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モンゴル紀行~その2(沈黙の達人と、沈黙する川と)

2007年09月29日 | モンゴル紀行(2007年9月~)

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・am6:00、モンゴルの大地に朝日が昇る。大地から立ち上る煙のようなものは温泉。

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早朝に目覚める。この時期、モンゴルの朝方はかなり冷え込むのでストーブの薪くべが欠かせない。

今日は釣りの目的地、チョロート川まで走破の予定だ。

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・チョロートへひた走る。道しるべは轍(わだち)だけである。無論のこと標識も何も無く、目立つランドマークも無い、彼らは何を目印に目的地まで走っているのか、我々にはまったく見当もつかない。

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・到着、これがチョロート ゴル(チョロート川、石の川という意味)。

永遠かと思われた大地に何の前触れもなく裂け目が走る、結構な水量で流れ落ちているのが、70~80mはあろうかという崖の上からでも良く見てとれる。凄い川だ。日本ではちょっとお目にかかれないダイナミックさ。70mの崖というのは眼前で見ると相当の迫力である。

しかし・・・!

日本で聞いていたとおり、増水に濁りがかなりキツイようだ・・水量はまだしも、この濁りにはガイドの顔も曇る。予想されてはいたが・・

早速支度をし、崖を下り、はやる気持ちを抑えつつキャストを繰り返すが、まったく反応が無い。誰にも、無い。間近で見ると濁りはさらに醜く、タイメンには厳しい状況であることがハッキリとしてくる。

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・我らは兄弟、モンゴロイド!

 

チョロートでは川の傍で遊牧をしている遊牧民に彼らのゲルを借り、寝泊まりさせてもらう。

後列、向って最左がドライバー、エルカ。後列中央、黒いダウンは細谷(弟)さん。数年前、サハリンでもご一緒させて頂いた。その右となりの女性がコックのナラン。

前列、向って左から。迷彩ルックも眩しいのは利根川の漁師兼ハンターの木内さん、細谷(兄)さんはやはり以前にサハリンをご一緒させて頂いた。そして今回のリーダー、岡田さん。豊富な海外経験は何よりも頼もしい。坂本さんはタイメン初挑戦!なんとか一本。

その右隣は、ガイドのガンナと通訳のアムガラン。同行してくれる彼らについてはまた、いずれどこかで詳しく。

その他の遊牧民伝統の民族衣装で固めているのはここのゲルの家族たち。ここにはゲルを4つほど立て、夫婦や兄弟で分かれて生活をしているそう。前列一番右が、彼らのお母さん。

 

彼らは我々から見ると本当に無口である。彼らを‘沈黙の達人‘と呼ぶと何かで読んだが、まさに的を得た表現だ。無駄口はあまり叩かない。一見無愛想だが、実はかなりの照れ屋さん、しばらく一緒にいると良いハートを持っているのがちゃんと伝わる。

モンゴルの人々は同じモンゴロイドとして日本人にも確かな親しみを持っているように思え、共に過ごしてもホッと出来る、というか苦が無い。長旅には大変な大事である。

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・ひとりが馬で出かける。彼らの銃でタルバガン(プレーリー・ドッグ)を獲ってきた。これの肉は本当に美味い!モンゴルで食べた最高の御馳走。

銃は素人から見てもお粗末。これで草原の斜面に穴を掘って住処としているタルバガンを狙う。タルバガンが穴から立ち上がって周りの様子を伺う、この瞬間を逃さずに撃つ。立ち上がる瞬間を捉えんがために、彼らは何時間も草原に寝そべり銃を構え続ける。

 

うらやましい自給自足が大原則の遊牧生活、そのシンプルさ!すべてが己に帰着する見事なまでの完結さに、1人の男として憧れさえ抱く。

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・タイメンは本来夜行性である。極力、昼間の釣りで勝負したいが様子が悪いのでナイターでの出撃を決める。準備は怠りなく!フックは研いだか?ラインシステムは完璧か?目指すはメーターオーバーだ、止水でなく、流れの中で食わすのだから、なおさらだ。

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意気込んでナイターに出撃するも、ノーチェイス、ノーバイト。全員で、である。それにしてもモンゴルの夜は暗い。真っ暗なのだ。月明かりの無い夜は、僕らの知っている黒色以外にも真っ暗闇という色があるんじゃないか、と思うぐらいに暗い。

ナイターはTOPで攻める。

何も分からないまま、ギュン!と投げる。向こうの方でドボン!と着水音がする。とにかくグリグリ巻く。流れが強いのは、良くわかる。しばらくして、魚っ気が無いのもわかってくる。

釣り初日。モンゴルで初めて竿を出してみた。

夕マズメとナイターはカスリもしない。相手はタイメン、まだ焦りは無い。そんな簡単に釣れるようでは、‘幻の魚‘の名が廃るってもんだ。

 

見上げると恐ろしいほどの星の数。吸い込まれそうだ。