皆様、こんばんは。
北海道釣行もいよいよ最終日。
ここまでアメマス、サクラはコンスタントにキャッチしてきたすぎさんですが、イトウは初っ端の痛恨のバラシ以来、縁の無い日々が続く。
いくら北海道のベストシーズンとは言え、やはりそこは幻の魚、イトウ。釣れるタイミングでしっかり釣っておかないと後々に響くと痛感させられる。
ここまで連日朝早くから日暮れまで時には藪をこぎ、雪代の入る冷たい湖に連日腰まで浸かりつつ、可能な限りキャストを繰り返す。
相当に疲労が溜まっているご様子、大変な健脚振りを見せつけてくれたすぎさんですが、さすがに前夜、顔を突き合わせ相談するうちにこう仰る。
‘‘色々あったがもう充分に楽しかった。これ以上は無理かな?‘‘
‘・・・・・・‘
何とも返答に窮す。ここまで頑張ったのだから、出来る事なら最終日まで一緒に頑張り抜きたい。もちろん無理は禁物なのは言うまでもないが。
一晩ゆっくり休みましょう。そして明日の朝、起きた時の具合で再考しましょう。
こう申し上げるにとどめる。数年前にエリアのイトウを釣り上げてからすっかりこの魚に魅了され、そのうちにぜひネイティブで!
そう仰り続けていたすぎさん。
皆でなんとかしたい。
5日目(最終日)
早朝3時半には起床しすぎさんにご様子を伺うと、なんとかやれそう、そう仰って頂く。
早くから島に渡り、今日もミノーを投げ続けるすぎさん。
我々に出来ること。
可能な限りピンスポットなエリア。ルアーの取捨選択、誘い方。
お伝え出来ることを伝えてしまえばあとはご本人の問題、冷たいようだがこれが釣りである。
フィールドは誰にでも平等である以上、より正しい選択をし、より粘り抜いた者にはそれなりの結果をもたらすものだ。
昨日もそうしたように背中を見つめ、時に祈る。
数時間が経過、アタリは無い。
ダメなのか?一旦休憩を、とすぎさん。岸に上がり、飲み物を口にする。
少し前から落ち始めた雨が強くなる、春とはいえ北国の雨は冷たく、影にまで滲みてくるようだ。
と、その時、比較的近くで釣っていたフライの仲間に待望のイトウがヒット。一緒に駆け寄る。
美しい魚だ。少し銀毛しているように見える。
これを見たすぎさん、眼に再び光が宿ったか。
‘もう一度、行ってくるよ‘
こう言い残し、昨日いそたろうさんが見事一匹目をキャッチしたポイントへと再び湖水を進む。僕らにとって唯一といっても良い、希望を託せる最後のポイントなのだ。ここが沈黙となるとあとは偶然に頼る以外、他が無い。
数分後。
アワセを入れるすぎさんの姿が目に飛び込む。
食った?!
すぎさんが何か叫んだのと僕が何かを口走ったのはほぼ同時か。
・すぎさんがついにやった!
夢に見た?イトウ。決して大きくはないが、それが何だというのか。
・ネットイン、その瞬間。やった、やった!
・しっかりと、確実にリリース。ことこの釣りにおいては、釣る技術よりもリリースの知識の方が大事、そう言えないだろうか。どんなに気を配ったとしても、魚を針に掛けるのが釣り。我々釣り人はそんな十字架を背負い続けるのだ。だからこそ、釣り人には義務としてやるべきことがあるのではなかろうか。針に掛ける前にも、掛けた後にも、と肝に銘じたい。
リリースも無事に済み、握手、抱擁。また握手。
いそさんがうわ言のように繰り返す、すぎさんおめでとう、すぎさん凄いよ・・・
すぎさんのいつもの素晴らしい笑顔を見ていたら、どうにも目頭が熱くなったのを思い出す。
本当に良かった、すぎさんおめでとうございました。
サイズは、また。いつの日かに。
物語は続くのである。
・これはすでにオマケですね、いそさんが今釣行で3本目のイトウとやり取りする。すでにやり取りにも余裕が?
終了30分前の出来事、どうやら最後にきてこの湖との呼吸がピッタリあって来たご様子。
・最終日の魚は5割増!
次回はこの素晴らしい釣果に加えてスマイルもお願いしますね(笑)。13スリム、アルミアワビ・グリーンゴールドでした。最後にGGサーティーンでキャッチとは、キマッてますねぇ!
ちなみにすぎさんの一本は、11.5cmMD、アルミアワビ・金黒でした。
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最後に。
色々とあった今釣行でしたが、最後の最後に皆がイトウの顔を見る事が出来ました。
これもひとえにこの湖を一生懸命管理して下さっているNさんをはじめとする漁業組合の皆さん、そしてこの湖を愛する地元の皆さんのお陰であります。
この湖も10数年前には本当にひどい状況で、イトウも絶滅寸前にまで陥ったとのこと。これをNさんらが発眼卵や産卵床となる流入河川の管理、釣り人への啓蒙活動を経て、ここまで回復させたのだと聞かされました。
こういった方々の努力のお陰で僕らは釣りが出来る。釣った魚、ではなく釣らせて頂いた魚、なのです。忘れてはいけませんね。
そして旅をご一緒させて頂いた皆様、有難うございました。
この湖でお会いし色々お話して下さった皆様、本当に有難うございました。
またの良き日にご一緒出来ますように。