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モンゴル紀行~その3(バイク&パイク)

2007年09月30日 | モンゴル紀行(2007年9月~)

9/15

今日もモンゴル晴れ。形容しがたい鮮やかなブルーである。

チョロートの様子が良くないので緊急に協議する。もう数日は望み薄と、ガンナも含めて皆の総意となる。水色が回復するまで、同じ水系の別の川へ移動す ることと決める。 

同じ水系と言ってもゆうに200kmは移動せねばならない。移動も半日がかりである。移動途中になかなかの規模の湖があり、北方のもうひとつの王者、パイクが棲むという。ついでと言ってはなんだが、これをぜひ狙ってみたい。

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・裏手の丘に登ってみる。朝食前に、早朝の散歩。家畜に囲まれて生活しているのがよくわかる。

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・さらに登る。OOと煙は高い所が好きなのだ。(画像を左クリックしてご覧下さい。裏手のちょっとした丘からでもこのスケール)

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・ヤク。ウシの仲間だが、ご覧の通り牛よりずっと毛が多く長い。より高所で遊牧生活を営む人々に重宝がられている。その乳も肉も、荷物を引く際の労働力としても。

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・現代の遊牧民に大流行、バイク。ロシア製で一家に一台。現代の鉄鋼騎馬隊といったところ。

21世紀の遊牧民たちに欠かせないのがバイク、パラボラアンテナ、ソーラーパネル3種の神器と言っても差支えないほど。

バイクはわかる。馬ももちろん現役だが、大草原においてバイクは本当に便利。

次いでパラボラアンテナ、これがあればゲルの中でもTVが見れる。彼ら最大の娯楽でもあろう。

最後のソーラーパネルには驚かされた。電源が無いためだが、いきなりソーラーとは!電柱も自家発電機も飛び越え、ソーラーの登場である。四方八方、見渡す限りの大草原に、である。世の最先端は細部に、極所にこそハッキリと宿るのであると、痛感させられる。考えてみればこの3つが3つとも、人里離れて生活する彼らこそが最も切実に必要としているモノばかりであろうと、ようやく理解できる。

 

昨晩、特に明け方のこと。牧羊犬が一斉に、さかんに吠えるのをうつらうつらしながら聞いてたのだが、朝になって聞くとオオカミが出たとのこと。朝一番でさっそうとバイクにまたがりオオカミを探しに出かける。

上手く見つけられなかったようだが、どうやら羊がオオカミにさらわれたらしい。モンゴルの丘陵地帯には今でもオオカミが珍しくない頻度で出没する。遊牧民にとってその被害は深刻であろう。

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・パイクの棲む湖、テルヒーンツァガーン湖。

チョロートのベース地から車で半日。パイクも大きく育つがタイメンも生息するとのこと。ここのツーリストキャンプに一泊し、ボートとおかっぱりでパイクを狙う。

ボートの持主がガイドも兼ねて操船してくれる。15fほどの小さなアルミボート。3馬力ほどのロシア製と思われる船外機が付いているのは予想外の上出来ぶりだが、ボートそのものが全くいただけない。アルミボートと言っても普段我々が日本で乗っているアルミとは訳が違う。まず、アルミそのものがぺナぺナ。薄すぎる。いざ乗り込んでみると床板なんて波の衝撃でべコベコ音を立てるし、岩にでも擦ろうものなら足裏に岩の感触がハッキリと伝わるほどである。

この湖は琵琶湖の1/3ほどはあるらしい。当然強風も吹く。大草原の吹き下ろしである。それなのに、Vハルでなく平底のジョンボートときた。大丈夫なのだろうか?

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・北方の湖の勇、パイクが食らいつく。いきなり、ゴゴンとくる。特に走り回るわけではないが重量感はなかなかのもの、中にはジャンプとまではいかずともヘッドシェイクを見せるやつもいた。84cm、この一匹はZANMAIファット12cmのトゥイッチに食ってきた。

水温が比較的暖かいこの時期、どうやらパイクは浅瀬の藻場で盛んにベイトを捕食しているようである。このパイクというのは通常の魚の常識が当てはまらない部分があり、朝夕のマズメ時や風が吹いて湖面がさざ波立つと食いが悪くなるのだそうだ。ベストはなんといっても良く晴れた真昼間、ベタ凪なんだそうな。

とにかく当初は釣り方が分からない。北国の勇は目の前を通り過ぎる生き物には何でも食らいつくなどど、何かで読んだ記憶があるが、とんでもない。なかなかに神経質な魚であるようだ。各々スプーン、ミノー、トップなどを試行錯誤する。

そんな中、僕が投げていた12cmファットを舟べりでピックアップしようと水中から抜き上げた途端、でかいパイクが水中からグワーッと踊り出、空中でルアーに襲いかかった。目の前50cmでの出来事である、上手くフッキングしなかったがこれには驚いた。

どうやらパイクという魚はルアーを潜らせてもよいが、もっと良いのは水面を大きなルアーで波紋をだしながらデロデロとゆっくり引いてやるのが効果的なのだと、この時わかった。

浅瀬の藻場に身を潜めながら目だけは常に上方、水面付近を凝視しているらしい。しばらく追尾したあと、タイミングを見て一気にのしかかるように襲う、というのが彼らのやり口であるようだ。

パイクには代表的なものとしてノーザンパイクとアムールパイクがいるが、これがどちらなのかは不明。モンゴルはアムールが主と聞いていたが、アムールはアムール川水系にしか棲まないとも聞く。この湖はアムール水系では無い。

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・写真でわかりますか?パイクは大変歯が鋭く、とても手で持てる魚では無い。ラインだって20~30ポンドナイロンなら簡単に切ってしまうであろうほど。よって必ず通常のリーダーの先にもう一つ、金属のワイヤーリーダーを付けること。これで例えルアーをのまれても安心。

基本的にすべてリリースが主義であるが、この一匹はキープさせてもらう。スープにすると大変美味と聞いていたからである。明日にでも、ナランにそのように料理してもらうとしよう。

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・2匹目はタイメン用に作っていった15cmジョイントに来た。水深1mも無いようなドシャローで80cmオーバーのパイクがルアーに襲いかかる。

このボートでは少しでも風が吹くととても怖くて立ってのやり取りが出来ない。ライジャケも無いのだ、無理は禁物。

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・パイクが寄ってくる。なかなかの男前。

結局、この日は3時間ほどボートで釣りをしたが強風のせいもあり、パイクは計3匹。僕が2匹、坂本さんが1匹。どれも計ったように85cmぐらい。これがこの湖のパイクのレギュラーサイズなのだろうか?そう仮定するならば、この湖のポテンシャルは察してしかるべきである。

一回、凄い当たりと共にラインを引き出し、止まったと思った瞬間にポロッとフックが外れてしまった魚がいた。パイクはメーターまで育つという。もしかすると・・

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・捌くまでの間、パイクをゲルの玄関にぶら下げておく。パイクと、空腹のネコの図。

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・今日パイクが食ってきたのは12cmファット、15cmベンド、15cmジョイント。

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・すっかり暗くなった湖岸でパイクを捌く。

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・なんと・・!胃袋から出てきたのは、半分消化されたパイクの子。

子と言っても30cmはある。自然の厳しさがここに凝縮されているとは言えないだろうか。本当の親子で無いと、誰が断言できようか。

 

 

本日の釣果

小平 パイク x2 84cm、85cm(ZANMAI 12cmファット・15cmジョイント)

坂本さん パイク 85cm(イマカツ・ハスキーハスジーだったと記憶。調べておきます)

おかっぱりは釣果無し 以上。

 

 

とにもかくにも、モンゴルで初めて魚が釣れた。なにせパイクは釣りを試みた事も初めて、もちろん釣ったのも初めて。実はなかなかに嬉しい。独特の水面に身をくねらせる、強烈なバイトはもっとたくさんあるのだが口の形状と、食い方がスマートで無いのとでなかなかフッキングしない。そんな不器用なところも気に入った。

北方の湖の勇者に、感謝。

日が落ちると同時の冷え込みが強烈だ。雲行きも怪しい。低気圧の接近で、どうやら今晩は荒れそうだ。