
数投目、流芯でガン!とファットを引っ手繰るものがある。
と思ったらドババババッ!とジャンプ、姿を見せたのは55以上はありそうなロケットレインボー。間髪入れず岸に向かって突進し、流れを遡り、下る。
すべてが一瞬の出来事でリールを巻くのが追い付かないスピード、パワー。なだめすかして岸まで寄せたがネットイン直前でポロリ・・ああ!嗚呼!
気を取り直してキャスト。狭いポイントだが流芯を丁寧に釣ると連続して反応がある。すべてレインボーだ。一つ目に喰ってきたような、スーパーなヤツはもう姿を見せてくれなかったが45cmぐらいまでが連続してヒットした。
もう日も高く昇ったam11:00頃の出来事である。ベイトを追って入ってきていたのか、タイミングがあった時のこのポテンシャルの高さよ・・!
時間をおき、夕マズメに再度同じポイントを攻めてみる。今度はアメマスばかりがアタックしてくる。これは摂餌においてアメマスよりレインボーが優位にあるからと私は考える。
放浪初日から、なんだか満足だ。
十日目。
この日のハイライトは、このレインボーだった。(タックルデータ#2)
ここは前日とは違う、別の湖のインレット。インレットとは言ってもここはすでにかなり本湖に深く入り込んでい、川岸で釣っているのか、湖岸で釣っているのかの判断が難しい。
それでもやはり流れは強く、太い。本流のそれだ。季節的に雪代がまとまって流入しているようで、一昨日の雨とも併せその勢いは増すばかりであろう。
ここでは68MTをセレクトする。どう考えても76のフィールドなのだが、敢えての68だ。リールは2.000クラスにナイロン6lbが巻いてある。本州の本流ヤマメを狙うタックルと言っても良いが、これでどこまで対応できるのかが見たかった。
ルアーは60DD(プロトサンプル・来春発売予定)/ チャートヤマメだ。
このDDは昨年から各地にプロトを持ち込みテストをしてきたモデルであり、すでに非常に実績が高い。MDに比べリップで強制潜行させるモデルなので、流芯に潜り込むというか最も強い流れの下にある緩い流れに送り込めるルアーだ。
MDと共に使い分ければ、攻略の幅は限りなく広がる。カラーは雪代の濁りを考慮してチャートヤマメを選んだ。
クロスで流芯の向こうへキャスト、流れに乗せて潜行させ流芯で、その脇で誘いを掛ける。足場が悪いためそう簡単に移動が出来ない、一か所で何度も流し直す。
アングラーをその要とした扇で例えると端部、ダウンに送り込んで流れを掴んだミノーにドン!とアタった。
重ねて足場が悪い、移動が出来ぬ状態でも68MTの持つポテンシャルが、太い流れから太いレインボーを時間をかけてジリジリと寄せる。
DDで攻略し、68で獲ったナイスサイズ。その流れにふさわしく重いファイトだった。
大物狙いのインレットだったが、実際はほとんどの時間を渓流域で遊んだ。(タックルデータ#3)
渓流域でヒットしてくる、レギュラーサイズのレインボーはこれぐらい。
アレ、彼もひとつだけ混じった。
新緑と青い空。雪解け水にレインボーが舞い、乾いた風が懐かしい匂いを運んでくる。
これ以上の幸せがあるだろうか。
小規模渓流でも、このぐらいまでは何匹か混じった。(ソリスト50MDⅡ)
この川で自然繁殖を繰り返しているレインボーだろう、幼少のころ図鑑で見たレインボートラウトはこういう色とボディーをしていたんじゃないかと、ふと思い返してみる。
十一日目。
ここは襟裳岬もほど近い、名も無い河川だ。(もちろん名はある)
太平洋にそそぐ単独河川をいくつか歩いてみた。
釣れる川、まったく魚影の見えぬ川。
夕刻のこと。ルアーをロストした。10日間以上に及ぶこの旅で初めてのことだった。
なんだか潮時の気がしてきた。後ろ髪はいくらか引かれるが、そろそろ帰り時のようだ。暮れつつある河原でウェーダーを脱ぎ、旅を共にしたタックルを丁寧に、ゆっくりと時間をかけて片付ける。
潮の匂いがする。
もう目と鼻の先でこの川は太平洋にそそぎ込み、広大なそれの一部となるのだから。
海を覗く気にはなれない。
長く山中にいた者にとって海はあまりに大き過ぎ、理由も無く不安を掻き立てられるからだ。
fin!
私の北海道河川タックル
本流・インレット #1
Rod:ZANMAI Revel trouts 7.6H (PE1号 ナイロンリーダー16lb)
Reel:newステラC3000
Lure:メインはファット85type1
本流・インレット #2
Rod:ZANMAI Revel trouts 6.8MT (ナイロン6lb)
Reel:Twinpower2500
Lure:60DD(プロト・未発売)、70MD、70DD(プロト・未発売)、フラットシャッド85、85MD
渓流 #3
Rod:ZANMAI Revel trouts 5.0MT&5.6MT (川幅と気分で使い分け、ナイロン4lb)
Reel:EXIST2004
Lure:ソリスト50MDⅡ、ソリストシャッド、50MD、50DD(プロト・未発売)etc
フックはトリプルとシングルを併用。必ずバーブレスで。
オマケ
六日目、オフをとって初めての旭山動物園へ。
ペンギンの眼が一番怖いなぁ(笑)